2024.10.10 東京海上日動 日本版ライドシェアに対応 「移動サービス事業者向け自動車保険」発売 1時間単位の保険料で引受け

 東京海上日動は9月17日、日本版ライドシェアに対応する「移動サービス事業者向け自動車保険」を2025年1月から発売すると発表した。損保業界で初めて1時間単位で保険料を算出する方式の移動サービス事業者向け自動車保険を実現、サービス提供の実態に即した保険料での加入を可能とする。
 日本版ライドシェアとは、本年4月から道路運送法第78条第3号を根拠に新たに創設された、地域の自家用車、ドライバーを活用し、タクシーが不足する場合の運送サービスを供給する自家用車活用事業のこと。
 日本版ライドシェア対応「移動サービス事業者向け自動車保険」は、日本版ライドシェアを活用する移動サービス事業者が契約者となり、事故が発生した場合にライドシェアドライバーが契約している自動車保険に優先して補償を提供する。
 補償の概要は、▽対人・対物賠償責任保険:移動サービス提供中の事故によって、ライドシェアドライバー等が他人にケガをさせたり車や塀等の他人の財物を壊したりして法律上の損害賠償責任を負う場合に保険金を支払う▽人身傷害保険:移動サービス提供中の事故によって、ライドシェアドライバーや乗客等がケガを被ったり死亡した場合や後遺障害が生じた場合に生じる、治療費・休業損害・精神的損害・逸失利益・介護料・葬祭費等を補償▽ロードアシスト:移動サービス提供中の事故等により走行不能になった場合等に、修理工場等までレッカー搬送を行い、レッカー搬送に必要な費用(車両搬送費用等)を支払う―という内容。
 また、日本版ライドシェアではドライバーが時間単位で勤務することも想定されるため、損保業界では初となる(24年9月時点、東京海上日動調べ)、原則として1時間単位で保険料を算出して引受ける方式とする(事業者が各輸送記録等をアプリ等のシステムで一律に管理し、勤務データを東京海上日動に提供する場合に限る)。
 コロナ禍のタクシー需要の大幅な減少に伴い全国のタクシードライバー数が減少し、コロナ収束後もドライバー不足が継続する中、インバウンド観光客の急増等もあり、地域・時期・時間帯によってはタクシーが捕まりづらい状況が発生しているという。そのような中で、地域交通の縮小による住民の移動手段の不足等の深刻な社会課題に対応するため、24年4月から日本版ライドシェアが創設され、タクシー事業者を通じて提供が進んでいる。
 東京海上日動では今回の日本版ライドシェア対応商品について、「当社では21年2月から、地方都市や過疎地域の移動手段の確保を目的に自家用有償旅客運送等を提供する市町村やNPO法人に対し『移動サービス事業者向け自動車保険』を販売している。ドライバーが契約している自動車保険に優先して保険金を支払うことから、事故時におけるドライバーの経済的負担を軽減し、ドライバーの担い手確保やより安心な制度運営を支援してきた。今回、日本版ライドシェアの創設を踏まえ、従来の対人・対物に加えて人身傷害保険やレッカー搬送サービスを補償ラインアップに追加するとともに、1時間単位で保険料を算出する方式の商品の販売を開始することにした」と説明している。
 同社では引き続き、ライドシェア事業の実態と顧客のニーズに即した自動車保険商品の開発・提供を通じて、社会課題の解決に貢献していくとしている。