2024.08.06 あいおいニッセイ同和損保 再エネ事業者と排出権購入企業を媒介 「排出権取引の媒介業務」開始

 あいおいニッセイ同和損保は7月5日、企業のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを後押しするため、再生可能エネルギー事業者等が創出する温室効果ガス(以下、GHG)排出権を同社取引先を中心とした各企業に媒介する「排出権取引の媒介業務」を、同月から本格的に開始すると発表した。
 「排出権取引の媒介業務」のスキームは、あいおいニッセイ同和損保が媒介者として再生可能エネルギー事業者等と媒介契約を締結し、排出権売買契約の締結を円滑に進められるように購入検討企業に対してGHG排出権取引の概要や活用方法について説明を実施。排出権売買契約が成立すると、当該企業が再エネ事業者等から排出権を購入し、再エネ事業者等が排出権証明を当該企業に発行する。あいおいニッセイ同和損保は再エネ事業者等から売買代金に対する手数料収入を受け取るというもの。
 すでに媒介案件の第一号として、再エネの活用・普及拡大の協業先であり、太陽光発電のPPA事業(注1)からグリーン電力証書(注2)を創出する㈱アイ・グリッド・ソリューションズとあいおいニッセイ同和損保は「グリーン電力証書紹介業務に関する契約書」を締結し、100%再生可能エネルギー導入の取り組みを進めているあいおいニッセイ同和損保取引先の太平洋工業㈱にグリーン電力証書活用の提案を行い、GHG排出権の取引媒介が成立しているとのこと。
 あいおいニッセイ同和損保は今後、グリーン電力証書に限らず、Jクレジット(注3)等も含むGHG排出権の活用を同社取引先等の各企業に紹介し、カーボンニュートラルの実現を支援していくとしている。
 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、さまざまな企業・団体が省エネ・再エネ活用によるGHG排出量の削減を進めており、近年は企業間のGHG排出量の過不足をグリーン電力証書制度やJクレジット制度といった環境関連の証書を用いて取引するGHG排出権取引制度が加速している。一方、国内におけるGHG排出権取引制度は緒に就いたばかりであり、「仕組みが分からない」「排出権の購入方法が分からない」といった課題を抱える企業も多い状況だという。
 あいおいニッセイ同和損保では、企業のカーボンニュートラルの実現を後押しするため、社員による炭素会計アドバイザー3級資格の取得によるリテラシー向上や、取引先への再エネ導入の提案などに取り組んできており、今般の「排出権取引の媒介業務」の本格的開始となった。
 (注1)「Power Purchase Agreement(電気販売契約)モデル」の略。PPA事業者が、電力の需要家の敷地や屋根に太陽光発電設備を無償で設置し、発電された電力を需要家に有償提供するビジネスモデル。
 (注2)自然エネルギーにより発電された電気の持つグリーン電力の環境価値の保有を希望する需要家が、電気自体とは切り離されたグリーン電力価値を証書等の形で保有し、その事実を広く社会に向けて公表できる仕組み(出典:一般財団法人日本品質保証機構)。 (注3)企業や自治体などが実施するプロジェクトで得られたGHG排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度。