2024.06.14 ソニーフィナンシャルグループ 23年度末決算 基礎利益は55%増1859億円に ソニー生命の新契約保険料24%増

 ソニーフィナンシャルグループが5月21日に発表した2023年度末決算によると、連結経常収益は生命保険事業、損害保険事業および銀行事業の全事業で増加した結果、前年度比61.4%増の3兆4503億円だった。連結経常利益は銀行事業で増加したものの生命保険事業と損害保険事業で減少した結果、同55.6%減の543億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少に加えて、前年度に計上したソニー生命子会社における資金回収による利益やソニー生命の不動産売却に伴う利益の剥落により、同65.3%減の411億円となった。参考として算出しているグループ連結のESRは約200%だった(22年度末は約220%)。
 ソニーフィナンシャルグループの業績のうち、生命保険事業の経常収益は特別勘定の運用益が増加したことにより前年度比67.1%増の3兆1811億円となった。ソニー生命単体では同67.0%増の3兆1809億円。ソニー生命単体の保険料等収入は同18.3%増の1兆7439億円で、資産運用収益が同273.7%増の1兆3755億円を示した。保険金等支払金は同15.7%増の1兆546億円、資産運用費用は同802.1%増の2219億円だった。
 生命保険事業の経常利益は、利差損の発生に対して危険準備金を取り崩したものの、一般勘定における有価証券売却損益の悪化や変額保険等の市況の変動に伴う損益の悪化などにより、同73.3%減の251億円となった。ソニー生命単体では同72.6%減の261億円。ソニー生命単体の当期純利益は同86.5%減の135億円となった。IFRS17ベースの修正純利益は705億円で、同じくIFRS17ベースで902億円だった22年度からは197億円の減少。米短期金利上昇によるヘッジコストが増加したことなどが要因とされる。なお、基礎利益は同55.4%増の1859億円となった。
 ソニー生命単体の総資産は前年度末比9.1%増の16兆6238億円となった。ソルベンシー・マージン比率は同158.5ポイント低下して1887.6%だった。
 ソニー生命の新契約年換算保険料は前年度比24.9%増の1605億円だった。うち、第三分野は同22.6%減の89億円。保有契約高は同9.0%増の66兆5861億円、保有契約年換算保険料は同8.3%増の1兆2065億円だった。うち、第三分野は同1.1%減の2133億円。IFRS新契約価値は22年度の2104億円から514億円増加し2618億円となり、年換算保険料、新契約価値ともに堅調に増加傾向。
 新契約高は前年同期比20.0%増の10兆564億円で、主力のライフプランナーチャネルを通じファミリー層へ最適なサービスを提供するとともに、ライフプランナー・代理店両チャネルを通じ法人向け市場の開拓にも成功したとしている。
 ライフプランナーチャネルでは、主力セグメントの個人顧客のみならず、法人顧客も強化。ライフプランナー数は着実に増加しており、厳選採用の徹底、手厚い教育、自社開発の高度なコンサルシステムの活用により、質の高いサービスを顧客に提供している。ライフプランナーチャネルによるIFRS新契約価値(個人向け・法人向け合計)は、21年度1096億円、22年度1412億円、23年度1736億円と推移している。
 代理店チャネルでは、法人に強い代理店へのアプローチを強化し、前中期計画では業績を大きくけん引。代理店サポーターの採用に加え、生産性を大きく改善する取り組みが奏功している。代理店チャネルによるIFRS新契約価値(個人向け・法人向け合計)は、21年度558億円、22年度674億円、23年度866億円と推移している。
 ソニー損保は、経常収益が主力の自動車保険を中心に正味収入保険料が順調に増加したことにより、前年度比4.7%増の1520億円。正味収入保険料は同4.7%増の1505億円だった。
 EI損害率は、交通量回復に伴う事故発生率の上昇などにより、前年度から4.9ポイント上昇し67.9%となった。正味事業費率はシステム関連費用の増加などにより、同0.1ポイント上昇し26.5%となり、EI損害率と合わせた合算率は、同5.0ポイント上昇し94.4%となった。
 経常利益は、増収効果があったもののEI損害率が上昇したことから同34.9%減の64億円。当期純利益は同35.4%減の45億円だった。異常危険準備金の繰入額・戻入額の影響を除いた修正経常利益は、前年度から50.5%減少し64億円となった。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比55.7ポイント低下し734.1%。