2024.06.05 住友生命グループ 23年度末決算 グループ基礎利益16%増3056億円に メディケア生命が初の黒字化
住友生命が5月23日に発表した2023年度決算によると、住友生命グループの新契約年換算保険料は、住友生命は前年比1.2%の減収、メディケア生命は同8.6%の増収、海外事業(シメトラ)は同30.6%の増収となった結果、グループでは同16.6%増の3242億円となった。グループの保険料等収入は同2.4%増の2兆6442億円。基礎利益は住友生命が10.7%増、メディケア生命が黒字化を達成したものの、海外事業(シメトラ他)が同29.3%減となり、グループでは16.9%増の3056億円だった。24年度のグループ業績予想は、保険料等収入は増収の3兆400億円程度、基礎利益は前年比横ばいの3000億円程度と見込む。
住友生命グループの新契約年換算保険料3242億円のうち、住友生命は転換契約を中心にVitalityの販売件数は増加したものの新規契約の獲得が伸び悩んだことなどにより前年比1.2%減の1081億円、メディケア生命は引き続き主力医療保険が好調で同8.6%増の200億円、海外事業(シメトラ)は個人年金や企業保険等の販売が増加したことに加え為替が円安に進んだことも寄与し、同30.6%増の1961億円だった。
保有契約年換算保険料は、シメトラの保有契約の増加に加え為替が円安に進んだことも寄与し、グループ全体では前年度末比13.4%増の3兆4490億円。住友生命は同0.1%増の2兆2627億円、メディケア生命は同16.8%増の998億円で、国内事業全体では同0.7%増の2兆3626億円。海外事業は同55.8%増の1兆863億円で、そのうちシメトラが同17.8%増の8214億円、また、シングライフホールディングスの子会社化を今回から反映し2649億円を計上した。
グループの保険料等収入2兆6442億円のうち、住友生命は平準払い商品の販売が減少したこと等により前年比1.5%減の2兆1828億円、メディケア生命は新契約の積み上げ等により保有契約が増加したことから同33.4%増の1255億円で、国内事業全体では同0.1%減の2兆3088億円となった。海外事業(シメトラ)は、保有契約の増加に加え為替が円安に進んだことも寄与し、同23.2%増の3353億円。
グループの基礎利益3056億円のうち、住友生命は新型コロナウイルス感染症に関連した入院給付金等の支払い減少等により前年比10.7%増の2617億円、メディケア生命も新型コロナに関連した入院給付金等の支払い減少や保有契約の着実な積み上げによる収益の拡大等により創業来初の黒字化(前年比+366億円)となり64億円で、国内事業全体では同30.1%増の2682億円だった。海外事業はシメトラで企業保険の収支が悪化したことなどにより同29.3%減の434億円だった。
住友生命単体の資産運用収支は前年比1149億円増加し7292億円。円安による外国証券の利息・配当金の増加や国内株式の配当金増加等により、利息及び配当金等収入は増加した一方、為替ヘッジコストの上昇等に伴い金融派生商品収益費用は悪化した。住友生命単体の利息及び配当金等収入は同983億円増の8594億円だった。
住友生命単体の23年度決算案に基づく社員配当金では、個人保険・個人年金保険では、一部の医療保険と生前給付特約の長期継続配当等を増配する。
住友生命単体の主要収支をまとめると、経常収益が前年比2.0%増の3兆5649億円、保険料等収入が同1.5%減の2兆1828億円、資産運用収益が同9.4%増の1兆3165億円、保険金等支払金が同3.5%増の2兆311億円、資産運用費用が同21%減の4698億円で、以上の結果、経常利益は同138.1%増の1472億円、当期純剰余金は同87.6%減の112億円となった。
連結ソルベンシー・マージン比率は、適切なリスクコントロールの下での株式や外国債券の積増しに伴う資産運用リスクの増加等により、前年度末比39.5ポイント低下し639.5%となったが、引き続き健全とされる200%を十分に上回っている。経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、ソルベンシー・マージン比率と同様の要因により同36ポイント低下し173%となったが、リスクに対して十分なリスクバッファーを有している。
ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー(EEV)は、新契約獲得や保有契約からの収益確保など保険事業のプラスの成果および国内株価上昇等によるプラスの影響があり、前年度末比8978億円増加し5兆6490億円。
24年度のグループ業績見通しについては、連結保険料等収入は、シングライフの連結を主因に前年比15%増の3兆400億円程度と前年比増収を見込む。うち、住友生命は同1%増の2兆2000億円程度を見込む。グループ基礎利益は、シングライフの連結等により海外事業の収益増加を見込むものの、住友生命でヘッジコストの高止まりの影響を受けるほか、ウェルビーイング価値の提供を担う人財への投資や中計に掲げる新規イノベーションの創出などに向けた積極投資を踏まえ、同2%減の3000億円程度と前年比でほぼ横ばいを見込む。うち、住友生命は同16%減の2200億円程度を見込む。