2024.05.07 東京海上日動 車両修理で現行の指定工場制度を廃止 「修理工場マッチングサービス」提供へ デジタルプラットフォームに情報集約

東京海上日動は3月29日、顧客起点の業務運営に根差した透明性の高い保険金支払いの仕組みを実現するため、現行の指定工場制度(自動車事故に遭遇した際に修理先を決めていない顧客に対して、自社が定める選定基準を充足した修理工場の紹介を行う制度)を廃止し、7月1日から「修理工場マッチングサービス」の提供を開始すると発表した。また、より顧客自身で修理工場を選びやすい環境を構築するため、10月1日からデジタルプラットフォームの提供を開始する。

同社ではこれまで、指定工場制度を運用し、同社の定める基準を充足する修理工場を紹介することで、顧客に対する高品質な車両修理による価値提供を目指して取り組んできた。
一方で、同社が指定工場として取り扱っていたビッグモーター社で多数の保険金不正請求が発生し多くの人が被害に遭ったことから、同社として、保険金不正請求防止に向けた体制強化を図るとともに、修理工場を顧客に紹介するプロセスの不透明さを解消するため、修理工場を顧客自身で選ぶことができる「修理工場マッチングサービス」の提供を開始することにした。同サービスを通じて、顧客の「安心して修理を任せることができる工場選びを支援してほしい」という声に応えるとともに、将来的には点検・車検といったメンテナンス等も含めた顧客の車両修理にとどまらないニーズにも対応できるよう、機能拡充や利便性の向上を実現していく。
「修理工場マッチングサービス」では、同社が掲げる「修理工場ネットワーク運営方針」に賛同する修理工場が参画するネットワークを構築し、同社担当者が顧客の要望を確認した上で複数の修理工場を案内することで、修理工場選びにおける不安を払しょくし、顧客が自ら安心して自身にとって最適な修理工場を選べるよう支援する。
同社の「修理工場ネットワーク運営方針」は、「顧客に提供するサービス品質基準の確保や、保険金不正請求の未然防止に向けた体制を整備し、安心感・納得感を得られる修理工場のネットワークを構築する」というもので、顧客に対する修理作業・修理費算定の透明性を高めるため、修理工場から顧客への修理箇所や作業内容に対する事前説明と、客観的な基準に沿った修理費算定が可能であることをネットワーク参画の要件とする予定。
また、ネットワーク参画工場に対しては、顧客の声や要望を起点とした品質管理を促すほか、同社との定期的な対話やモニタリングなどを通じて、運用ルールの徹底・ガバナンス態勢の構築を支援していく。よりオープンなネットワークとするため、これまで指定工場の登録要件として一律に設定していた「代車の無償提供」と「工賃の割引」という条件は廃止し、代車の無償提供を顧客へのサービスとして継続するか否かの判断は修理工場に委ねる。
10月1日からは、修理工場の情報をデジタルプラットフォームに集約し、顧客がウェブ上で修理工場を確認することで、より選びやすい環境を構築する。同プラットフォームでは、▽修理工場の検索(都道府県検索・現在地検索の他、入庫希望日による検索が可能)▽工場特性の表示(事故車両の引取り・納車や代車の提供有無、引取り可能なエリア・時間帯、工場設備等の情報を表示)▽入庫予約機能(修理を希望する工場への入庫リクエストが可能)―の機能を提供する。
なお、同プラットフォームでは将来的に、▽工場特性を工場検索時の条件に追加し検索機能を充実化▽同プラットフォーム経由で修理工場を選定し修理サービスを受けた顧客向けにアンケートを送付し、アンケートに回答した顧客の評価や口コミ等をプラットフォームに匿名で開示するとともに、工場検索時に設定できる条件の一部とする▽修理途中の顧客の車両の写真掲載を可能とすることに加え、修理経過等の情報をリアルタイムで表示できる仕組みを構築し、顧客がいつでも確認できるようにする―などの機能の拡充を検討していくという。
同社では今後も、顧客に届ける品質・サービスの価値を高めるべく、修理工場との強いパートナーシップを構築し、顧客がより安心して車の修理を任せられるよう取り組んでいくとしている。