2024.10.23 東京海上HD トランジションで新たな目標を設定 「脱炭素関連保険料」26年度末450億円に 大口顧客とのエンゲージメント進捗も公表
東京海上ホールディングスは9月30日、気候変動に対する取り組みを従来以上に推進するため、脱炭素社会の実現に向けた中間目標として、トランジションに関する目標を新たに設定し発表した。併せて、昨年9月に公表した子会社の東京海上日動のエンゲージメントに関する中間目標の進捗について、23年度末時点の状況を「サステナビリティレポート2024」で公表した(同社ホームページに掲載)。
■トランジションに関する中間目標
東京海上グループは気候変動対策をグローバルに取り組むべき最重要課題として位置付け、2050年ネットゼロ社会の実現に向けて、自社の事業活動に伴うCO2排出量の削減やマングローブ植林など、さまざまな取り組みを行ってきた。また、これらに加えて、トランジション―カーボン・ニュートラル社会への移行―に向けて、顧客や投資先企業とともに脱炭素化の取り組みを進展させる必要があるとの考えのもと、顧客の脱炭素へのトランジションを支援する保険商品やソリューションを提供している。今回、こうした活動を従来以上に推進するため、脱炭素社会の実現に向けた中間目標としてトランジション支援に関する目標を新たに設定した。
「トランジションに関する中間目標」は、グループベースでの「脱炭素関連保険料」を2026年度末時点で「450億円」とすることを目標として設定した。「脱炭素関連保険料」とは、「洋上風力や太陽光発電等の再生可能エネルギー事業者向けの保険や電気自動車・蓄電池の保険等、脱炭素社会の実現に直接的に貢献する保険」と定義しており、例として、▽再生可能エネルギー事業者向け保険(建設・組立、財産、賠償責任、利益、船舶、貨物保険等)▽電気自動車・蓄電池の保証保険▽再生可能エネルギー事業の買収・譲渡を対象とする表明保証保険―が示されている。
以上の定義に基づく23年度の「脱炭素関連保険料」は355億円で、26年度末450億円を達成するためには、あと95億円増加させる必要がある。
■エンゲージメントに関する中間目標の進捗
グループの主要子会社である東京海上日動では、23年9月に保険引受に伴うGHG排出量の約9割を占める大口顧客200社をエンゲージメント対象に掲げた。その対話水準について、以下のようにレベル①~③を設定している。
レベル①課題把握:「対話イメージ」は、「企業の経営計画やIR資料等をもとに脱炭素化移行の計画や取り組みを把握するとともに、東京海上ホールディングスが保有する支援メニューを提示」。
レベル②課題認識をふまえた提案:「対話イメージ」は、「各企業と課題認識を共有のうえ、課題解決のための具体的な提案を実施。▽再生可能エネルギー導入支援およびリスク評価・リスク低減のための保険の引受▽気候変動に関する情報開示支援や脱炭素計画策定支援のコンサルティング等」。
レベル③保険引受・ソリューションの提供:「対話イメージ」は、「課題解決に向けて東京海上ホールディングスが提案した支援メニューや保険商品の提供を通じて企業を支援」。
同社では2030年までに「160社以上との対話水準をレベル②以上」とすることを目標にしており、23年度末時点の対話社数は、レベル①57社、同②75社、同③29社という結果だった。104社(エンゲージメント対象企業の52%)とレベル②以上の対話を実施したことになり、脱炭素化に向けた課題解決のための提案ないしは保険引受・ソリューション提供を行ったという。
同社では、引き続き顧客との深度ある対話や保険引受・ソリューションの提供を通じて、社会全体の脱炭素への移行を支援するとしている。