2024.03.25 日本生命、Welby 日本航空健康保険組合が参画 特定健診「みなし健診」サービス開始
日本生命、㈱Welby、㈱Welbyヘルスケアソリューションズ(以下、WHS)は2月26日、WelbyのPHR(注)ソリューションの医療・健康データを活用し、保険者(健康保険組合や共済組合・協会けんぽ・自治体など)に対して特定健診の「みなし健診」サービスの提供を開始すると発表した。日本航空健康保険組合の参画が決定している。
特定健診(正式名:特定健康診査)は2008年4月から始まった40~74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした制度で、一般には「メタボ健診」といわれ、健診の項目は特定健診および特定保健指導の実施に関する基準に規定されている。24年度から特定健診・特定保健指導施策は第4期に入り、各保険者には一層健診・保健指導の実施率を高めることが求められている一方、特に被扶養者の健診受診率の伸び悩みを受け、その受診率向上が重要課題となっている。
被扶養者の受診率の伸び悩みの一因としては、生活習慣病患者で継続的に通院している場合、「普段通院しているから、あえて健診を受けなくてもよいのではないか」との心理が働き受診率低下につながる可能性などが挙げられている。
こうした課題を解決するため、23年12月に日本生命、Welby、WHSは3社間でPHRソリューションを協働推進する業務提携を行うことで合意し、Welbyのかかりつけ医ネットワークを活用したPHR活用による本サービスの推進を検討してきた。
「みなし健診」サービスでは、特定健診未受診の慢性疾患罹患者に関し、受診している医療機関から特定健診と同項目の検査結果を入手することで特定健診を受診したとみなす「みなし健診」について、医療機関ネットワークを構築してきたWelbyがサービスを展開し、特定健診受診率向上に寄与する。Welbyのかかりつけ医ネットワークや日本生命グループの取引企業・団体ネットワークを活用することで、みなし健診の全国展開を行う。
今後は、自治体などへも同サービスの導入を働き掛けていくとしており、「みなし健診」の普及により、患者とかかりつけ医のオンラインによる連携を普及させ、特定健診受診率の向上のみにとどまらず、治療アウトカムの向上、医療費適正化等の医療DXの推進による社会保障制度の安定継続、健康寿命の延伸への貢献を目指していく。
同サービスの開始に当たり日本航空健康保険組合の浦井典子常務理事は「生活習慣病の早期発見・早期介入を目的として08年からスタートした特定健診だが、多くの健保組合ではかかりつけ医を含む医療機関を定期的に受診している人の受診率が芳しくない。初めて全国展開を目指す本事業には、特定エリアに限らず全国に組合員を持つ健保組合として大きな期待を寄せている。特定健診受診率向上は、健保組合にとって法的義務でもあり、何より健診データをかかりつけ医と連携することで過剰な検査を防ぎ、受診者や健保組合の負担軽減につながる。これからの医療DX推進への第一歩として、総合的な医療の適正化が図れると考えている」とコメントを寄せた。
Welbyは、11年からPHRサービスを提供するリーディングカンパニーとして、さまざまな疾患領域の患者を対象とする治療支援デジタルサービスの企画・開発・運用を行っている。提供するPHRサービスの一つ「Welbyマイカルテ」は、糖尿病、高血圧などの生活習慣病患者を対象に血糖値や血圧などの自己管理を支援するクラウドサービス。生活習慣病患者とかかりつけ医をつなぎ、患者が最適な医療を受けられるよう支援している。Welbyヘルスケアソリューションズは、「Welbyマイカルテ」を中心にさまざまなステークホルダーとの協働を通じて、未病・予防を含む生活習慣病領域におけるPHR活用を推進している。
(注)PHRはPersonal Health Recordの略。個人の健康診断結果や服薬歴等の健康等情報を電子記録として本人や家族が正確に把握するための仕組みのこと。