2024.08.09 損保ジャパン、日新 リターナブル物流容器のリスクを補償 ハコラボ専用保険を共同開発

 損保ジャパンと国際物流等を手掛ける㈱日新(神奈川県横浜市、筒井雅洋代表取締役社長)は7月12日、日新が提供するリターナブル物流容器ソリューション「HACO Lab.(以下、ハコラボ)」を対象とした専用保険を共同で開発したと発表した。
 ハコラボ専用保険は、「ハコラボ」が提供するシステムにおいて、輸出入で使うリターナブル物流容器(以下、RTI: Returnable Transport Item )の紛失、盗難、破損のリスクを補償する。ハコラボから取得する在庫管理や位置情報、拠点に関わるデータを保険設計・開発・契約の改善、および事故対応や事故防止に活用するもので、輸出入で使われるリターナブル物流容器に関するデータを保険と連動させるサービスは国内初(損保ジャパン、日新調べ)とのこと。
 両社によると、多くの物流現場では、貨物の輸送に使い捨てのワンウェイタイプの物流容器が採用されている。繰り返し使用が可能なRTIも存在しているが、導入から運用に至るまでの間にRTIのデータ登録等煩雑な手続きが多く、加えて日々の個体管理など多くの手間を要している。また、RTIの紛失や滞留も課題となっているという。
 日新のハコラボはRTIを切り口とした独自の物流ソリューションで、顧客の製品特性に合わせたRTI開発から、個体管理、静脈物流を含めたグローバル規模での運用まで、トータルでサポートする。物流コストやCO2排出量の削減に貢献する環境に優しい循環型の物流を提案している。
 ハコラボが提供するRTI管理システムは、入出荷作業や拠点間移動の実績を自動認識技術で記録し、クラウド型管理システムでリアルタイムな情報を一元的に管理する。これにより容器管理コストや作業負荷を削減することで、顧客の本来業務への集中を実現する。一方で、RTIは使い捨て容器に比べると高額になるため、リターナブル運用時の紛失・盗難のリスクを懸念してRTI導入に躊躇する企業も少なくないという。
 損保ジャパンは、企業が物流容器のリターナブル化を検討するうえで、紛失した際の容器代を懸念し採用を断念することもあるという声があるところから、環境に配慮したハコラボのソリューションの思想に賛同し、ハコラボ専用の保険を開発、両社で保険を活用したソリューションを提供することにした。
 RTI容器ユーザーは容器メーカー等からのレンタルでRTI容器を使用する。ハコラボ専用保険は日新を保険契約者とし、容器メーカー等を被保険者とする。保険事故が起こった際には容器メーカー等が直接損保ジャパンに保険金請求し、損保ジャパンが保険金を容器メーカー等に支払う。容器ユーザーはハコラボで容器管理を行い、容器管理データは日新、容器メーカー等、損保ジャパンに共有される。
 同保険は、紛失や盗難に加えて破損のリスクにも対応。輸配送途中だけでなく、納品先からの未回収分(紛失や盗難等に関わるリスク)も補償対象とするため、RTI導入の障壁を下げることができる。万が一の事故の際にも紛失や盗難のデータを取得することができ、事故削減につながり、回収・発見の可能性も高くなる。