2024.02.01 自賠責審議会 特定小型原動機付自転車の基準料率新設 料率検証の結果自賠責基準料率は据え置き 特定小型原動機付自転車36カ月契約で9400円に
金融庁は1月15日、第147回自動車損害賠償責任保険審議会(会長:藤田友敬東京大学大学院法学政治学研究科教授、以下、自賠責審議会)を開催し、①自賠責の料率検証結果②特定小型原動機付自転車の基準料率③自賠責運用益の使途等―について報告・審議した結果、自賠責基準料率を据え置くこととした。同19日の第148回自賠責審議会で、特定小型原動機付自転車の基準料率の新設、自賠責共済規定の一部変更などが決まった。
15日の自賠責審議会で報告された令和5年度(2023年度)料率検証結果(自賠責共済含む)によると、契約年度が23年度の収入純保険料(収入純掛金)は4357億円で支払保険金(支払共済金)は5818億円となり、収支残は▲1461億円、損害率は133.5%となった。また、契約年度が24年度の収入純保険料(収入純掛金)は4355億円で支払保険金(支払共済金)は5717億円となり、収支残は▲1363億円、損害率は131.3%となったことが報告された。
23年4月の基準料率改定時の予定損害率との乖離は23年度で0%、24年度で▲1.6%にとどまっており、検証結果を受け基準料率の改定は必要ないものとされた。
なお、22年度の滞留資金は7782億円で、このうち7239億円は23年4月改定で純保険料の引下げに織り込まれている。22年度の社費水準は、収入社費が2223億円、支出社費が2253億円で、収支残は▲31億円だった。
22年度の自賠責保険における収入保険料と支出の構成割合は、収入が8291億円、支出が8638億円で、このうち保険金(共済金)が5650億円(65.4%)、社費(経費)が2253億円(26.1%)、諸手数料及び集金費が735億円(8.5%)となっている。社費(経費)のうち営業費は1576億円(18.3%)、損害調査費は678億円(7.8%)だった。なお、保険金については、実際に支払いが行われた金額で支払備金は含まれていない。
また、道路交通法の一部を改正する法律(令和4年法律第32号)等により、新たに「特定小型原動機付自転車」(いわゆる電動キックボード等)が定義されたことを受け、自賠責保険でも「特定小型原動機付自転車」のリスク特性に応じた基準料率を算出し、24年度から、「特定小型原動機付自転車」の区分を新設することとされていた。
19日の自賠責審議会で15日の審議会で示された方向性に沿って、損保料率機構から届出のあった「特定小型原動機付自転車」の基準料率に関して諮問が行われ審議した結果、「特定小型原動機付自転車」の基準料率を保険期間12カ月契約で6650円、同24カ月契約で8040円、同36カ月契約で9400円、同48カ月契約で1万730円、同60カ月契約で1万2040円―とし、24年4月1日から適用することなどが了承された。この基準料率を4月1日から使用することを可能にするため、損害保険料率算出団体に関する法律第10条の4第1項に規定する期間を短縮することが図られ承認されている。
「特定小型原動機付自転車」の基準料率は、一般原付の純保険料率を基準として、両者のリスク特性の差異を勘案して算出された。事故率較差は現時点で特定小型原付にかかる有意な統計がないため一般原付と同値とし、保険金単価較差について、運動エネルギーの小さい車種ほど、全体に占める死亡.後遺障害事案の件数割合が小さく、傷害事案の保険金単価が低額であることを利用して一般原付の実績から推計して算出、一般原付の36カ月基準料率1万170円に対して9400円となった。
昨年7月から改正道交法が施行され、特定小型原動機付自転車について自賠責保険の付保が義務化されたため、それ以来、特定小型原動機付自転車の自賠責は現行では、一般原付の保険料で引受けが行われている。この4月から特定小型原動機付自転車の保険料が安くなるところから、保険始期が3月31日以前、保険終期が4月1日以降の契約については差額の保険料の返還が行われることになる。
なお、19日の自賠責審議会で審議された「自賠責共済規定の一部変更」は、キャッシュレス決済手段を通じた共済掛金の収納を可能とするために、共済規程等を一部変更することについて、行政庁が行う認可に対して同意することに関して諮問が行われたもので、審議の結果、特段異議はないものとして了承された。