2024.05.31 東京海上日動 「運賠ナビゲーター」で新特約 運送事業者の代替輸送を手配(国内保険会社初) 「物流の2024年問題」対応を支援

 東京海上日動は、2024年6月から、運送事業者向けに新たな補償の提供を開始する。トラック等の輸送用具が事故や故障により走行不能になった場合や、輸送中の貨物が破損し急きょ代替品の輸送が必要になった場合等に、代替輸送を行うためのトラックおよびドライバーを手配するサービス(代行輸送手配サービス)を提供するもので、同社の運送業者貨物賠償責任保険「運賠ナビゲーター」(注1)の新特約として提供する。「物流の2024年問題」を意識した同特約は、国内保険会社初(同社調べ)で、今後、初年度100社程度の提供からスタートし、5年間で1500社への展開を目指していくという。
 代行輸送手配サービスの提供に当たっては、JHRネットワークサービス㈱(東京都港区)が提供するトラック代車手配サービス「イザトラ(R)」と提携し、契約者専用コールセンターを開設した。契約者は、トラブル発生時にコールセンターに連絡することで、代替のトラックおよびドライバーの手配、代替車に貨物を積み替えるためのフォークリフトの貸出や補助人員の手配を受けられる。同サービスの利用料は、原則、東京海上日動からサービス提供事業者(JHRネットワークサービス)に直接支払うため、契約者による利用料負担は発生しない(注2)。
 同サービスの特徴は、①専用のフリーダイヤルで24時間365日対応可能②全国対応可能(沖縄、離島を除く)③大型車、冷蔵車、冷凍車等ニーズにあわせて手配可能④積み替えのためのフォークリフト貸出、補助人員の手配可能⑤依頼から現場到着まで最短で1時間程度で対応(注3)―など。
 同サービス開発の背景について同社では、「24年4月からトラックドライバーに対し年960時間の時間外労働の上限規制が適用され労働時間が短くなる中、トラックドライバー不足も相まって輸送能力が不足し、『モノが運べなくなる』可能性が懸念されている」と話す。また、このまま何も対策を講じられなければ24年度には約14%、30年度には約34%の輸送力不足に陥る可能性があると推計されている(NX総合研究所が試算)。
 同社では、以前から、トラック等の輸送用具に事故・故障が発生し、貨物を仕向地に輸送するために追加で発生した費用や、荷扱い中の貨物に損害が発生し、代替品を急送するために追加で必要となった費用について、「保険金」として支払う補償を提供してきた。今回は2024年問題を受け、「運送事業者では不測の事態が発生した際に、緊急対応を担うことができる人員も不足し、運送事業者自身で急送・代替輸送手段を手配することのハードルが高まることが予想されるため、新たな補償の開発に至った」としている。
 今後については、「当社は、運送事業者に対して本商品(新特約)の提供を通して、ドライバー不足問題への対策を支援していく。本取り組みは、当社の推進するサプライチェーン強靭化の一環であり、今後も『物流2024年問題』に資する商品・ソリューションの開発・展開を進めることで、社会課題の解決に貢献し、持続可能な物流の実現を目指していく」としている。
 (注1)運送業者貨物賠償責任保険「運賠ナビゲーター」は、運送事業許可を有する運送事業者が、運送または貨物の取り外し、梱包、開梱、据付等の作業もしくは保管を受託した貨物に損害が生じた結果、荷主等に対して損害賠償責任を負った場合に備えるための保険。実際の運送中、運送に伴う仮置場所での仮置中、保管場所での保管中、簡単な作業中(梱包・札付け等)などの、被保険者が貨物を受託している間を切れ目なく補償する。
 (注2)企業規模によって異なるが、本特約を付帯することで保険料は10%程度上乗せされる。
 (注3)希望の納品時間、積替場所、車種等によっては同サービスを提供できない場合がある。