2024.04.03 あいおいニッセイ同和損保、アルカイック 知的財産権侵害や情報漏えい等補償 国内初「生成AI専用保険」提供 ガバナンス体制構築支援もパッケージ

あいおいニッセイ同和損保とAI技術開発の㈱Archaic(横山淳代表取締役社長、以下、アルカイック)は2月28日、近年急速に利用が拡大している生成AIの安全・安心な導入・活用の促進、ならびに導入に際して企業が抱える不安を払拭することを目的に、国内初(2月現在、あいおいニッセイ同和損保調べ)となる「生成AI専用保険」を共同で開発し、3月から提供を開始すると発表した。

「生成AI専用保険」では、アルカイックが保険契約者となり、同社が開発・構築した生成AIシステム・サービスを導入・利用する企業(被保険者)を対象に、生成AIの利用により知的財産権の侵害や情報漏えい等が発生した際に企業が負担するさまざまな費用を補償する。また、事故後の補償にとどまらず、アルカイックが提供するガバナンス体制の構築支援や事故発生後のコンサルティングサービスをパッケージで提供することで事故の未然防止や事故後の早期回復の機能を加え、企業の安全・安心な生成AIの利用を支援する。なお、アルカイックは、2017年の創業で、顧客のビジネスやプロダクトに合わせた新しいAIアルゴリズムの開発、およびそのAIシステムの実装などの生成AIソリューション提供で実績を積むスタートアップ。
同保険の対象リスクは、①知的財産権侵害②情報漏えい③ハルシネーション(人格権侵害、名誉棄損、その他不適切な表現)―で、補償例として、①知的財産権侵害では「生成AIを使用し生成した製造物が知的財産権(特許権、商標権、実用新案権、意匠権、著作権)を侵害したとして、権利者から訴訟を起こされた場合(国内の訴訟に限定)」、②情報漏えいでは「生成AI使用に起因して、自社の機密情報が外部に漏えいし、そのことが新聞やテレビ等で報道された場合」、③ハルシネーションでは「生成AI使用に伴い、口頭、文書、図画その他これらに類する表示行為による名誉き損またはプライバシー侵害、その他不適切な表現が新聞やテレビ等で報道された場合」を挙げている。
対象となる損害は、①調査費用(なぜ事故が起こったのか原因分析時に発生する費用)②法律相談費用③再発防止費用(コンサルティング費用等)④記者会見・社告費用⑤被害者への見舞金―。
生成AIはデータの解析と学習を通じてAIが新たなコンテンツを生成する革新的な技術で、22年11月に米国のOpenAI社が対話型チャットボット「ChatGPT」を公開したことを契機に一気に注目が集まり、世界中で利用が拡大している(野村総合研究所「生成AIはビジネスをどう変えるのか」より)。日本でも大手企業を中心に導入が加速し、生成AIによる社内の業務効率化が進められており、今後はより多くの業界で活用が広がり、新たなイノベーションが生まれることが期待されている。一方、利用に当たっては、権利侵害や情報漏えい、出力結果の正確性などのさまざまなリスクが存在しており、導入に向けた大きな障壁となっている。
これらの課題を解消し、生成AIのさらなる普及を促進するため、あいおいニッセイ同和損保が持つ生成AIによる新たなリスクへの知見と、アルカイックが持つAIの研究・開発やAIシステム構築により得た豊富な知見・経験を掛け合わせることで、両社で国内初となる「生成AI専用保険」を共同で開発したもの。