2024.02.27 東京海上HD 23年度第3四半期決算 修正純利益5203億円を計上 海外の事業別利益3000億円超に

東京海上ホールディングスが2月14日に発表した2023年度第3四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比9.1%増の5兆6346億円、連結経常利益は同63.1%増の5898億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同80.6%増の5174億円となった。修正純利益は、国内は円高の進行により為替のマイナス影響が縮小、海外はほぼ全拠点で好調に進捗し、同1925億円増益の5203億円で、昨年11月公表の通期予想の6550億円に対して79.4%の進捗率となった。

同社は2024年3月期の通期連結業績予想を修正し、経常利益8200億円(11月発表予想7650億円)、親会社株主に帰属する当期純利益6700億円(同5750億円)、1株当たり当期純利益338円51銭(同290円51銭)にそれぞれ引き上げた。修正利益については11月通期予想の6550億円から350億円上方修正し、6900億円とする。
修正純利益の通期予想の修正は、海外の好調な保険引受および資産運用、為替(▲140億円)、大口事故(▲80億円)などの増減を加味したもので、CREローンのトータルリターンについては11月予想通り着地する見込みとしている。自然災害等の一過性の影響を除いた Normalized ベースの修正純利益は、11月予想(6750億円)を若干上回る着地を見込む。
第3四半期末のグループ連結の正味収入保険料は、海外のレートアップや引受拡大、国内の自動車とその他新種の増収等により、前年同期比6.9%増の3兆7523億円となった。除く為替での増収率は前年同期比4.6%増で、11月予想の3.6%増を上回って進捗。通期予想については、11月予想の9.4%増4兆8900億円から8.1%増の4兆8300億円とわずかに下方修正した。今回の通期予想の為替除く増収率は4.1%増となっている。
第3四半期の国内の正味収入保険料は、自動車とその他新種の増収が想定通りに進捗した一方、旅行保険の回復が想定を下回ったことを主因に11月予想をやや下回って進捗し、1兆9405億円(除く為替で同0.8%増)。海外の正味収入保険料は、好調なレートアップや厳格な引受規律を維持した引受拡充などにより1兆8120億円(除く為替で同9.1%増)と基調は好調。海外の通期予想は11月予想の対前年比6.5%増(除く為替)から同7.9%増(2兆2330億円)に引き上げた。
グループの生命保険料は前年同期比3.2%減(除く為替で同5.3%減)の8058億円で、国内は事業保険の解約増加を主因に11月予想を下回って推移した。海外はアジア生保の減収を好調なデルファイ・ファイナンシャル・グループ(以下、デルファイ)の就業不能保障保険や Tokio Marine HCC (TMHCC)のメディカルストップロス保険等が打ち返し、11月予想の線で進捗。生命保険料の通期予想は11月予想の1兆1200億円(4.5%増)から1兆1000億円(2.6%増)に修正したが、為替除く増収率は4.1%増から4.0%増への修正でほぼ据え置き。
東京海上日動の保険引受利益は前年同期比253億円増益の697億円となった。11月公表の通期予想1010億円に対する進捗率は69.0%。自然災害や各種準備金等の影響を控除した保険引受利益は1366億円で、11月公表の通期予想1866億円に対する進捗率は73.2%だった。事業別利益は961億円で、前年同期比330億円の増益。円高進行による為替のマイナス影響の縮小を主因に、11月予想を上回っての進捗(進捗率91.6%)となるが、一過性の影響等を除いた事業別利益は1743億円で、11月予想をやや下回って進捗(進捗率82.9%)している。
正味収入保険料は同0.9%増の1兆8079億円。家計地震・自賠責を除く民保合計では同1.4%増の1兆6564億円だった。
発生保険金は、円高に伴う外貨建支払備金積増の減少の一方、火災保険およびその他新種保険における大口事故の影響等もあり、11月予想(1兆4428億円、5.8%増)をやや上回って進捗している。前年同期比では4.0%増の1兆1073億円となった。
民保E/Iベースの正味損害率は、11月予想をやや上回って進捗し、前年同期から0.4ポイント低下して66.2%。事業費率は31.4%で、コンバインド・レシオ(民保E/Iベース)は同0.5ポイント低下して97.7%となった。
資産運用等損益は、前年同期から363億円増益の2431億円。このうち、ネット利息及び配当金収入(インカム)は11月予想に対し順調に進捗し同308億円増収の2061億円。売却損益等計(キャピタル)は、12月末為替が11月予想対比円高となり「為替差益の減少」を上回る「金融派生商品費用の減少」が生じたため、同40億円増の692億円と11月予想をやや上回って進捗。ヘッジコストはおおむね計画通りで、政策株式売却額は1510億円、売却益は1290億円と順調。経常利益は同619億円増益の3143億円、当期純利益は同2000億円増益の3397億円だった。
日新火災の保険引受利益は前年同期比49億円減益の19億円。正味収入保険料は同13億円増収の1120億円だった。経常利益は同59億円減益の15億円、当期純利益は同49億円減益の10億円だった。
東京海上日動あんしん生命の新契約年換算保険料は、回払変額保険の販売下振れや保障性商品の競争激化による第三分野の減速等により11月予想を下回って推移し、前年同期比5.4%減の362億円となった。保有契約年換算保険料は前年度末比1.8%減の7833億円。基礎利益は前年同期比37.4%増の228億円だった。当期純利益は同57.3%増の230億円。事業別利益は240億円で11月予想(350億円)対比の進捗率は68.8%。デルファイ委託分の運用収益を考慮すると計画通りの進捗としている。
海外保険事業は、正味収入保険料は各拠点における成長施策の着実な実行により北米、欧州、中南米、アジア・オセアニア、中東・アフリカとほぼ全拠点で11月予想を上回って進捗し、合計で前年同期比11.6%増(除く為替で6.7%増)の2兆3514億円と基調は好調。
事業別利益もほぼ全拠点で11月予想を上回って進捗し、北米のキャピタル損増加(▲約480億円)や海外ランオフ受再契約のリザーブ積増し(▲約240億円)、自然災害の増加(▲約220億円)を、各拠点の好調な業績や台湾コロナの反動(+約740億円)、円安進行(+約90億円)で打ち返し、前年同期比1135億円増(60.6%増、除く為替で57.3%増)の3008億円と大幅増益で基調は好調とした。11月の通期予想は3950億円で進捗率は76.2%(除く為替)だったが、円安進行の縮小(▲約190億円)を各拠点の好調な業績(+約620億円)が大きく打ち返す見込みとしている。
個社では、フィラデルフィアは自然災害の影響があったものの、レートアップや過年度リザーブの取り崩しによりコンバインド・レシオは94.1%と堅調でインカム収益も好調。デルファイはCECL積増し・減損損失等のキャピタル損の影響はあるものの好調な保険引受やインカム収益が打ち返し基調は好調。TMHCCはコンバインド・レシオを87.2%と良好な水準に保ちつつインカム収益も好調で、基調は好調とした。