2024.05.09 第一生命HD米国子会社プロテクティブ 米NY州シェルターポイント社買収へ 短期所得補償保険、有給休暇補償保険で実績
第一生命ホールディングスは4月10日、米国子会社である Protective Life Corporation (以下、プロテクティブ社)が、米国で団体保険事業を展開する ShelterPoint Group,Inc. (ニューヨーク州ガーデンシティ、以下、ShelterPoint社)を同社株主から買収することを決定し、買収契約を締結したと発表した。
買収手続きは、日米監督当局による認可等を前提として、プロテクティブ社における2024年度第4四半期(24年10月―12月)をめどに完了することを予定している。買収金額は非公表だが、プロテクティブ社の資金および第一生命HDによる追加出資(約3億ドル)で対応予定。
ShelterPoint社は米国で1972年に創業し、ニューヨーク州等で企業・団体に加入が義務付けられている Disability Benefits Law insurance (短期所得補償保険、以下、DBL)や Paid Family Leave insurance (有給休暇補償保険、以下、PFL)、 Paid Family and Medical Leave insurance (DBLとPFL双方の補償範囲を兼ね備えた有給休暇補償保険。以下、PFML)の販売・引受を主に行っており、ニューヨーク州ではDBL・PFLにおいてリーディングポジションを確立しているという。
「主力のDBL・PFLに特化した事務・システム態勢を構築することで高いコスト効率を発揮」「DBLの分野において、全米トップの顧客数」「PFMLの採用州が急速に増加しており、ShelterPoint社の商圏拡大が期待される」「米国では年次有給休暇の付与が法令で義務付けられていなかったが、州単位での義務化が進展しており、2026年にかけて新たに複数の州で義務化がなされる見込み」といった点が買収の決め手となったようだ。
第一生命HDでは、今回の買収はプロテクティブ社にとっては新規の事業ライン獲得であり、事業分散・収益安定化に寄与するものと考えている。また、ShelterPoint社の主力商品であるDBL・PFLは1年更新で市場関連リスクが小さく、保険リスク中心(リスク全体の約7割)のリスクプロファイルを持つ「キャピタルライトな案件」ともしている。
利益貢献見込みとしては、プロテクティブ社の当期純利益に対し、中長期的に4000万~5000万ドル程度の上乗せを見込むとしている。
プロテクティブ社は、伝統的な生命保険事業、個人年金事業等のリテール事業に加え、買収事業に強みを持ち、15年2月に第一生命グループの一員となって以降も、米国 Genworth Financial,Inc. からの定期保険ブロックの買収(16年)、米国 United States Warranty Corp. の買収(16年)、米国 Liberty LifeAssurance Company of Boston の個人保険・年金ブロックの買収(18年)、米国 Great-West Life & Annuity Insurance Company の個人保険・年金ブロックの買収(19年)、米国Revolos(21年)、米国 AUL (22年)等の買収をそれぞれ実現した。今回の買収は、プロテクティブ社にとって通算60件目の買収案件となる。第一生命HDは今後も、北米事業を第一生命海外事業の中核に据えるとともに、プロテクティブ社を米国における第一生命グループの成長プラットフォームとして位置付け、同社による買収事業・リテール事業双方の規模拡大を通じた北米におけるさらなる成長と収益拡大を目指すとしている。