2024.12.05 金融庁 IAIS執行委がICS採択を承認 米国合算手法との比較可能性評価も終了 12月5日年次総会でICS採択へ
金融庁は11月15日、保険監督者国際機構(IAIS)執行委員会(議長:金融庁・有泉秀金融国際審議官)が11月14日、国際資本基準(ICS)の採択を承認したこと、および米国合算手法(AM)の比較可能性評価を終了したことを発表した。IAISが「IAIS執行委員会、IAISメンバーによる国際資本基準の採択を承認し、合算手法の比較可能性評価を終了」(原題:IAIS Executive Committee approves Insurance Capital Standard for adoption by IAIS members and concludes Aggregation Method comparability assessment)と題するプレスリリースを公表したもので、同執行委員会により承認されたICSの最終版は、12月5日に南アフリカのケープタウンで開催されるIAIS年次総会で、IAISメンバーによる採択が提案される予定。
金融庁仮訳プレスリリースによると、「ICSは、国際的に活動する保険グループ(IAIGs)の監督のための共通の枠組みであるComFrameの定量的な要素を形成している。ガバナンス及びリスク管理を含むComFrameの定性的な要素は2019年に採択された。本年6月に公表されたモニタリング期間における最後のデータ収集に使用されたICSと比較して、最終的なICSでは二つの小さな修正が行われた。これらの修正は、信用リスク格付のマッピング及び非保険事業リスクの決定に関するものである。IAISの執行委員会はまた、米国によって開発された合算手法(AM)がICSと比較可能な結果を提供するかについての評価を完了した。比較可能性評価の最終化において、IAISは、米国のAMが比較可能な結果をもたらすためのICSの実施の土台を提供すると結論付けた。暫定的なAMの比較可能性評価は、最終的なAMの実施の一環としての作業が収れんを確保する助けとなるいくつかの分野、具体的には、金利リスクの取扱い及び監督上の介入の適切なタイミング、を強調した。最終的なAMをICSの実施として使用するにあたり、米国は、それらの分野に適切な方法で対処することにコミットしており、このことは、IAISのICS実施評価プロセスにおいて検証される。
IAISはまた、AMの比較可能性評価に関する報告書を公表した。この報告書は、評価のために踏込んだアプローチを概説し、比較可能な結果を提供すると評価された分野、及び、最終的なAMの実施の一環としての作業がICSとの収れんを確保する助けとなる、いくつかの状況において異なる結果を提供すると評価された分野に関するさらなる詳細を提供する」としている。
同プレスリリースによると、IAISの執行委員会議長である有泉秀氏は、「規制資本要件としてのグローバルな国際資本基準の合意に到達することは、IAISにとって画期的な成果である。この決定は、世界的な保険監督の強化と保険セクターの強靭性確保に対する、われわれの揺るぎないコミットメントを反映している」と述べている。
本件に関して加藤勝信財務大臣兼内閣府特命担当大臣は11月15日の閣議後記者会見で、「保険監督当局の国際機関であるIAIS(保険監督者国際機構)の執行委員会が、保険分野における初めての国際的な資本基準であるICS(インシュランス・キャピタル・スタンダード)を承認した旨、昨日公表があった。今般、IAIS執行委員会議長および関係者の尽力により、年末に開催予定のIAIS年次総会における採択に向けて大きく進展したことを歓迎したい。今後、これにより資本規制枠組みの収れんが進むことで、わが国の国際的に活動する保険会社にとっても公平な競争条件が確保できるほか、時価評価による保険会社の健全性のタイムリーな把握を通じた、契約者保護の強化や保険会社のリスク管理の高度化が期待されるところである。わが国としても、25年度の円滑な導入に向けて、各国の状況も踏まえつつ、着実に準備を進めていきたいと考えている」とコメントを公表した。
金融庁は10月31日、経済価値ベースのソルベンシー規制等に関する保険業法施行規則の一部改正(案)等を取りまとめ公表するとともに、これに対する意見の募集を開始したが、海外子会社に係る統合手法については、EUソルベンシーⅡにおける控除合算手法と整合的な手法の導入がIAISによるICSと米国合算手法の比較可能性評価の結果次第で、その時点で結論が明らかとなっていなかっため、改正案等には含まれていなかった。