2024.02.22 生保協会 定例会見 「令和6年能登半島地震」への取組報告 被災者に最大限の対応行う方針示す 支払死亡保険金は8.7億円(2月1日現在)

生保協会の清水博協会長は2月16日、同協会会議室で定例会見を行った。1月1日に発災した「令和6年能登半島地震」への対策として、被災者に一刻も早い安心を与えることを最大限に配慮した対応に加え、会員各社による被災した契約者等への対応を積極的に支援することを目的に災害対策本部を設置し、会員各社による特別取り扱いに加え、生命保険契約照会制度の運営を進めていると報告した。2月1日時点の業界全体の支払状況については、死亡保険金等が221件の約8.7億円、保険料払込猶予期間の延長が1867件、照会・相談件数が1676件となっている。この他、「営業職員チャネルのコンプライアンスリスク管理体制のさらなる高度化」に係る着眼点を踏まえた取り組みについて説明した。

会見の冒頭、清水協会長は、「令和6年能登半島地震」によって亡くなった人々に哀悼の意を表すとともに、被災者へのお見舞いの言葉を述べた。その上で、生保協会として、1月3日付で「令和6年能登半島地震に係る大規模災害対策本部」を設置し、被災者に一刻も早く安心してもらえるように最大限の配慮に基づいた対応を行うとともに、被災した契約者等の安否確認や保険金等の支払手続き等の案内、迅速な保険金等の支払等を行う会員各社を積極的に支援していく方針を示した。
また、生命保険各社では、災害救助法が適用された地域の契約について、保険料払込猶予期間の延長や必要書類を一部省略する等の簡易・迅速な支払いなどを行う特別措置を実施したことに加え、生保協会では、生命保険契約の照会制度を運営し、災害救助法が適用された地域で家屋の流失または焼失等によって生命保険契約に関する手掛かりを失い、保険金請求が困難な契約者などに対して生命保険契約の有無等の照会を無料で受け付けていることを説明した。
さらに2月14日には、生保協会長として石川県庁や北陸財務局等を訪問して被災状況等について意見交換を行うとともに、生保協会の取り組みを伝えたとし、「被災された人たちが1日も早く安心して生活できる環境に戻れるよう、引き続き生保業界として最大限の対応を行っていきたい」と述べた。
次に、「営業職員チャネルのコンプライアンスリスク管理体制のさらなる高度化」に係る着眼点を踏まえた取り組みについて、2023年10月に着眼点を踏まえた会員各社の取り組み状況に関するフォローアップアンケートを実施した結果から、2月1日に会員各社の役員クラスを委員とする「お客さま本位推進会議」を開催し、意見交換を行ったことを報告した。
今回の「お客さま本位推進会議」では、アンダーソン・毛利・友常法律事務所の弁護士にも参加してもらい、不適正事案の要因や実効的なコンプライアンスリスク管理体制の構築について、具体的な事例を交えた情報提供を受けたと述べた。
各社の取り組みとして、不適正事案の未然防止等の観点から管理者の職制や定義を見直したことや、管理職に対して意識教育を実施したこと、全職員を対象に副業や職務上の関係者との金銭貸借に関するアンケートを実施したことなどを共有したと説明した。
取り組みを受けて弁護士からは、リスクベースアプローチが企業の不祥事防止に有効であり、自社で発生する恐れの高いコンプライアンスリスクを把握しそれに対応した適切な体制を作ることが重要であることや、体制整備後も適宜見直しを行う必要があるとの意見を得たとし、「会員各社の取り組みの後押しとなる非常に貴重かつ有意義な会議だった」と述べた。
今後については、「お客さま本位推進会議」での意見交換を踏まえ、着眼点の方針の検討を進めるとともに、会員各社の代表者による意見交換会も行う予定だとし、「引き続き生保協会として、会員各社の取り組みを強力に後押ししていく」との考えを示した。
質疑応答では、「郵政民営化の見直しをめぐる動きをどのように見ているか」という記者からの質問に対して、「公正な競争条件を確保する観点から、全株式処分までの移行期間中の措置として設けられているいわゆる上乗せ規制の緩和は、到底認められるべきものではないと考えている。そのため、生命保険業界としては、引き続き民間生命保険会社との公正な競争条件の確保が実現されることを強く要望していきたい」と回答した。