2024.10.29 世界最大級のオルタナティブ資産運用グループ ブルックフィールドWSが再保険分野に参入 横岡氏が日本拠点の新代表に就任
世界最大級のオルタナティブ資産運用会社であるブルックフィールドのグループ会社で、リタイヤメント・サービスとウェルス・プロテクション商品のリーディングプロバイダーであるブルックフィールド・ウェルス・ソリューションズが国内再保険分野に参入する。すでに日本拠点の新たな代表として横岡朋英氏が就任している。今後、高齢化と人口減少が進む日本における同社の事業展開に注目が集まりそうだ。
ブルックフィールドはカナダを拠点とする世界最大級のオルタナティブ資産運用会社の1社で、2015年に日本に進出して以来、日本はブルックフィールド全体にとって戦略的に重要な市場となっている。同社は機関投資家市場と富裕層市場の両方で100を超える顧客との緊密な関係を築いており、不動産やインフラストラクチャーを含む主要な資産クラスで積極的な活動を展開している。
21年にブルックフィールド・コーポレーションからスピンアウトしてグループ会社となったブルックフィールド・ウェルス・ソリューションズは、複数の戦略的買収と有機的成長を経て、現在は1100億米ドルを超える保険資産を保有。過去の買収事例としては、アメリカン・エクイティ・インベストメント・ライフ・インシュアランス(強固なカスタマーサービスを有する定額年金および定額指数連動型年金の大手プロバイダー)、アメリカン・ナショナル・グループ(年金、生命保険、年金リスク移転、農業および商業用損害保険など幅広い保険商品で120年の歴史を持つ保険会社)、アルゴ(専門性の高い企業特有の補償と請求処理のニーズに対応するよう設計されたフルライン商品とサービスを提供する保険会社)などがある。同社はこれらの事業子会社を通じて、米国全50州、ワシントンD.C.およびカナダで事業を展開しており、英国では24年末から25年初めにかけて全面的な営業許可の取得を予定している。
今年ブルックフィールド・ウェルスソリューションズに入社し、マネージング・ディレクター兼日本代表に就任した横岡氏は、日本における保険会社とのパートナーシップの確立を統括する。これまで20年以上にわたって、バークレイズ、シティ、ゴールドマン・サックスの東京や米国ニューヨーク拠点においてM&Aアドバイザリーや資本調達サービスに携わっていた。ミシガン大学ロス・スクール・オブ・ビジネスで経営学修士号を、早稲田大学で経済学の学士号を取得しており、日本の公認会計士資格を持つ。
日本では今後、高齢化と人口減少が急速に進み、医療や年金など高齢化に関連する支出が増加する一方、課税基盤の縮小が財政を逼迫すると予測されており、民間セクターからの解決策によって負債を軽減したい企業年金制度を救済できる可能性があるとみられている。ブルックフィールドの既存のプレゼンスと、グローバルでの多様な保険・再保険サービスを有する同社では、国内保険会社とのパートナーシップを確立し、保険会社で拡大する負債の管理を支援する事業を通じて日本市場での独自の地位の確立を図っていく。
同社のサチン・シャーCEOは、今年行われた投資家説明会において、自社の成長に関する質問に対して、「私たちがフルプラットフォームとなった最初の年である今年(24年)は、年金保険と企業年金および公的年金を合わせて200億ドル弱の実績を上げる予定だ。私たちは300億ドル以上に到達できるプラットフォームを持っており、英国と日本では表向きまだ何もしていないが、米国のプラットフォームをそのまま構築すれば、10年以内に2000億ドル以上のビジネスに成長できると考えている。英国では年内に全面的なライセンスを取得し契約獲得の準備が整う予定であり、日本でも現地にチームを設置するなど、非常に積極的に進めている。オーガニックな事業だけで2000億ドルから2500億ドルに達すると思っており、その上にあるM&Aが私たちを3000億ドルの目標規模に到達させるはずだ」と回答している。