2024.05.29 SOMPOHD 23年度末決算 修正利益91%増で過去最高の2910億円 海外で資産運用けん引し697億円の増益

 SOMPOホールディングスが5月20日に発表した2023年度通期決算によると、連結経常収益は前期比9.0%増の4兆9336億円となった。このうち、正味収入保険料は同0.5%増の3兆6904億円、生命保険料は同1.5%減の3118億円だった。連結経常利益は同885.8%増の4880億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同1475.1%増の4160億円。修正連結利益は同1388億円増、過去最高益の2910億円を計上した。23年度の株主還元では、配当989億円に加え自己株式取得770億円を実施し、総還元額は1759億円となる。24年度の修正連結利益は2550億円と見込む。
 24年度の通期連結業績予想については、正味収入保険料は対前年8.5%増の4兆30億円、連結経常利益は同34.4%減の3200億円、親会社に帰属する当期純利益は同44.7%減の2300億円、1株当たり当期純利益は232円88銭(同社は24年4月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施。24年度の連結業績予想における1株当たり当期純利益は当該株式分割の影響を考慮している)。修正連結利益は一時的に減益となる見込みだが、国内損保は先行投資(システム開発等)や自動車保険の修理費単価上昇を想定、海外保険は第1四半期も順調で24年度も過去最高益を更新を見込むとし、全体では2550億円を予想し、26年度にかけて年率2桁水準のEPS成長を目指す方針としている。24年度の一株当たり配当予想は12円増配の112円と11期連続の増配を予定し、基礎還元(修正連結利益の50%)に加え、政策株式売却益(税後)の50%を追加還元予定とした。
 23年度の修正連結利益2910億円の内訳は、国内損保が火災保険のベース収支改善や自然災害減少等を主因に403億円の増益、海外保険が資産運用収益がけん引し697億円の増益、国内生保がコロナ影響の剥落を主因に240億円の増益だった。
 国内損保事業のうち損保ジャパン単体の業績では、火災保険駆け込みの影響を除いた自賠責・家計地震を除く正味収入保険料は前期比1.6%減の1兆9824億円だった。自賠責・家計地震を含む合計正味収入保険料は同2.1%減の2兆1779億円。
 自賠責と家計地震を除いたE/I損害率は、自然災害影響およびコロナ関連保険金の剥落を主因に前期比1.6ポイント低下し65.4%となった。除く自賠責・家計地震のW/P損害率は同2.5ポイント上昇し65.3%。事業費率(自賠責・家計地震を除く)は前期比0.1ポイント低下し33.8%、社費率は同0.2ポイント上昇し13.0%となった。コンバインド・レシオ(E/I、除く自賠責・家計地震)は同1.6ポイント低下し99.3%で、(W/Pベース(除く自賠責・家計地震)は同3.1ポイント上昇の100.7%。
 以上の結果、コア保険引受利益は前期比628億円増益の301億円で、異常危険準備金等227億円を積み増した結果、保険引受利益は同726億円増益の528億円となった。
 資産運用損益は、ネット利配や政策株式売却益の増加を主因に前期比549億円増益の2135億円。ネット利息及び配当金収入は同496億円増の1858億円で、有価証券売却損益は政策株式売却増(153億円)を主因に同137億円増の447億円となっている。なお、政策株式の削減額は751億円だった。
 損保ジャパン単体の経常利益は前期比101.3%増の2515億円で、当期純利益は同92.5%増の2079億円。修正利益は同405億円増益の736億円となった。24年度業績予想については、保険引受利益は998億円減益の▲470億円、正味収入保険料は同920億円増の2兆2700億円、資産運用損益は398億円増益の2534億円を見込む。政策株式の削減額は2000億円以上としている。
 23年度の国内生保事業(SOMPOひまわり生命)は、新契約年換算保険料は前期比0.8%減の329億円だった。保有契約年換算保険料(個人保険と個人年金保険の合計)はインシュアヘルスを中心とする新契約の積み上げで同1.3%増の3903億円。保険料等収入(生命保険会社の様式に基づく数値で連結様式とは異なる)は同0.3%減の4330億円となった。保険金等支払が同21.0%減の896億円などで、経常利益(連結様式とは異なる)は同339.4%増の278億円、当期純利益は同1581.0%増の158億円となった。基礎利益は同333億円増益の315億円(前年度実績は▲18億円)。修正利益は同240億円(134.7%)増益の418億円だった。
 海外保険事業の修正利益は、資産運用損益およびコンシューマー事業の増益、繰延税金資産の計上を主因に4億4600万ドル増益の11億5000万ドル。SIコマーシャルは、正味収入保険料は2億2500万ドル減の91億5900万ドル、保険引受利益は前期比82.9%増益の7億5020万ドルを計上した。SIコンシューマーは、正味収入保険料は2700万ドル減の10億3100万ドル、保険引受利益は1億3210万ドル増益の1850万ドルだった。
 海外保険事業の24年度の業績予想では、修正利益は資産運用損益の増益、および前年度の一過性要因の剥落を主因に増益の12億4300万ドルを見込む。SIコマーシャルのグロス保険料(正味収入保険料+出再保険料)は、北米およびグローバルマーケットでの地理的拡大を主因に7億9200万ドル増収の151億6300万ドル、SIコンシューマーの正味収入保険料はトルコのレートアップを主因に2900万ドル増収の10億6000万ドルを見込むとした。
 介護事業は23年度、売上高はNDソフトウェア社の買収による統合効果に加え入居率上昇により前年比260億円増収の1758億円、修正利益は前記統合効果および税制改正による影響等により同28億円増益の88億円だった。24年度は、売上高は介護保険外収入増を主因に58億円増収の1817億円、修正利益は税制改正影響の剥落等により、28億円減益の60億円を見込む。