2024.06.24 生保協会 定例会見 清水会長が1年間を総括 顧客本位、地域社会、地球環境軸に取組強化

 生保協会の清水博協会長は6月14日、同協会会議室で協会長として最後の定例会見を行った。会見では、清水協会長が1年間の取り組みを振り返った他、事務局から、同日開催された理事会で副会長、各委員会委員長が内定したこと、生命保険の役割や同協会の社会的責任に関する活動を多くの人に周知することを目的に毎年作成している「生命保険協会SR報告書2024」を踏まえ本年度新たに清水協会長が就任時に掲げた取り組みを含む直近1年間の主要な取り組みをまとめた「ハイライト版」を作成したことに加え、1月3日付で設置した「令和6年能登半島地震」にかかる大規模災害対策本部を収束したことが報告された。
 清水会長は、協会長としての就任の所信で発表した1年間の取り組みについて、生保協会ではこれまでに社会保障制度を補完する社会基盤としての使命を果たす活動を進めており、今後もさまざまな社会課題解決に貢献することで、顧客からの信頼を維持し、社会に役立つ業界であり続けたいという考えのもと、①顧客本位の業務運営の推進②地域社会における課題解決③地球環境の課題解決―の三つを軸に取り組みを進めてきたと振り返った。
 一つ目の「顧客本位の業務運営推進に資する取り組み」については、顧客に対して変わらない安心を提供し社会に貢献し続けるには、会員各社が顧客の最善の利益を追求する顧客本位の業務運営の推進が最も重要であることから、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢のさらなる高度化にかかる着眼点」を踏まえ、会員各社の取り組みに関するフォローアップや会員各社による意見交換、フォローアップアンケートの結果を基に内容を更新したことを報告した。
 また、外貨建保険の販売管理等体制の改善に向けて、顧客の最善の利益の追求という観点から、生保協会のガイドラインを改定し、中長期間加入することでリターンが期待できるという外貨建保険の商品特性を踏まえ、販売会社や元受会社が対応する事項を記載したと述べた。
 さらに、パンデミックの経験を今後に生かすことを目的に、会員各社の新型コロナウイルス感染症をめぐる一連の取り組みをまとめた「新型コロナウイルス感染症をめぐる生命保険業界の取り組み及び次のパンデミックに向けた経験の継承」を作成した他、国民の金融リテラシー向上に向け、損保協会、生命保険文化センターと「保険教育に関する包括連携協定」を締結したことを報告した。
 二つ目の「地域社会における課題解決に資する取り組み」については、喫緊の課題となる少子化に対する生保協会の役割をあらためて示し、社会全体の子育て支援に対する機運高揚に貢献することを目的に、生保協会会員各社の子育て支援の取り組みを取りまとめた「子育て支援等にかかる報告書」に加え、国や地方自治体の子育て支援制度や子育てに役立つ情報等をまとめた冊子「知っておきたい子育てに役立つ子育て支援制度」を作成・公表したと述べた。
 また、生保協会会員各社は以前から地域社会に根差した社会貢献活動に積極的に取り組んでおり、こうした生保業界の取り組みを分かりやすく伝えることを目的に、一元的に可視化する形で生保協会のホームページ等を改定したと説明した。
 さらに、デジタライゼーションが急速に進展する中、先端技術に関する最新の状況を把握し、生保事業への影響を意識することが重要であることから、会員各社のデジタル化の取り組みを後押しする「分散型デジタル社会及びWeb3.0に関する調査報告書」の作成に加え、有識者による勉強会を実施したと述べた。
 三つ目の「地球環境の課題解決に資する取り組み」については、会員各社の取り組みの後押しを目的に、①地球環境等に係る課題を平易に解説した基礎編②地球の未来とグローバルなイニシアティブの動向など専門的なテーマを解説した応用編―の、持続可能な社会実現に向けた2種類の「地球環境等の課題解決に資するハンドブック」を作成・公表したと説明した。また、23年に東京で開催された「PRI in Person2023」およびIAIS年次総会をきっかけに業界全体の取り組みについて主体的に情報を発信するとともに、会員各社の取り組みの一層の高度化につなげることを目的に会員各社との意見交換などを実施したことを報告した。
 次に、「生命保険協会SR報告書2024」について、軸となる三つの取り組みに加え、顧客からの信頼を維持し、生保業界の健全な発展に向けた基盤整備に向けて積極的に意見発信をしてきたという生保協会のさまざまな取り組みを幅広く取りまとめたものだと紹介した。
 最後に清水協会長は、1年間でこれらの取り組みを前進させることができたのは関係各社の支援・協力の賜物だと謝辞を述べた上で、「残り1月余りの任期の最後まで全力で取り組んでいく」と締めくくった。