2025.03.27 損保協会 定例会見 「ディファレンシャル方式」を共有 共同保険組成で新方式の手順書策定報告 信頼回復への取組は計画通り進行中
損保協会は3月21日、損保会館(東京都千代田区)で定例記者会見を行い、城田宏明協会長(東京海上日動社長)が協会長ステートメントの内容を発表した他、記者からの質問に回答した。同協会長は、今後の損保業界の信頼回復に向け、健全な競争環境の実現、保険代理店・募集人の業務品質の向上などに一層注力するとし、具体的な取り組みとして共同保険において、各保険会社の保険料率を統一せずに組成する「ディファレンシャル方式」の手順書を策定したことなどを報告した。また、記者から信頼回復への取り組みについての進捗を問われ、おおむね計画通りに進行しているとの認識を示した。(本日付および明日28日付2面に城田協会長ステートメント全文を掲載)
冒頭、城田協会長は東北地方や日本海側を中心とした大雪、埼玉県八潮市における流域下水道管の破損に起因する道路陥没事故、岩手県大船渡市における大規模火災などによる被災者、被害者にあらためてお見舞いの言葉を述べた。
続けて、一昨年からの保険金不正請求事案、保険料調整行為、その後の情報漏えい事案といった一連の不適切事案について、保険契約者をはじめとする関係者に謝罪した。情報漏えい事案に関しては、2月6日に会員会社向けの情報管理コンプライアンス・セミナーを開催したことを報告し、個人情報保護法をはじめとする各法令の順守はもとより、損害保険という社会インフラを担う者として、常に高い倫理観を持って職務を遂行することの重要性を再確認できたと述べた。
今後の信頼回復に向けた取り組みとしては、①健全な競争環境の実現②保険代理店・募集人の業務品質の向上③企業向け保険の理解促進④不正請求への対策強化⑤信頼回復に向けた取り組みに関する特設サイトの開設―の5点を掲げた。
①健全な競争環境の実現については、共同保険ビジネスの慣行を見直す手法の一つとして、各保険会社の保険料率を統一せずに同保険を組成する「ディファレンシャル方式」の手順書を策定し、3月12日に会員会社に周知したことを報告した。また、シンジケートローンを参考にした「アレンジャー方式」についても、関係当局とも議論を重ねながら実現に向けた検討を深めていると述べた。
②保険代理店・募集人の業務品質の向上については、3月3日の第6回「代理店業務品質評価に関する第三者検討会」で、第三者評価制度の運用の手引きとなる「代理店業務品質に関する評価指針(損害保険代理店向け)」(案)等について、意見公募結果を踏まえた議論を行い、3月21日の理事会で確認・承認されたことを報告した。今後は6月をめどに「代理店業務品質評議会」を設置するとともに、同指針等に基づくトライアル運用を開始する方針を示した。
また、募集人教育・試験制度の一層の充実に向け、7月から損害保険募集人一般試験(基礎単位)の出題形式を見直し、受験者の基礎知識の習得状況をより的確に判定する内容とすることも説明した。
③企業向け保険の理解促進については、2月25日に企業向けリスクマネジメントセミナーを開催し、約200人が参加したことを報告した。同セミナーについては、アーカイブ動画を同協会の公式YouTubeチャンネルで配信予定だとした。
④不正請求への対策強化については、㈱自研センターにアジャスター向け研修動画の作成を依頼し、2月から同社による動画コンテンツがリリースされているなどと報告した。
⑤特設サイトの開設については、信頼回復に向けた取り組みを社会に正確かつ分かりやすく伝えるとともに、会員会社が業界全体の取り組み状況を正しく認識できるようにするために、3月19日に特設サイトを開設したことを報告した。
この他、第10次中期基本計画に関する取り組みとして、1月13日に神戸で「親子で学ぼう、地震への備え~阪神・淡路大震災から30年。みんなで地震後、考えよう~」を開催し、同協会長自身も、地震保険を含む事前の備えの重要性を現地で直接伝えてきたことを報告した。
また、より迅速かつ適正な保険金支払に向けた業界共同システム「地震損害申告サポート(損害状況申告方式のWEB化)」の開発完了の他、自賠責保険における業界共同システム「One―JIBAI」の運用を1月21日から開始していることも併せて発表した。
最後に、3月7日には保険業法の一部を改正する法案が閣議決定され、今後の国会での審議を経て法令等改正が見込まれるとし、その趣旨の理解を深め、より実質的なルールや実務の見直しを進めていく必要があるとした上で、「協会長としての任期は残り約3カ月となる。最後まで会員会社とともに一つ一つの課題に真摯に向き合い、その解決に着実に取り組んでいく」と述べた。
その後、同協会長が記者からの質問に回答した。
就任時に掲げた信頼回復への取り組みの進捗については、「『損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議』や金融審議会『損害保険業等に関する制度等ワーキング・グループ』の報告書の内容を踏まえ、業務抜本改革推進PTが中心となって各種取り組みを進めている」とし、就任会見の際に掲げた取り組みはおおむね計画通りに進行しているとの認識を示した。
共同保険の新しい組成方式「ディファレンシャル方式」に関して、損保各社ではどのような準備が必要なのか、また、顧客にとってはどのような負担があるのかという質問については、損保各社ではシステム開発や事務処理の体制整備が不可欠だとし、また顧客にとっては契約管理が複雑になる可能性があるため、そうした点における負担が極力重くならないような取り組みにしていく必要があると述べた。