2018.04.09 損保ジャパン日本興亜 介護・福祉事業者向けに新商品、クレーム対応費を補償
損保ジャパン日本興亜は4月から、介護・福祉事業者が、利用者やその家族等から過大な要望や迷惑行為等を受けた場合に、解決のために事業者が要した弁護士費用を補償する保険「クレーム対応費用保険」を販売している。併せて、円滑な解決に向けての法的アドバイスを行う事業者向け無料相談サービス「クレームコンシェル」の提供も開始。クレーム行為への対応やトラブルの未然防止・早期円満解決を図るために、事業者が迅速かつ適切な対応を行うことを支援する。同社では、超高齢社会を迎えた日本の根幹を支える介護・福祉サービスを提供する事業者を支援し、安心・安全な事業環境づくりに貢献していきたいとしている。
「クレーム対応費用保険」は、補償対象者が利用者や近隣住民等の第三者から過大な要望(クレーム行為)を受けた場合に、法律にのっとった円満解決を支援するための商品。加入者は介護・福祉施設事業者で、補償対象者は事業者とその役職員。損保ジャパン日本興亜の承認の下、弁護士による法的対応を行う場合に、補償対象者が負担する弁護士費用を保険金として支払う。保険金の支払い対象となる弁護士費用は、弁護士への相談料、着手金、報酬金、手数料、訴訟費用等。
対象となるクレーム行為は、補償対象者に対して行われる過大な要求や各種妨害行為(暴行、脅迫、強要、威力、セクシュアルハラスメント、不退去、偽計、風説の流布)とこれに類する行為。想定される例としては、「利用者が施設内で大声で叫び、業務に支障が生じている」「利用者が女性職員に抱き付くなど、問題行動が再三続けられている」「サービスが終了しているにもかかわらず、過度な追加要求が行われている」―などが挙げられている。
加入者は、損保ジャパン日本興亜が指定する専門相談窓口「クレームコンシェル」による無料相談、アドバイス等のサービスを受けることができる。「クレームコンシェル」は、オペレーター、クレームコンサルタント、弁護士をメンバーとして配置し、クレームの速やかな解決を支援するサービスで、事業者からクレーム行為に関する相談があった場合、対応方法や解決に向けた各種アドバイスを実施する。
当事者間でのトラブルの解決が困難な場合は、「クレームコンシェル」から損保ジャパン日本興亜が連絡を受け、日弁連リーガルアクセスセンター(注)を通じて、全国各地の弁護士会から弁護士を紹介。その際、損保ジャパン日本興亜が対応費用を保険金として支払うという流れとなっている。
介護や福祉の現場では近年、利用者やその家族等からの過大な要望等に対し、事業者が適切な対応を取れずにトラブルに発展するケースが増加している。
そうしたケースでは、事業者が円満な解決のために、弁護士に相談する案件も発生。同社では、それらに係る費用や職員の対応に要する時間等、事業者側の負担が増加傾向にあるという現状が商品化の背景にあるとしている。
(注)損保ジャパン日本興亜をはじめとする協定会社からの弁護士紹介依頼に基づき、日本弁護士連合会から各地の弁護士会を通じて紹介等を行う機関。