2024.01.26 東京海上日動 「TM Station Portal」開始 グローバル保険プログラムのデジタル基盤構築
東京海上日動は昨年12月22日、グローバルに事業を展開する企業の保険契約の一元管理や、拠点ごとの自然災害リスク分析・事故対応状況の可視化などの機能を有するリスクマネジメント・デジタルプラットフォーム TM Station Portal (以下、デジタルプラットフォーム)の提供を開始すると発表した。企業のさらなるグローバルな事業展開の促進やリスクマネジメントの高度化を支援する。
デジタルプラットフォームは、主に契約情報管理、リスク情報管理、事故情報管理の3機能で構成されている。同社のシステムと連動させることで、各種保険契約情報や事故対応情報などのタイムリーな把握が可能。
契約情報管理機能は、「TM―GO(Tokio Marine Global Operation)」という名称で、グローバル保険プログラム(本社が世界各国に所在するグループ各社の保険契約を一元的に管理・運営する保険プログラム)の新規組成・更新にあたり、国内外のコミュニケーションをプラットフォーム上で行うことで、手続き状況や対応プロセスの見える化、各国で発行される保険証券の一元管理を可能とする。
リスク情報管理機能は、「TM―GRS(Tokio Marine Global Risk Management Support )」という名称で、地図上に契約者の国内外の拠点を表示し、拠点ごとの契約情報を確認できる。さらに拠点ごとの自然災害リスク(地震・洪水・風災等)のハザードマップやリスク評価に関する情報、リスク調査結果の確認も可能。今後、リアルタイムの気象データや衛星画像を提供する機能拡充を検討していくという。
また、事故情報管理機能は、「GRECS(Global Reliance Electronic System)」という名称で、プラットフォームを通じて、事故報告から保険金の支払いまでの一連の保険金請求手続きをオンラインで行うことができる。企業の責任者が、世界各国で発生した事故の対応状況やそれぞれの事故の手続き状況をタイムリーに把握することが可能。
東京海上日動では、今回のデジタルプラットフォーム開発の背景について、「近年、世界各地で多発する自然災害による被害や、事業に大きな影響を及ぼすサイバー攻撃・感染症の発生、国際情勢の変化に伴う地政学リスクの高まりなど、企業を取り巻く環境は大きく変化している。グローバルに事業を展開する企業では、日本国内の拠点にとどまらず、海外の拠点を含めたグローバルでのリスクマネジメントを行う必要性が高まっている。一方で、海外拠点の情報をタイムリーに把握する仕組みや海外拠点も含めた保険契約管理の仕組みを構築するには多大なロードがかかることから、グローバルに事業を展開する企業にとって大きな課題となっている。当社はこれまで、企業のグローバル展開をサポートするために保険商品やリスクコンサルティングサービスなどを提供してきたが、企業のリスクマネジメントをグローバルレベルで一層強力に支援するため、新たなデジタルプラットフォームを開発した」と説明。
今後については、「外部機関・企業との協業によりデジタルプラットフォームの機能拡充を進めていく予定。リスク管理情報機能(TM―GRS)では、衛星データを活用したサービス開発の分野で23年5月から協業を開始している㈱QPS研究所と連携し、同社の小型SAR衛星商用機から取得するデータを企業に提供することを予定している。国内外の拠点で災害が発生した際、拠点周辺の衛星画像データを取得し企業に提供することで、タイムリーな状況把握や被害低減に向けた対策を支援する」としている。