2024.06.04 明治安田生命グループ 23年度末決算 基礎利益39%増5610億円に 海外事業の保険料が初の5000億円超

 明治安田生命が5月23日に発表した2023年度決算によると、グループ保険料(除く再保険収入)は明治安田生命単体における外貨建一時払商品の販売量減少により前年度比9.0%減となったが3兆3331億円と3兆円を上回る水準を確保。グループ基礎利益はコロナ関連の支払い減少、外貨建保険の標準責任準備金の積立負担減少、円安による運用関係損益の増加等により同39.6%と大幅増の5610億円だった。健全性を示す指標では、グループESRは前年度末から約15ポイント増の220%程度、オンバランス自己資本は同1204億円増の4兆3685億円といずれも高い水準を維持した。24年度業績については、グループ保険料(除く再保険収入)は「増収」、グループ基礎利益は「減益」を見込む。
 グループ保険料(除く再保険収入)のうち、明治安田生命単体が前年度比11.8%減の2兆8172億円、海外保険事業等が同10.6%増の5159億円で、そのうちスタンコープ社は良好な継続率等により同12.5%増の4796億円だった。海外保険事業等の保険料は、初めて5000億円を上回る水準まで増加した。
 グループ基礎利益のうち、明治安田生命単体が前年度比34.3%増の4989億円、海外保険事業等が同78.8%増の914億円で、そのうちスタンコープ社は団保・個人就業不能保険の良好な給付率等により同98.2%増の712億円だった。
 連結の経常収益は同1.1%増の5兆4772億円、経常費用は同1.9%増の5兆2450億円、経常利益は同14.3%減の2321億円、親会社に帰属する当期純剰余は同78.8%増の1535億円だった。
 24年度の社員(契約者)配当では、23年度決算(案)に基づき、前年度から67億円増の1509億円を支払い予定。うち個人保険・個人年金保険は国内金利の上昇を踏まえ、予定利率が低い平準払の契約を対象に利差配当率を引き上げ(対象契約318万件、増配額18億円)、MYミューチュアル配当109億円と合わせて総額306億円(同33億円増)を支払い予定。
 連結ソルベンシー・マージン比率は円安に伴い外国債券の含み益が増加したこと等を主因として前年度末差38.2ポイント上昇し1048.9%。また、経済価値ベースの企業価値を表す指標の「グループサープラス」は、新契約の獲得、国内の株価上昇、円安の進行等により同2兆3500億円増加し、10兆3200億円となった。
 「MY Mutual Way Ⅰ期」(21~23年度)に掲げる経営目標の達成状況では、「グループサープラス」は目標の「13%成長」に対し40.0%(21年度始からの累計成長率)を達成。グループESRは目標の「安定的に165%以上」に対し速報値で220%程度、オンバランス自己資本は目標の「4.4兆円」に対し実績は4.36兆円だった。グループ基礎利益は目標の「4500億円程度を安定的に確保」に対し5610億円を達成。保有契約年換算保険料(保障性商品)は目標の「6200億円」に対し6229億円、団体保険保有契約高は目標の国内シェアナンバーワンを確保。顧客数は目標の「1235万人」に対し1222万人(うち個人営業は目標723万人に対し721万人、法人営業は目標513万人に対し500万人)、MYリンクコーディネーター等在籍者数は目標3万8000人に対し3万6469人だった。
 24年度の業績見通しでは、グループ保険料(除く再保険収入)は、一時払商品の増加やエレバンス社買収の効果によりスタンコープ社が増収となることなどから増収の3兆3800億円程度で、うち明治安田生命単体は横ばいの2兆8200億円程度、スタンコープ社は増収の5200億円程度を見込む。グループ基礎利益は、為替変動による利益減少、標準責任準備金の積立負担の増加、人件費・システム経費等の事業費の増加、およびスタンコープ社における給付率上昇等から減益の4700億円程度で、うち明治安田生命単体は減益の4400億円程度、スタンコープ社は減益の540億円程度と見込む。
 明治安田生命単体の業績で、経常収益は前年度比0.8%減の4兆7636億円、保険料等収入は同11.8%減の2兆8272億円となった。このうち、個人保険・個人年金保険は同14.0%減の2兆252億円で、うち営業職員チャネルが同8.3%減の1兆5644億円で、銀行窓販チャネルは同30.6%減の4252億円だった。
 新契約年換算保険料は、外貨建一時払保険の販売量減少を主因に前年度比21.2%減の1285億円となった。このうち、営業職員チャネルは同19.0%減の1020億円、銀行窓販チャネルは同30.0%減の249億円だった。保障性商品新契約年換算保険料は「がん終身保険」の販売好調等により同4.2%増の446億円。
 保有契約年換算保険料はほぼ横ばいの前年度末比0.4%減の2兆1610億円。このうち、営業職員チャネルは同0.1%増の1兆6314億円、銀行窓販チャネルは同2.3%減の4850億円となった。商品別では、保障性商品、第三分野はともに新契約年換算保険料の増加等により増加し、保障性商品保有契約年換算保険料は同1.3%増の6229億円。
 団体保険の保有契約高は同0.5%減の115兆8367億円で、前年度末と同水準を維持し引き続き業界トップシェアを堅持している。団体年金保険は同0.3%増加して7兆9362億円。
 単体の基礎利益は4989億円と前年度比34.3%の増益となった。そのうち、保険関係損益は、コロナ関連の支払減少、外貨建保険の標準責任準備金積立負担減少により同51.8%増の2377億円、運用関係損益は、円安に伴い外国公社債の利息及び配当金等収入が増加したことから同21.5%増の2611億円だった。
 資産運用収支(一般勘定)は、円安進行やオープン外債への投資拡大に伴う利息及び配当金等収入の増加を主因に前年度から2858億円増加し1兆811億円となった。利息及び配当金等収入は1兆1607億円と同1722億円の増加。
 一般勘定資産全体の含み損益は、株価上昇や円安進行による、国内株式、外国証券の含み益の増加を主因に前年度末から1兆8970億円増加し6兆2179億円。
 経常利益は同18.4%減の2310億円、当期純剰余は同58.1%増の1647億円だった。
 契約クオリティを示す指標では、解約・失効・減額率(個人保険・個人年金保険)は、外貨建保険の解約の減少等により前年度差0.24ポイント低下し5.15%。うち主力商品は同0.11ポイント上昇し5.12%だった。総合継続率(個人保険・個人年金保険)は、13月目が同0.9ポイント低下の94.0%、25月目が同1.0ポイント低下の88.4%、61月目が同1.8ポイント低下の68.5%といずれも高水準を維持した。
 スタンコープ社の業績は、保険料等収入は主力の団体保険事業の良好な継続率等により、前年度比12.5%増の4796億円。基礎利益相当額は団体保険事業や個人就業不能保険事業の給付金支払いの減少等により過去最高益を更新し同98.2%増の712億円、当期純利益は同0.8%減の174億円だった。