2024.07.22 英ハウデンが日本市場へ進出 キーストーンと資本業務提携 ILS関連サービスを提供
イギリスの保険仲介グループであるハウデン(Howden)が7月3日、日本市場への進出を発表した。ハウデン・リー・ジャパン㈱(多田健太郎代表取締役CEO)を設立し、キーストーン・アイエルエス・キャピタル㈱(山本伸二代表取締役CEO、以下、Keystone)との保険リンク証券(ILS)のサービス提供に関する資本業務提携を開始する。また同日、Howden Group Japan Holdings㈱(東京都千代田区丸の内1丁目4―1丸の内永楽ビルディング、以下、Howden Japan)の代表取締役CEOに多田健太郎氏が就任したことも併せて発表、同氏が日本国内におけるハウデンの事業の長期的な戦略に基づいた拡大を統括することになる。
ハウデンは、創業社員および従業員グループが最大の株主となっている世界有数の保険仲介グループ。1994年の設立で、保険、再保険、引受サービスやソリューションを個人顧客から大規模な多国籍企業の顧客まで幅広い層に提案している。欧州、アフリカ、アジア、中東、中南米、米国、オーストラリア、ニュージーランドの55カ国で事業を展開し、1万8000人の従業員を擁し、取り扱い保険料は総額380億米ドルにのぼるという。
ハウデン・リー・ジャパンは国内において、生命保険および損害保険会社に対して再保険仲介サービスを提供するとともに、データ分析や資本市場の専門知識を活用した戦略的アドバイスを行う。
今回、日本における再保険仲介サービスを強化するため、保険リンク証券(ILS)のストラクチャリングおよびキャピタルマーケットアドバイザーであるKeystoneに出資したが、同社では「近年、国内において自然災害やそれに伴う経済的損失の増加、資本調達先の多様化という戦略的ニーズ、再保険ソリューションにおける業界の継続的なイノベーションの追求などを背景としてILS関連サービスに対する需要が大きく伸びている。日本の自然災害プロテクション・ギャップは保険料換算で300億ドルと世界で2番目に高い水準にあり、地震リスクがその大半を占める」としており、Keystoneの山本代表取締役CEOは「国内の大規模自然災害によってもたらされると予想される多大な経済損失は、日本にとって重大な社会課題だ。Keystoneは、保険リンク証券を活用し、こうしたリスクの国際分散を促進することに注力している。ハウデンとの提携により、日本国内のさまざまなニーズに合わせた包括的なサービスを提供できるようになる」と説明した。
ハウデン・リー・ジャパンの多田代表取締役CEOは「今回の発表は、ハウデンが日本において長期的に事業を展開する体制を確立するための第一歩だ。当社は継続して日本の災害レジリエンスと企業の持続的発展に貢献していく。地震や台風などの大規模な自然災害リスクのみならず、サイバー攻撃や地政学的な緊張の高まりなど、日本国内の個人および企業を取り巻くリスク環境は複雑化している。そのような環境の中、 日本の顧客には、ハウデンのグローバルな専門知識を活用いただきたいと考えている」と述べた。
多田氏はこれまで、楽天損保代表取締役社長、ガイ・カーペンター・ジャパン代表取締役社長、SBISSIホールディングス代表取締役社長兼CEOなど、数々の要職を歴任してきており、ハウデン最高経営責任者(CEO)の David Howden (デイビッド・ハウデン)氏は「日本市場に進出するこの機会を私たちは興奮をもって受け止めている。従業員グループが最大の株主であるハウデンのユニークなビジネスモデルは、進取の気性に富み、起業家精神にあふれた社員たちが国境や専門分野を超えて協力し合い、顧客のために最大限の成果を発揮する企業文化を支えている。このような顧客サービスに関するアプローチと長期的な取引関係に対するコミットメントは、日本の企業文化と多くの共通点があると考えている。業界経験豊富な多田氏の就任により、ハウデンが日本の顧客のために、斬新かつ創造的なリスクソリューションを提供する体制が整った」とコメントしている。