2024.07.24 住友生命 24年定時総代会開催 「より良く生きる」への貢献目指す なくてはならない保険会社グループに
住友生命は7月2日、大阪府大阪市のホテルニューオータニ大阪で「2024年定時総代会」を開催した。高田幸徳社長が23年度決算概要や事業報告、24年度の取組方針などを説明した他、決議事項として23年度剰余金処分案承認の件、社員配当金割当ての件、取締役11人選任の件など3議案を審議し、全て承認された。高田社長は、“住友生命「Vitality」”を軸とした先進価値で保険や健康増進など顧客のニーズに応えていく領域に加え、地域創生や地球環境といった社会課題の解決にも積極的に取り組むと同時にビジネスパートナーや従業員を含む全てのステークホルダーのウェルビーイングを支える取り組みを進め、一人でも多くの人の「より良く生きる」に貢献し持続可能な未来の実現を目指すと述べた。
高田社長は、「社会公共の福祉に貢献する」というパーパスの実現に向けて果たす使命として「サステナビリティ経営方針」を定めていることから、住友生命グループの2030年のありたい姿を「ウェルビーイングに貢献する『なくてはならない保険会社グループ』」とする「住友生命グループVision2030」を23年度に策定したと報告した。
「住友生命グループVision2030」の実現に向け23年度にスタートした3カ年計画「ス ミセイ中期経営計画2025」では、サステナビリティ重要項目の取り組みを促進すると同時に、①ウェルビーイングデザインへの進化②新規領域でのイノベーションの実現③収益構造改革④グループ戦略―の四つに注力していることに加え、四つの取り組みの推進エンジンとして、「人財共育」や「デジタル&データ」の取り組みを進めながら事業のサステナビリティを高めるよりよい企業風土の醸成や事業リスク対策も進めていることを強調した。
また、保険のコンサルティングを軸とした商品・サービスの提供だけでなく、保険以外の領域も含めたサービスを総合的に提供する「ウェルビーイングデザイン」に進化させることを通じて、顧客を守り、増やしていくと同時に、これまで以上に地域に根付き、顧客に寄り添い続ける会社の実現に向けて取り組みを進めるとした。
23年度については、営業職員チャネルでは、全ての営業職員が「ウェルビーイングデザイナー」を目指し、“住友生命「Vitality」”を軸にしたライフデザインの領域に加え非保険領域のサービスを総合的に提供するとともに、これまで以上に地域社会への貢献に取り組むことで活動の幅を広げたことに加えて、顧客に寄り添いウェルビーイングを提供し続ける競争力の高い人財集団づくりに向けて、AI等を活用した活動・コンサルティングサポートの展開を通じて新人営業職員や指導者教育のレベルアップを図ったと述べた。
金融機関等代理店チャネルでは、多様化する顧客ニーズや環境変化に的確に応えるため、商品をフルラインで取り揃えるとともに、顧客向けサービスや代理店サポートの拡充に努めたと説明した。
国内子会社における取り組みについては、アイアル少短で多様化・細分化する顧客ニーズに対応した機動的な商品開発に努めるとともに、プラットフォーマーや異業種企業等と連携したデジタル保険の展開を進め、「熱中症お見舞い保険」と「インフルエンザお見舞い保険」の提供を推進したと述べた。
新規領域でのイノベーションの実現については、一人一人がより良く生きることに貢献するために「WaaS」の開発に取り組み、実装につなげるとともに、新規領域におけるサービスを充実させることで、住友生命グループのサービスを受ける顧客の拡大に取り組んだとした。また、「病があっても幸せに、齢を重ねても幸せに」をコンセプトに各種サービスの開発を進めたと報告した。
収益構造改革・グループ戦略については、住友生命グループのサステナビリティを高めるために、資産運用や海外事業の強化、コストコントロールなど持続的安定的な成長に資する総合的な取り組みを進めた。また、社会・環境課題の解決に向けた取り組みをグループ全体で推進すると同時に「Vision2030」の実現に向けた戦略をグループベースで策定し、グループとしての一体感やシナジー発揮に向けた運営を推進したと説明した。
「人財共育」については、ウェルビーイングに貢献し持続可能な未来を実現する根幹の「人の価値」を高めるために社長を本部長とした「人財共育本部」を中心に経営方針に基づいた事業戦略と人財戦略の一体化の取り組みを進め、23年度から経営戦略を踏まえた新コンピテンシー(目指す人財像)運営を開始した他、職員の自律的なキャリアプランニングを推進したと述べた。
「デジタル&データ」については、人の力だけでは実現できないことをデジタルとデータで補完して新たな価値を提供するため、23年4月に設置した「デジタル&データ本部」で住友生命グループ全体のデジタル化・データ活用を推進するとともに各部門における実行支援等に取り組んだとした。
また、よりよい企業風土の醸成に向けて、「お客さま本位の業務運営」のさらなる推進のため全役職員がこれまで以上にお客さま視点で発想し行動できるように「住友生命グループ行動規範」の浸透に注力したことに加え、職員一人一人の「ありたい姿(WILL)」を育み、組織の一体感を醸成するためにウェルビーイングに関するミーティングの機会を定期的に設けるとともに役員層と職員との対話機会の拡充等を実施したと述べた。
また、人口減少や気候変動といった環境変化への対応が不十分となり、同社のビジネスモデルにおける強みが損なわれ「Vision2030」や経営計画の達成を阻害することになるリスクを事業リスクと捉え、事業リスクの洗い出しと特定等、PDCAサイクルを明確化しモニタリングを開始したと述べた。
経営基盤の強化については、資本政策面では、財務基盤の一層の強化を目的に23年8月に500億円の基金を募集し、基金の総額(基金償却積立金含む)は6890億円となった他、米ドル建永久劣後特約付社債の発行と期限前償還を実施したことを報告。
経営管理面では、環境変化や「Vision2030」の制定等を踏まえ、17年に策定した「消費者志向自主宣言」を改正した。また、ガバナンスの充実という観点で、総代候補者選考委員会で25年改選の総代候補に関する自薦を公募し、同委員会が推薦する候補者の一部を当該自薦者から選定することを決定したと報告した。