2024.07.19 明治安田生命 第77回定時総代会開催 3カ年の経営目標はおおむね達成 顧客満足度は過去最高値更新

 明治安田生命は7月2日、東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京で第77回定時総代会を開催した。23年度の事業報告が行われた他、決議事項として23年度剰余金処分案承認の件、総代候補者選考委員選任の件、取締役11名選任の件の3議案が審議され全て承認・可決された。21年度からの3カ年プログラム「MY Mutual Way Ⅰ期」の取り組み成果を報告した永島英器社長は、「おおむね経営目標を達成した」と述べた。また、ブランド通称変更の効果や若年層に対する販売戦略など総代から寄せられた質問に対し各担当役員が丁寧に回答した。当日は委任状を含め219人の総代が出席した。
 23年度の事業報告ではまず、2030年に目指す姿を「『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」と定めて20年に開始した10年計画「MY Mutual Way2030」における3カ年プログラム「MY Mutual Way Ⅰ期」(2021~23)の総括を行い、4「大」改革と2「大」プロジェクトにDX戦略を融合させることにより成長軌道の確保に取り組んだ結果、企業価値を示すグループサープラスや、健全性、収益性、成長性などの項目はおおむね目標を達成したと説明した。
 次に、各分野の主な取り組みとその成果を報告。「営業・サービス『大』改革」では、「MYリンクコーディネーター(LC)制度」を創設し、営業職員に顧客の健康増進や地域とのつながりをサポートする新たな役割を付与するとともに、行政サービス案内等の社会貢献型営業モデルや対面・非対面融合型の営業モデルを推進した結果、顧客数・保障性商品の保有契約年換算保険料共に増加したことを報告した。
 「基幹機能・事務『大』改革」に関しては、LCと共に顧客を訪問し専門知識を生かして各種手続きのサポートを行う「事務サービス・コンシェルジュ」の新設が顧客満足度向上につながったことの他、マイナンバー制度を利活用した事務サービスの展開や必要書類の簡素化などによって顧客の利便性と事務効率の向上を図ったことを紹介した。
 「資産運用『大』改革」については、アセットアロケーション機能の強化や資産運用手法の多様化・高度化、海外運用拠点の設置などによって国内生保トップ水準の資産運用態勢を構築したとし、ESG投融資額は3カ年目標を大きく上回る実績となったことを報告。また、海外保険事業においても米国での新規買収や既存出資先のポートフォリオの見直しを通じて収益力の強化に取り組んだとした。
 「Mutual経営『大』改革」では、企業理念「明治安田フィロソフィー」を経営の根幹に据えた顧客志向の業務運営を推進しながら、「健全性水準に応じた経営の方針」の公表等によるERM(統合的リスク管理)運営の実効性向上や、「MYミューチュアル配当」の創設等を通じての相互会社経営の一層の高度化に努めたと説明した。
 また、SDGsを踏まえた優先課題を設定し、健康寿命の延伸、地方創生の推進、環境保全・気候変動への対応などを通じてサステナビリティ経営に取り組んだ他、女性職員の活躍促進といった「ひと」中心経営を積極的に推進したことを報告した。
 DX戦略については、顧客専用ウェブサイトにおけるUX・UIの改善や生成AI等を活用した社内業務の効率化・高度化に取り組んだとし、加えてイノベーション推進として、スタートアップ企業を投資対象の中心に置いた100億円の投資枠「未来共創投資」の新設や企業・自治体・研究機関等さまざまなパートナーとの連携・協業を行ったことを紹介した。
 2「大」プロジェクトの「みんなの健活プロジェクト」においては、健活商品のラインアップを拡充し健康診断などの受診を後押しするとともに、イベント等を通じて顧客の健康増進サポートに取り組んだ結果、健康年齢と実年齢の差が改善するなどの効果が認められ、また、「地元の元気プロジェクト」では、自治体との連携協定の締結や地方創生に貢献する取り組みを継続して推進し、内閣府特命担当大臣による表彰など外部からも高い評価を得たと説明した。
 これらの取り組みにより顧客満足度が向上したとして、調査の結果、総合満足度が68.7%、LC満足が71.5%と過去最高値を更新したことを明かした。
 続いて、23年度の決算報告を行い、保険料等収入はグループ・単体ともに減収となったものの基礎利益はグループ・単体ともに大幅な増益となり、グループESRも引き続き高水準を維持していることから良好な結果だったと振り返った。
 最後に、24年度からの新たな3カ年プログラム「MY Mutual Way Ⅱ期」の概要を紹介し、シェアの拡大と共創を通じた多元的価値の創造によって目指す姿である「生命保険会社の役割を超える」を実現していくとして、生命保険会社の従来の役割を大切にしながら2「大」プロジェクトの取り組みを強化することで、「ヘルスケア・QOL向上」と「地域活性化」の2方向への役割拡充を図ると述べた。
 経営戦略については、「営業サービス・フロントの更なる強化」「生命保険の機能の拡張」「資産運用の高度化と海外保険事業の拡充」の三つの成長戦略と、それらを支える「『ひと』中心経営の推進と働きがいの向上」「IT・デジタル投資のさらなる推進(DX戦略2.0)」「ガバナンスの高度化とサステイナビリティ経営の推進」の三つの経営基盤拡充戦略に取り組むとし、グループサープラスにおける年平均5%の成長を実現すべく健全性・収益性・成長性の各項目で経営目標を設定したと説明した。
 永島社長は、「私たちは『確かな安心を、いつまでも』という経営理念の下、相互会社として長期に安定した経営を心掛け、お客さま一人一人の人生に寄り添うアフターフォローを提供してきた。また、お客さま、地域社会、未来世代、働く仲間との絆を大切にすると宣言している。相互会社として、ステークホルダーと長期的に関係を築いていけることに感謝しつつ、社会課題の解決に向けて、これからも全力で取り組んでいく」と強調した。