2025.02.13 損保ジャパン 不正請求検知システムを導入 自動車保 険不正事案対応一元管理へ
損保ジャパンは1月23日、自動車保険における保険金の不正請求の防止に向けた取り組みを強化するため、この4月から自動車保険の不正事案対応の専門部署を新設するとともに、米 EIS Group,Inc (以下、EIS)が提供する保険金不正請求検知システムを導入すると発表した。
不正請求対応専門部署の新設は、「複雑化・巧妙化している保険金の不正請求に対応するため、これまで以上に高い専門性や対応上のノウハウが必要」であるとし、保険金不正請求の予兆が検知された事案について、専門的に調査・対応する部署を4月に新設するもの。これにより保険金不正請求の疑いがある事案を同部署で一元的に管理し、不正請求手口の傾向の把握・分析、調査・対応方法にかかる専門的な知見やノウハウを蓄積し、全国の保険金サービス拠点へ展開する。同部署が、自動車保険における保険金の不正請求防止の強化に向けて中心的な役割を担うことになる。
保険金不正請求検知システムの導入については、保険金の不正請求検知に高い知見を持つEISの提供する保険金不正請求検知システムを4月から導入する。同システムでは、膨大な過去の保険金支払データをAIが分析し、分析したデータをもとに、不正請求事案と類似性の高い事案を検知する。具体的には、分析したデータと、新たに受け付けた事故の申告状況や契約内容を照合することで、不正請求につながる可能性がある要素を抽出し、不正請求の可能性をスコアリングする。これまで同様、担当者の専門性に基づく不正予兆の検知に加えて、EISの提供する保険金不正請求検知システムをはじめとしたデジタルを活用した予兆把握の仕組みを導入することで、より慎重に対応すべき事案を早期に把握するとともに、疑いのない事案に対してはこれまで以上に迅速な保険金支払いを実現するという。
損保ジャパンの資料によると、米サンフランシスコに本社を置くEIS(CEO兼代表取締役社長: Alec Miloslavsky )は保険業界におけるSaaSコアプラットフォームのリーディングプロバイダーで、API主導のイベント駆動型のプラットフォームである EIS OneSuite. を筆頭とする強力かつユニークな製品ラインアップを有するという。設計段階からデジタルネイティブであるEISの製品は、保険会社のインフラ環境を問わず、あらゆる事業分野でシームレスに動作し、あらゆる保険商品をサポート。新しい市場への参入、革新的な商品の発売、魅力的な顧客体験の創出を可能とし、コスト削減とインテリジェントな自動化といった成長への道のりの加速を実現する―としている。
損保ジャパンでは、不正請求対応専門部署の新設および保険金不正請求検知システムの導入により、従来、事案担当者の経験や知見に基づき不正請求の対応を進めてきたところを、担当者の専門性とデジタルの双方を活用した不正請求検知の高度化および専門部署によって、不正請求事案対応の強化を実現するとしている。
同社では今回の取り組みについて、「近年、自動車保険における保険金の不正請求は複雑化・巧妙化しており、組織的な犯行も増加している。保険金の不正請求は、保険金の適正な支払いを阻害するだけではなく、保険金全体の支払額増加に伴う保険料への影響など保険契約者全体の不利益にもつながり、損害保険業界のみならず社会全体にとって重要な課題の一つとなっている」としており、「今後も、さまざまな不正請求手口に対する検知や調査方法の確立に向けて、幅広く先進技術を取り入れ、保険金支払いの適切性のさらなる向上を目指す。また、火災保険や傷害保険など自動車保険以外の種目でも、このような取り組みを随時展開していく」としている。