2024.09.17 損保ジャパン 米Narvarと業務提携 EAJとEC返品サービス展開

 損保ジャパンは8月26日から、Narvar,Inc.(米国、 CEO:Amit Sharma )と業務提携し、日本エマージェンシーアシスタンス㈱(倉田潔代表取締役社長、以下、EAJ)を事業主体とした返品を起点とするEC(Electronic Commerce)購入体験の向上と事業者の売上拡大を支援するEC返品サービス「Return+/リターンプラス」(以下、「リターンプラス」)の提供を開始した。
 コロナ禍での消費者の購買行動の変容によって、世界の商品流通におけるECの拡大が継続している。ところが、商品の返品が容易にできないことがEC購入における消費者の大きな負担になっており、EC先進国の米国でNarvarが米国2161人の消費者を対象に行った調査「 Narvar Consumer Survey 2020 」では、96%の消費者が返品プロセスに満足したECストアでのリピート購入の意向を持つ一方で、33%の消費者は返品に不便を感じたECストアでは次の購入をしないと回答しているという。
 また、多くのEC事業者が「広告」「SNS」「Web接客」「レコメンド」などさまざまなマーケティング施策の導入などに力を入れており、商品「購入前」の顧客体験向上施策は充実している一方で、「購入後」については注力されることが少なく、ソリューション自体が限られているという。
 この現状に対し、損保ジャパンは、ユーザーの返品体験を改善することがEC売上拡大につながるとの考えの下、EC事業者がより簡単に安心して利用できる返品サービスを提供するためNarvarと業務提携を行い、EAJを事業主体とし、Narvarが提供するプラットフォームを拡張した返品UI(User Interface)・物流・CSのワンパッケージサービス「リターンプラス」の提供を開始した。
 「リターンプラス」のサービスは、商品購入者が「リターンプラス」に表示される注文履歴から返品したい商品を選択、複数の返品方法から最も便利な方法を選ぶことができるというもの。例えば、梱包不要となる最寄りの店舗での返品や、QRコードを使いコンビニエンスストアや宅配ロッカーから返品するペーパーレス返品などが選択可能という。
 EC事業者にとっては、人手をかけて管理している返品業務の自動化によって、社内業務とコストを削減できること、返品を希望する商品購入者の住所や返品理由などに応じて返品先を倉庫、店舗、品質管理部門など柔軟に設定できるため、在庫や商品管理の効率化に役立てられることがメリット。加えて、返品傾向や返品理由などが自動的に分析され「リターンプラス」のEC事業者用管理ページに表示されるため、商品ページの改善や商品開発に生かすことができ、将来の売上拡大につなげることも可能としている。
 今回の業務提携では、Narvarは、商品購入者に多様な方法を提示し円滑な返品を実現する直観的に入力可能な返品UIを提供。EAJは、「リターンプラス」の事業主体となり、返品送料の固定化に加え、Narvarが提供する返品UI、物流、カスタマーサポートの手配をワンパッケージで提供する。損保ジャパンはEC事業者を含む「リターンプラス」を利用または運営する事業者のビジネスを支援する損害保険(サイバー保険など)を提供することで「リターンプラス」のサービスを支援する。
 なお、Narvarは2012年に米国で創業されたECにおける注文後の買い物体験を向上するプラットフォームを提供する会社で、グローバルでの導入実績は1300社を超え、21年から日本国内でのサービス展開を開始し、導入事例を拡大中とのこと。