2024.08.15 MS&ADHD、東京海上HD トヨタ自動車の株式一部売却へ 相互に株式公開買付に応募する方式
MS&ADインシュアランスグループホールディングスおよび東京海上ホールディングスは7月23日、政策保有株式の削減に向け、トヨタ自動車㈱との間で各々が自己株式の公開買付けを実施することにより、トヨタ自動車との株式の一部持合解消を実施すると発表した。トヨタ自動車も同時に同旨を発表、併せて㈱三菱UFJフィナンシャル・グループ、㈱三井住友フィナンシャルグループとも同様に自己株式の公開買付けにより株式の一部持合解消を実施すると発表した。
MS&ADHDがトヨタ自動車の公開買付けに応募する予定の株式は、三井住友海上が9469万635株、あいおいニッセイ同和損保が515万8520株の合計9984万9155株で、買付価格は1株につき2781円、売却予定総額は2776億8050万0055円となる。内訳は三井住友海上2633億3465万5935円、あいおいニッセイ同和損保143億4584万4120円。三井住友海上は2024年3月31日時点でトヨタ自動車株式を2億8407万1835株(所有割合:2.11%)保有しており、売却する株式の所有割合は0.70%に該当する。また、あいおいニッセイ同和は同じくトヨタ自動車株式を1547万5420株(所有割合:0.11%)保有しており売却する株式の所有割合は0.04%に該当する。
一方、トヨタ自動車は、MS&ADHDの株式を1億5783万2799株(所有割合:9.92%)保有しており、第二位株主となっている。MS&ADHDの自己株式の公開買付けに応募し5261万0900株(所有割合3.31%)を売却する。MS&ADHDの買付価格は1株につき3298円で、買付予定総額は1735億1074万8200円。
また、東京海上HDは、子会社の東京海上日動がトヨタ自動車株式を2億5532万3570株(発行済株式総数に対する割合1.89%)保有しており、今回、トヨタ自動車の自己株式の公開買付けに応募し8510万7800株(同0.63%)を売却する。トヨタ自動車の買付価格は1株につき2781円で、売却予定総額は2366億8400万円となる。
一方、トヨタ自動車は、東京海上HDの株式を941万4165株(発行済株式総数に対する割合:0.48%)保有している。東京海上HDの自己株式の公開買付けに応募し941万4165株の全部を売却する。東京海上HDの普通株式公開買付の予定数は1035万5582株、買付価格は1株につき5499円で、買付け等に要する資金は569億9834万5418円としている。
いずれも24年7月24日~8月26日が公開買付期間で、決済開始日は同9月18日の予定。
MS&ADHDは今回のトヨタ株式一部売却・自己株式取得について「2023年12月26日付で金融庁より保険料調整問題に係る行政処分(業務改善命令)を受け、政策株式の所有が保険料等の調整行為を生じさせた要因の一つであるとの認識に至り、損害保険業界の適正な競争環境確保のため、政策株式は所有しない方針を策定し、三井住友海上およびあいおいニッセイ同和損保が2024年2月29日付で金融庁に提出した業務改善計画において、所有する政策株式を売却し、30年3月末までに所有をゼロとする方針とした。また、かかる業務改善計画の提出を機に、売却資金の一部を自社株買いに充てることで、今後さらに株主還元を拡大していくことを検討してきた。かかる状況を背景に、24年3月上旬頃から、グループ修正利益を踏まえた株主還元に加えて、ESRが25年度の目標値のレンジ(180%から250%)の上限に近い水準にあることを踏まえた資本水準の調整を実施すべく、自己株式の取得を検討していた」と説明している。
また、東京海上HDは、「グループのリスクポートフォリオを見直し、社会課題解決や成長分野等に対して資本を振り向けるべく、政策株式をゼロにする方針を決議しており、それまでも各保有先企業との間で政策株式の削減に向け議論を行ってきた。そのような中、子会社である東京海上日動はトヨタ自動車に対して、政策株式を削減するべくその所有するトヨタ自動車の普通株式の一部について売却したい意向がある旨を伝えた。その後協議を重ねた結果、東京海上日動はトヨタ自動車から、今回の公開買付けへの応募についての提案を受けた。提案内容について検討した結果、買付価格等の条件が妥当であると判断できたことから、公開買付けへの応募を決定した」としている。