2024.06.03 日本生命グループ 23年度決算 基礎利益61%増7640億円に 保険料等収入は一時払販売増で34%増

 日本生命が5月22日に発表した2023年度末決算によると、グループの連結業績は増収・増益で、保険料等収入は日本生命とニッセイ・ウェルス生命の一時払商品の販売増を主因に前年度比34.9%増の8兆5983億円、基礎利益は新型コロナウイルス感染症関連の支払減少等による保険関係損益の増加を主因に同61.5%増の7640億円となった。国内生命保険の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は同29.1%増の5222億円。24年度通期のグループ業績見通しについては、保険料等収入にその他経常収益を足し合わせた保険・サービス収益(同社独自の指標)は日本生命とニッセイ・ウェルス生命の一時払商品の販売減を主因に減収、基礎利益は事業費の増加を主因に減益の、減収・減益を見込む。
 連結経常収益は前年度比24.8%増の12兆88億円を計上した。保険料等収入を各社別に見ると、日本生命が終身保険の販売増等で同7341億円増の5兆2973億円、大樹生命が外貨建一時払商品の販売増および再保険収入の増加を主因に同439億円増の9288億円、ニッセイ・ウェルス生命が外貨建・円建一時払商品の販売増および再保険収入の増加を主因に同1兆4930億円増の2兆636億円、はなさく生命が医療保険等の販売増および再保険収入の増加を主因に同187億円増の409億円、海外生命保険子会社のうち豪MLC Limited(以下、MLC)が個人保険領域における保険料改定等を主因に同126億円増の2210億円などとなっている。
 連結の資産運用収益は同4.7%増の3兆1199億円。経常費用が同20.9%増の11兆4274億円で、このうち保険金等支払金が同19.6%増の6兆6231億円、資産運用費用が同31.5%減の9440億円、事業費が同3.9%増の7899億円となった。この結果、経常利益は同239.8%増の5813億円、当期純剰余(利益)は同190.2%増の4124億円となった。
 グループの基礎利益の内訳は、利差益が同15.8%増の2846億円、保険関係損益が同112.1%増の4588億円など。各社別には、日本生命が同42.1%増の7087億円、大樹生命が16.0%減の145億円、ニッセイ・ウェルス生命が同668億円増の374億円、はなさく生命が同30.0%増の▲172億円。MLCは同3億円減の▲0億円だった。
 連結の総資産は前年度末比11.4%増の97兆5961億円、純資産は同52.2%増の10兆5465億円となった。
 連結ソルベンシー・マージン比率は、株価上昇による有価証券含み益の増加によりマージンは増加も、資産運用リスクの増加の影響が大きく、前年度末比45.7ポイント低下し1025.7%。実質純資産は株価上昇による有価証券含み益の増加により同19.7%増の20兆6996億円となった。
 経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)は、新契約獲得や劣後債調達等により改善する一方、経済環境の変動や計算モデル変更等の影響により、前年度末比で20ポイント低下し224%。新契約価値は金利上昇等の影響により同13.5%増加し3260億円となった。
 日本生命単体の契約者配当は、個別保険については、危険差益配当を約100億円増配し、利差益配当は据置の方針。対象となる契約は約1000万件で約800億円となる。
 団体保険は据置の方針で、約6800団体で約1200億円となる。団体年金は概ね増配の方針で、約4800団体で約600億円となる。
 配当総額は2645億円となり、対前年比826億円の増加。配当性向は51%。
 24年度の業績見通しでは、日本生命グループ計で減収・減益を見込む。保険・サービス収益は、日本生命とニッセイ・ウェルス生命の一時払商品の販売減を主因に23年度末実績から1兆1288億円減の7兆7600億円、そのうち保険料等収入は7兆4700億円の見通し。各社別には日本生命が「減少」、大樹生命が「減少」、ニッセイ・ウェルス生命が「減少」、はなさく生命が「増加」、MLCが「増加」。基礎利益は事業費の増加を主因に減益の約7300億円を見込む。各社別には日本生命が「減少」、大樹生命が「増加」、ニッセイ・ウェルス生命が「増加」、はなさく生命が「増加」、MLCが「増加」。
 中期経営計画(21~23)の数量目標の進捗状況については、お客さま数は23年度末目標1490万人に対し1492万人、保有年換算保険料(国内グループ)は目標4.55兆円に対し4.75兆円となり目標を達成。基礎利益も目標の「安定的に6000億円」に対し7640億円と目標を上回った。
 23年度の国内生命保険事業の保険料等収入は、営業職員チャネルおよび金融機関窓販チャネルの増加を主因に対前年度比36.0%増の8兆3308億円。そのうち個人保険・個人年金保険が同29.3%増の5兆7849億円で、チャネル別では営業職員チャネルが同21.0%増の3兆5758億円。代理店チャネルが同13.7%増の6452億円、銀行窓販チャネルが同64.7%増の1兆5637億円となった。団体保険は同1.9%増の2877億円、団体年金保険は同5.7%減の1兆4億円。
 国内の個人保険・個人年金保険の新契約年換算保険料は前記の通り5222億円で、うち営業職員チャネルの新契約年換算保険料は同13.7%増の2015億円、代理店チャネルは同6.9%増の799億円、金融機関窓販チャネルは同57.8%増の2394億円。日本生命の新契約年換算保険料は同9.9%増の2588億円、大樹生命は同12.4%増の399億円、ニッセイ・ウェルス生命は同72.3%増の2114億円、はなさく生命は同13.0%増の120億円だった。
 国内の個人保険・個人年金保険の保有契約年換算保険料は前年度末比3.5%増の4兆7563億円で、うち日本生命は同0.0%減の3兆7401億円、大樹生命は同2.1%増の5173億円、ニッセイ・ウェルス生命は同44.5%増の4649億円、はなさく生命は同38.5%増の337億円だった。
 団体保険の保有契約(保障額等)は国内計で同0.7%減の107兆8559億円。このうち日本生命は同0.6%減の96兆8744億円、大樹生命は同0.7%減の10兆9815億円となった。団体年金保険(受託資産等)は国内計で同6.9%増の19兆9166億円だった。