2026.01.08 金融庁 施行規則、監督指針改正案を公表 比較推奨販売の情報提供「ハ方式」は削除 金サ提供法の「顧客の最善利益」勘案

 金融庁は昨年12月17日、①特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化(保険募集の業務関連)②特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化(兼業業務関連)③保険会社等に対する体制整備義務の強化④保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止⑤保険仲立人の活用促進に向けた対応等⑥乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保―を内容とする保険業法施行規則の改正案および⑥の乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保に関する「保険会社向けの総合的な監督指針」等の改正案を公表し、意見の募集を開始した。①から⑤は改正保険業法施行の日から施行する予定。意見の締め切りは1月30日午後5時00分。
 保険業法施行規則の改正の内容は以下のとおり。
 ①特定大規模乗合保険募集人に対する体制整備義務の強化(保険募集の業務関連):▽特定大規模乗合保険募集人の要件(手数料、報酬その他の対価の額が20億円以上等)▽営業所又は事務所ごとの法令等遵守責任者の設置▽本店又は主たる事務所への法令等遵守責任者を指揮する者(統括責任者)の設置▽苦情処理体制の整備
 ②特定大規模乗合損害保険代理店に対する体制整備義務の強化(兼業業務関連):▽対象となる特定大規模乗合損害保険代理店▽兼業業務に係る体制整備等▽苦情処理体制の整備▽内部監査・社内通報等に関する体制の整備
 ③保険会社等に対する体制整備義務の強化:▽特定大規模乗合保険募集人に業務を委託する場合の措置▽兼業業務を行う特定保険募集人(兼業特定保険募集人(保険募集の業務以外の業務(当該業務の対価にその所属保険会社等から保険契約に基づき支払われる保険金が充てられる業務であって当該保険金の支払に不当な影響を及ぼすおそれがある業務として内閣府令で定めるもの―自動車の修理業務及びこれに付随する業務―に限る)を行う者))に関して損害保険会社に求める措置
 ④保険会社等による保険契約者等への過度な便宜供与の禁止:▽保険契約者又は被保険者と密接な関係を有する者を規制対象に拡充
 ⑤保険仲立人の活用促進に向けた対応等:▽海外直接付保に関する手続き及び海外直接付保の許可に係る保険媒介における保険仲立人の活用▽保険仲立人の不祥事件の届出義務の新設に伴う届出事項等の整備
 ⑥乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保:▽情報の提供に係る規定の改正
 この中で⑥乗合代理店における適切な比較推奨販売の確保―情報の提供に係る規定の改正では、「保険業法施行規則第二百二十七条の二 3 保険会社等(中略)は、(中略)保険契約の内容その他保険契約者等の参考となるべき情報の提供を行う場合には、保険契約者及び被保険者に対し、次に掲げる方法により行うものとする。」で、
 「四 二以上の所属保険会社等を有する保険募集人(中略)にあっては、次のイ又はロに掲げる場合における当該イ又はロに定める事項の説明」とされ、「ロ」については、「ロ 二以上の所属保険会社等(中略)に係る二以上の比較可能な同種の保険契約の中から保険契約の締結又は保険契約への加入をすべき一又は二以上の保険契約(中略)の提案をしようとする場合 当該二以上の所属保険会社等を有する保険募集人が取り扱う保険契約のうち顧客の意向に沿って当該二以上の所属保険会社等を有する保険募集人が選別した比較可能な同種の保険契約の概要及び当該提案の理由」となり、現行「ハ」の「二以上の所属保険会社等が引き受ける保険に係る二以上の比較可能な同種の保険契約の中からロの規定による選別をすることなく、提案契約の提案をしようとする場合 当該提案の理由」が削除された。別紙様式第25号の2(第238条第1項関係)に定める事業報告書の「1.事業概要」の「(16)比較・推奨販売の方法」の記載形式も改正された。さらに「金融サービス仲介業者等に関する内閣府令」でも同趣旨の改正案が示された。
 関連する「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)では、Ⅱ保険監督上の評価項目Ⅱ―4業務の適切性Ⅱ―4―2保険募集管理態勢Ⅱ―4―2―9保険募集人の体制整備義務(法第294条の3関係)で、(5)として、「(5)乗合代理店における比較推奨販売 乗合代理店(中略)は、金融サービス提供法(同法第2条第1項)に基づく顧客等に対する誠実公正義務の趣旨も踏まえ、顧客の最善の利益を勘案しつつ、適切な比較推奨販売(中略)を行わなければならない。/このため、以下の点に留意しつつ、法第294条第3項に基づき、あらかじめ所属保険会社等の商号等を明らかにした上で、(中略)保険契約の内容、その他保険契約者等の参考となるべき情報を提供し、わかりやすく説明しているか。また、乗合代理店の健全かつ適切な業務運営を確保するための措置が講じられているか」が新設され、①比較推奨販売の方法(A.複数の保険契約の契約内容を比較して説明する場合(比較説明)の情報提供義務(▽比較する事項やその内容を適切に説明しているか▽顧客が保険契約の契約内容について、正確な判断を行うに必要な事項を包括的に示しているか▽特定の保険契約の優位性を示すために他の保険契約と比較を行う場合には、当該他の保険契約についても、その全体像や商品特性を顧客に対して正確に示すとともに自らが勧める保険契約の優位性の根拠を説明しているか) B.二以上の比較可能な同種の保険契約の中から顧客の意向に沿って保険契約を選別し、提示・推奨する場合(推奨販売)の情報提供義務(当該提示・推奨する保険契約の概要及び顧客の求めに応じて契約内容並びに当該提示・推奨する基準や理由等を説明しているか))②比較推奨販売に係る体制整備関係―の詳細が記載されている。
 特定大規模乗合生命保険代理店の体制整備義務等を6月1日施行
 金融庁は、▽昨年5月30日に成立した改正保険業法で措置された特定大規模乗合損害保険代理店の業務運営に関する体制整備義務と同様の体制整備義務を、大規模な乗合代理店である生命保険募集人に対して措置すること▽保険仲立人の活用促進に向けた対応として、保険仲立人の保証金の最低金額等を引下げること▽その他所要の改正―を行うことを内容とする保険業法施行令の改正について、昨年9月30日から10月30日まで意見を募集していたが、昨年12月16日にこれを閣議決定し同日公布した。施行日については、2026年(令和8年)6月1日とする政令が16日同日公布されている。
 12月19日に公表されたパブリックコメントの結果によると、8件の意見が寄せられたが、意見の一つに対する「金融庁の考え方」では、「今回の政令改正案において生命保険代理店に対しても、所定の要件に該当する場合にあっては、改正保険業法第294条の4にて『特定大規模乗合損害保険代理店』に求められるものに準じた措置を講じる義務が課されることになる」かという点については、御理解のとおりです。なお、具体的な措置の内容は内閣府令で定める予定です。/「対象の代理店に対しては、当該措置の履行状況等につき、当局により重点的にモニタリングが行われることになる」かという点は、対象の代理店に対して当局としても重点的にモニタリングを行うこととしていますが、併せて保険会社による教育・管理・指導も適切になされる必要があると考えます」と示された。