2024.08.13 東京海上日動、イントラスト ひとり親家庭の養育費受取りを支援、「養育費保証自治体モデル」を共同開発

 東京海上日動は7月19日、ひとり親家庭の確実な養育費の受け取りを実現するため、保証事業(家賃債務保証、医療費用保証、介護費用保証、養育費保証)を手掛ける㈱イントラスト(東京都千代田区、桑原豊代表取締役社長)と「養育費保証自治体モデル」を共同開発したと発表した。
 厚生労働省の令和3年度(2021年度)全国ひとり親世帯等調査によると、日本における離婚したひとり親家庭(118万世帯)のうち、約7割(86万世帯)が養育費を受け取っていない状況にあるという。ひとり親家庭の確実な養育費の受け取りを実現するためには、離婚時に、強制執行認諾条項付き公正証書(以下、公正証書(注))の作成や、養育費の支払人に支払余力がない場合の対応、養育費の不払いを発生させない仕組みの整備など、解決すべき多くの課題が残っている。
 東京海上日動はひとり親家庭の支援のために、一部の自治体が行っている公正証書の作成費用の補助や養育費保証契約を締結する際に必要となる費用の補助等の取り組みについて後押しする方法を検討してきたが、検討を進める中で、公正証書の作成を推奨すること、および受取人の精神的・経済的負担を軽減できる仕組みの必要性を認識したという。
 こうした背景から、同社は養育費保証に豊富な実績のあるイントラストとの協業により、「養育費保証自治体モデル」を開発した。同モデルでは、自治体とイントラストが保証契約を包括的に締結するため、当該自治体におけるほぼ全てのひとり親家庭が養育費を確実に受け取ることができるという。
 「養育費保証自治体モデル」では、自治体は公正証書を作成したひとり親に代わってイントラストと養育費保証の包括契約を締結しイントラストに対して保証料を支払う。その上でひとり親に対して公正証書の作成支援などのサービスを提供する。イントラストは、公正証書を作成したひとり親の養育費の受け取りを包括で保証し、養育費の未払いが発生した場合にはイントラストがひとり親へ立替払いを行い、その後、養育費支払人へ養育費の催促・回収を行う。東京海上日動はイントラストと保険契約を締結し、イントラストが養育費を保証した結果、イントラストが被る損害の一定割合を保険金として支払う。
 同モデル導入による効果として、公正証書の作成により養育費の支払人の支払義務が法的拘束力を持ち、かつ、養育費保証契約が自動付帯されることで、仮に養育費の支払滞納が発生した場合でも、ひとり親家庭が確実に養育費を受け取ることが可能となる。また、地方自治体と保証会社が養育費保証の契約を締結するため、ひとり親家庭は養育費保証を自ら締結する必要がなく、保証料等の費用負担もない。
 東京海上日動では、子どもが安心して成長できるひとり親家庭の環境づくりに貢献するため、今後も同モデルの全国展開を目指してイントラストと連携し各地方自治体への提供を推進し、ひとり親家庭に対しても同モデルの周知を図る取り組みを行っていくとしている。
 (注)法律の専門家である公証人が、公証役場で離婚時の養育費等に関して合意内容を確認して作成する文書。強制執行認諾条項付き公正証書にしておくと、後に養育費が支払われなくなり差し押さえなどの強制執行が必要となったときに、訴訟などの手続きを行わなくともただちに強制執行手続きをすることができる。