2024.03.21 東京海上日動 プラットフォーム「ビジクルby東京海上日動」開発 ビジネスマッチング事業本格展開へ 代理店に積極提供し顧客に紹介

東京海上日動は、2024年度からビジネスマッチング事業を本格展開する。保険代理店に対しては、新たに同事業専用に開発したビジネスマッチングプラットフォーム「ビジクルby東京海上日動」を提供し、顧客に対して「保険の領域にとどまらないソリューション」を届けていく考えだ。次期中期経営計画(2024―2026年)では、ソリューション事業の拡大をグループの重点戦略に位置付ける。

ビジネスマッチング事業は、「顧客が抱える課題やリスクのうち、保険商品では解決できない領域について、同社のグループ会社や提携企業のソリューションを紹介」するもの。
ビジネスマッチング事業の本格展開に向けて代理店に提供する「ビジクルby東京海上日動」は、㈱BusinessTech(三浦一大代表取締役CEO)と提携して開発したプラットフォームだ。東京海上日動は、「このプラットフォームには、当社グループ企業や提携企業のソリューションが集約されており、保険代理店や当社社員が、顧客に画面やチラシ等を見せながらソリューションを提案することができる。お客さまからニーズがあった場合には、プラットフォーム上で情報提供に関する同意取得を行うことで、顧客情報がソリューション提供企業に連携される。また、紹介者(代理店、当社社員)は、商談の進捗や結果をプラットフォームで確認することが可能」と話す。さらに、プラットフォームのデータを元に、同社の財務会計や管理会計システムにも連動させている。
23年度は、当該事業を開始するに当たっての各代理店との対話から始まり、委託契約の締結といった体制構築を図ってきた。24年度からは、同事業の本格展開に向けて、各ソリューションの勉強会等も積極的に開催していく計画だ。
プラットフォームには、幅広い分野のソリューションが集約されており、提供ソリューションとして、①モビリティ領域(EV充電器の設置から運営までのトータルサポート)②防災・減災領域(▽災害情報の可視化・一元管理を行い、リスクレベルを通知するサービス▽企業所在地域・拠点特性・規模等に応じた最適な備蓄品等を案内▽従業員の安全管理を一元化する中小企業向けの安価な安否確認サービス)③人事関連領域(▽中小企業向け中途採用支援サービス▽高卒採用に特化した就職サイト・人材育成サービスパッケージ▽人事労務業務最適化のための労務管理クラウド)④その他経営課題領域(▽中小企業が受給できる可能性のある補助金、助成金の診断・申請サポートサービス▽中小企業の海外販路拡大に向けた貿易支援パッケージ)―が例示されている。
プラットフォームの導入効果としては、①代理店は、顧客のニーズや課題に合わせたソリューションを紹介できる②プラットフォームを通じて、顧客をソリューション提供企業に紹介できる③東京海上日動は、プラットフォーム上に蓄積されるデータを活用し、分析結果を代理店に提供することで、最適な提案活動を推進できる―などを挙げている。
現在、すでに進んでいるソリューションの一つ「EV充電器の設置から運営までのトータルサポート」を行うサービスは、電気自動車(EV)向けのEV充電設備の設置工事・補助金申請、ユーザー向け課金アプリの提供などをオールインワンで提供するサービス。日本全国の商業施設や自治体等からニーズがあり、実際の紹介につながっている。
また、全国の中小企業からは、「申請できる助成金や補助金の診断サービス」や「採用支援サービス」に高い関心が寄せられているという。
申請できる助成金や補助金の診断サービスである「助成金・補助金診断システム」は、ウェブ上で簡単な設問に回答すると、受給できる可能性の高い補助金・助成金を無料で診断し、概算の受給可能額を算出するもので、申請フロー等の個別相談までワンストップでサービスを提供する。さらに、具体的に申請手続きを依頼したい場合の有料の支援も用意している。
同社では、「24年度から、モビリティ、レジリエンス、GX、人事関連、サイバー、ヘルスケア等の幅広い社会課題に対するソリューションを届けることに注力する」として、ソリューションのカテゴリー(課題や領域)ごとに親和性の高い部門がオーナー部門となり、ソリューションの企画・開発を行っている。また、設立したグループ会社においても新規ソリューション開発を行っている。各部で起案されたソリューションについて、ソリューション事業全体の統括部門である営業企画部が取りまとめ、全店的な展開施策に落とし込んでいる。
具体的なオーナー部門は、例えば、「サイバー関連ソリューション」はサイバー保険を所管している商品開発部門、「GX関連ソリューション」はGXを専門とする新部門、「防災減災関連ソリューション」は東京海上レジリエンス社(新会社)などだ。
今後について同社は、「お客さまの課題解決につながるソリューションを追加展開していくとともに、保険にとどまらない価値提供を実現していく。また、プラットフォーム上に蓄積されるデータを利活用することで、代理店による効果的なソリューション提案活動を積極的に支援していきたい」と意欲を見せている。