2024.06.07 T&D保険グループ 23年度末決算 修正利益14%増1035億円 国内3社新契約保険料は31%増に

 T&D保険グループが5月15日に発表した2023年度決算によると、グループの経常収益は前期比0.2%減の3兆2079億円、経常利益は同2339億円増の1598億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に海外再保険関連会社(フォーティテュード社)で米国金利上昇に伴う多額の一時的な評価性損失等が発生した反動等で同2309億円増の987億円だった。グループ修正利益は国内生命保険事業における新型コロナ関連の支払減少等の保険収支改善等により同14.7%増の1035億円。24年度の通期業績予想は、経常収益は20.2%減の2兆5600億円、経常利益は12.6%増の1800億円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.3%増の1040億円、1株当たり当期純利益は196円23銭を見込む。
 株主還元では、24年3月期の1株当たり年間配当金を70円と予定、配当金総額(合計)は前期比31億円増額の374億円で、連結の配当性向は38.2%となる。また、自己株式取得(24年3月期に帰属)について500億円(上限)を実施予定。2025年3月期の1株当たり年間配当金(予想)は10円増配の80円と10期連続の増配を予定している。
 T&D保険グループの24年3月期の経常収益3兆2079億円のうち、保険料等収入は主力商品の販売好調等により3社合算で前期比13.6%増の2兆4641億円、資産運用収益が同28.2%増の6420億円だった。経常費用は同7.3%減の3兆481億円で、このうち保険金等支払金は同15.0%減の2兆1651億円、資産運用費用は同59.7%増の3052億円だった。
 国内3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の契約業績は、太陽生命での医療ニーズの高まりの反動があった一方、一時払商品の販売増加やハイブリッド型営業および顧客ニーズに丁寧に対応したコンサルティング営業の推進等による主力商品の販売好調により、新契約年換算保険料は前期比474億円(31.5%)増の1983億円、このうち第三分野は同9.5%増の419億円だった。
 保有契約年換算保険料は前期末比4.4%増の1兆6336億円で、このうち第三分野は同3.4%増の2968億円。3社合算の保険料等収入は前期比13.6%増の2兆4641億円。合算の基礎利益は、為替ヘッジコストの増加等があった一方、新型コロナ関連の支払減少等により、同35.2%増の1258億円となった。
 各社の業績では、太陽生命の経常収益は前期比2.9%増の9892億円で、このうち保険料等収入は同9.3%増の7028億円だった。基礎利益は同91.4%増の407億円。
 新契約年換算保険料は同2.7%減の324億円、うち第三分野は同6.1%減の194億円だった。年換算保険料のうち、主に貯蓄系商品を除いた保障性新契約年換算保険料は、インフォマーシャルやインターネット広告等を経由したダイレクト情報を活用し、対面・非対面を融合させた「ハイブリッド型営業」の推進、営業職員数の増加、新商品の発売等により、同5.4%減の206億円。保障性保有契約年換算保険料については、新型コロナの支払基準変更等の影響で一時的に解約・失効が増加したものの、新商品の販売好調等により、前期末比0.4%増の1621億円と、前年度に引き続き上場以来の最高値を更新した。25年3月期の通期業績予想は、保険料等収入が5700億円、経常利益が780億円、当期純利益が430億円を見込む。
 大同生命の経常収益は前期比4.0%減の1兆1837億円、うち保険料等収入は同4.1%増の8437億円だった。基礎利益は同15.3%増の865億円。
 新契約年換算保険料は同9.8%増の735億円、うち第三分野は同5.0%増の182億円だった。新契約高は、死亡保障・就業不能保障・介護保障等、顧客の幅広い保障ニーズに応える丁寧なコンサルティング営業を実践したことなどにより前期比で5026億円増加し4兆7898億円となった。「就業不能・介護保障商品」の新契約高も前期比で1557億円増加し1兆5505億円。保有契約高は顧客である中小企業の資金需要の増加等により「解約失効高」が増加したものの、「新契約高」が堅調に推移したことにより、46兆6376億円と前年度並み(前年度実績46兆6838億円)の水準を確保した。25年3月期の通期業績予想は、保険料等収入が8500億円、経常利益が1030億円、当期純利益が620億円を見込む。
 T&Dフィナンシャル生命の経常収益は前期比4.8%増の1兆282億円、うち保険料等収入は同28.4%増の9175億円だった。基礎利益は同17億円増の▲14億円。
 新契約年換算保険料は円建の一時払商品の販売好調等により同82.7%増の923億円、うち第三分野は同40億円増の43億円。保有契約年換算保険料は前年度末比38.3%増の2630億円だった。23年4月に販売開始した一時払個人年金保険「ファイブテン・ワールド3」(円貨プラン)の販売が好調に推移したことにより、新契約年換算保険料・保有契約年換算保険料ともに前年度・前年度末から大幅に増加した。25年3月期の通期業績予想は、保険料等収入が6300億円、経常利益が40億円、当期純利益が20億円を見込む。
 24年3月期のグループのMCEVは新契約価値の積上げおよび内外株価上昇・国内金利上昇等により前期末から5530億円増加し3兆8844億円となった。今期に販売した保険契約(転換契約を含む)から将来生じる利益を現在価値に換算した新契約価値は、太陽生命での代理店チャネルにおける販売減少および医療ニーズの高まりの反動により3社合算で前期比52億円減の1617億円。連結ソルベンシー・マージン比率は内外株価上昇等により前期末比75.6ポイント上昇して995.7%。同社グループの内部管理モデルに基づき算出したグループ連結のESRは、前年度末から22ポイント上昇して252%だった。