2024.04.26 第一生命HD グループ企業理念改定、「パーパス」「バリューズ」制定 新中計(24―26年度)スタート 「目指す姿」実現へ四つのコア・マテリアリティ

第一生命ホールディングスは3月29日、第一生命グループ2024―26年度中期経営計画(以下、新中計)の策定およびグループ企業理念の改定を行ったと発表した。30年に目指す姿を「お客さま満足度」「従業員満足度」「商品・サービスの革新性」「企業価値」の4領域で国内ナンバーワン、「グローバルトップティアに伍する保険グループ」、そして「保険業の未来を先導する存在」となる―と設定し、その具現化の指針とするためにグループ企業理念を改定し「グループパーパス」と「バリューズ」を制定した。また、そのパーパスを基点に優先的に取り組む重要課題として「コア・マテリアリティ」を新たに策定した。

新中計では、同社グループが2030年に目指す姿からバックキャストし、今後3年間で実現すべきことを具体化した。
新たに制定した「グループパーパス」(グループの社会における存在意義)および「バリューズ」(大切にする価値観)では、グループパーパスを“共に歩み、未来をひらく 多様な幸せと希望に満ちた世界へ”、バリューズを①いちばん、人を考える②まっすぐに、最良を追求する③まっさきに、変革を実現する―とし、これらを基にした新たなブランド戦略への転換を図る。
事業と社会的価値創造の共創に向け優先的に取り組む重要課題「コア・マテリアリティ」は、「ビジネス」で「Ⅰ:Financial Well-being for All」(すべての世代を支える金融サービスの提供)、「人・社会」で「Ⅱ:Healthy People and Society」(一人ひとりのWell-beingと健全な社会への貢献)、「地球環境」で「Ⅲ:Green Leadership」(気候変動を中心とした環境課題への戦略的対応)、「経営基盤」で「Ⅳ:Proactive Governance and Engagement」(経営基盤の強化と社員・多様なステークホルダーとの積極的な向き合い)―と策定した。
新中計では、26年度に実現したい姿を「資本コストを安定的に上回る資本効率の実現」「保険サービス業への変革に向けた基盤構築」「グループ修正利益4000億円」「23年度始時点の時価総額(3兆円)からの倍増」と設定し、①国内保険事業戦略②海外保険事業戦略③資産形成・承継、アセマネ事業戦略④新規事業(非保険領域)⑤IT・デジタル戦略―の五つの事業戦略と、財務・資本戦略、経営基盤の強化を有機的に循環させ、目標の実現を目指す。
KPIターゲットとしては、事業戦略・財務戦略の遂行と経営基盤の強化を通じて、次に定めた指標の達成を目指す。
経済指標RoEVは中長期的に8%程度とし、新契約価値は前年度実績をベースに各事業年度ごとに設定する。会計利益は、修正ROE10%程度、修正利益4000億円を目指す。30年に目指す水準では、修正ROEについて安定的に10%超、修正利益6000億円とした。資本コストについては8%とし、30年に目指す水準は「安定的に8%以下を維持」とした。市場評価については相対TSR(対競合14社)で「相対優位(中位以上)」、健全性については必要資本充足率で170%~200%とした。非財務指標では、お客さま数は国内約1500万人・海外約4500万人とし、社外評価ではESG総合インデックスで「国内業界トップ水準の評価スコア」とした。
国内保険事業戦略では、「保障」と「資産形成・承継」の両面での価値提供とチャネル生産性向上の追求、顧客から共感される価値創造の実現を目指す。顧客向けには、ライフスタイルの多様化に合わせより広い顧客層へ価値を提供。商品・サービスでは、無配当商品や独自性の高い団体保険等の商品ラインアップを拡充し「保障」と「資産形成・承継」の両面から届けていくとした。チャネルでは、リアルとデジタルの融合によりCX・生産性を向上させる。
第一生命生涯設計デザイナーチャネルでは、採用・育成の抜本的な改革に取り組む中、入社基準の厳格化や採用数の上限設定など厳選採用を実施。徐々に新たな運営が定着してきており、陣容は横ばいになってきているという。事業費については、インフレの影響等によりコスト上昇圧力があるものの、前中計策定時点の計画を上回るペースで既存事業にかかる固定費削減が進んでいるとした。
海外保険事業戦略では、海外保険事業修正利益1600億円への到達を目指す。各地域での既存事業の成長だけでは約300億円程度不足する見込みで、M&Aを通じたインオーガニック成長を通じてカバーするという。米プロテクティブでは経済価値ベースの資本規制対応を進めるとともに、リタイアメント事業、新規買収、資産運用力やリスク管理の強化、資本効率の改善を通じて成長軌道への回帰を実現する。
資産形成・承継事業戦略では、第一生命では資産形成・承継事業の拡大に向けた体制整備とスプレッドビジネスを含む団体年金の拡販戦略に取り組む。第一フロンティア生命では預り資産残高の拡大により利益の拡大・安定化を目指す。デジタル取り組みとしてBaaSにより新規の顧客接点を効率的に増やし、資産形成プラットフォーム(資産形成プラス)内のさまざまな機能を活用することで、オンライン商品の提供や対面コンサルへとつながる仕組みを構築していく。
アセットマネジメント事業戦略では、グループ資産運用機能や商品競争力の強化を図るとともに第三者資金の取り込みを拡大することで、スケールメリットを生かしたキャピタルライトなフィービジネスによる収益の着実な成長を目指す。
新規事業(非保険領域)では、健康・医療やつながり・絆領域の事業スケールの拡大やそれらを融合したエコシステムの形成を実現するため、ベネフィット・ワンのプラットフォーム強化をはじめとした戦略投資を通じて、非保険領域(含むアセマネ事業)の利益貢献を30年に10%規模に成長させることを目指す。同社を国内の非保険領域拡大に向けた取り組みの中核を担う社と位置付け、顧客基盤拡大やプラットフォームを通じた第一生命グループ商品・サービスの提供など、短・中・長期の時間軸に沿ったシナジー創出を実現する。
IT・デジタル戦略では、各戦略に整合的、かつ最新のテクノロジーとサービスの提供により、「お客さま満足」「商品・サービスの革新性」「従業員満足」の飛躍的な向上をサポートし、顧客基盤拡大や生産性の向上を通じて企業価値向上を実現する。同戦略を通じて目指す姿を実現すべく、オフショア開発センター(GCC)の活用、およびグループ内システム会社の変革を通じて、デジタル組織能力の内製化とグループケイパビリティの強化を図る。各事業活動の生産性・効率性の向上を実現すべく、国内の顧客情報の一元化やグループ共同調達の推進を通じて、データドリブンな営業活動への変革とグループシナジーの最大化を図る。
財務・資本戦略では、資本コスト認識については、現時点の資本コストを9%と推計。EV対比の金利・株式リスク(金利・株式リスク/EV)のさらなる削減を通じて資本コスト低減を目指すとした。市場リスクの消滅に向け、新中計では、第一生命保有の国内株式を3年間で1.2兆円削減することで、株式リスクの削減ペースを加速させる。株主還元方針については、配当性向を40%以上に引き上げ、23年度の期末配当から早期適用する。還元政策については前中計の基本方針を維持し、24年度以降も資本コストを上回る資本効率の安定的な実現まで総還元水準は維持する方針とした。経済価値ベースの資本規制(J―ICS)導入に伴うESRの見直し以降もESR水準に基づく資本政策の考え方は前中計と同様とし、戦略投資については今後はDX推進に向けて従来以上にデジタル等を中心とした「新規領域での探索」にフォーカスする一方、「既存領域の進化」では市場リスクが小さく保険リスクにフォーカスした案件を引き続き優先するとした。
経営基盤については、22年度から設置したCXO体制をさらに拡充しコーポレート機能の強化を図るとともに、24年度から事業推進の責任者として事業オーナーを設置・任命する。人財戦略では、HR(Human Resources)ガバナンスの強化やHDジョブ型制度の導入、国内の人事企画立案機能の第一生命からホールディングスへの移管等を通じて、多様な人財が可能性を最大限に発揮するための基盤を整備し、人事面から事業戦略実現を推進する。経営戦略・事業戦略の実現のための最適な資源配分の実現に向けて、「グループHRガバナンス」「人事制度・報酬制度」「人財獲得・人財育成」「活躍機会」の四つを人財戦略の柱と位置付け、「グローバル(国内・海外)」と「国内グループ」の二つの観点で具体的な施策を検討・実行していく。