2024.01.10 令和6年能登半島地震発生 石川・新潟・富山・福井4県35市11町1村に災害救助法、損保協会に「23年度自然災害対策本部」設置 建物予測被害棟数は39万棟
2024年1月1日午後4時過ぎ、石川県能登地方を震央とする最大震度7の地震が発生し、石川県、新潟県、富山県、福井県に甚大な被害が発生している。政府は「令和6年能登半島地震」非常対策本部を設置、4県合計で35市11町1村に災害救助法が適用されている。
1月2日、北陸財務局(石川県、富山県、福井県)、関東財務局(新潟県)はそれぞれ「令和6年能登半島地震にかかる災害等に対する金融上の措置について」を発出、災害救助法が適用された地域の被災者等について、生保会社、損保会社、少額短期保険業者に対して①保険証券、届出印鑑等を紛失した保険契約者等については、申し出の保険契約内容が確認できれば、保険金等の請求案内を行うなど可能な限りの便宜措置を講ずること②生命保険金又は損害保険金の支払いについては、できる限り迅速に行うよう配慮すること③生命保険料又は損害保険料の払込については、被災者等の状況に応じて猶予期間の延長を行う等適宜の措置を講ずること―等を要請。
これを受け生保協会では同日、「災害救助法適用地域の特別取扱いについて(新潟県、富山県、石川県、福井県)」を公表、①保険料払込猶予期間の延長(申し出により、保険料の払込みについて、猶予する期間を最長6カ月延長)②保険金・給付金、契約者貸付金の簡易迅速な支払い(申し出により、必要書類を一部省略する等により、簡易迅速な取扱いをする)―を行うと発表した。さらに4日に「令和6年能登半島地震による免責条項等の不適用について」を公表し、「すべての生命保険会社において、今回の災害で被災されたお客さまのご契約に地震による免責条項等を適用せず、災害関係保険金・給付金の全額をお支払いすることを決定したことを確認しました」と発表している。
損保協会は、1月1日「令和6年能登半島地震により被害を受けられた皆様へ」で「私ども損害保険業界といたしましても、皆様のお力となりますよう、被害状況の把握に努め、皆様からのお問い合わせ・ご相談等に親身にお応えするとともに、保険金の迅速なお支払いに全力で努めてまいります」とする新納啓介協会長のコメントを発表し、2日付で「2023年度自然災害対策本部」(本部長:新納啓介)を設置、3日付で災害救助法が適用された地域で被害を受けた場合の特別措置として、火災保険、自動車保険、傷害保険などの各種損害保険(自賠責除く)について、①継続契約の締結手続き猶予(災害救助法の適用日から6カ月後の末日(2024年7月末日)までに満期日が到来する継続契約の締結手続きについて、24年7月末日まで猶予)②保険料の払い込み猶予(災害救助法の適用日から6カ月後の末日(24年7月末日)までに払い込むべき保険料の払い込みについて、24年7月末日まで猶予)を発表した。自賠責については4日付で①継続契約の締結手続き猶予(24年1月12日まで猶予できるものとする)②保険料の払い込み猶予(最長6カ月後の末日(24年7月末日)まで猶予できるものとする)―を発表している。
建物の被害状況については、石川県内の住宅被害は少なくとも1401棟(輪島市、珠洲市、かほく市、内灘町、能登町は未把握、8日午後2時時点、NHKの報道による)、新潟県内で新潟市を除く住宅被害が778棟、新潟市の「被災程度調査中」が3109件(7日午後1時時点、新潟日報デジタルプラスによる)、人的被害については、7府県計で死者168人、安否不明者323人、負傷者665人(8日午後2時現在、朝日新聞による)―などと報道されている。なお、あいおいニッセイ同和損保によると、同社のcmapによる予測被害棟数は39万1005棟(1月4日午後4時10分時点)となっているという。
損保各社の対応状況では、あいおいニッセイ同和損保は、1月4日午後3時30分時点で対策本部を設置(本社対策本部に加え、北陸・甲信越地域対策本部を設置)、立会拠点として、金沢・新潟・富山に立会拠点設置済で、引き続き被害状況等を踏まえ、立ち合い拠点の増設を検討している。9日から順次、本社社員および営業社員の現地立会の支援を予定している。また、対応体制として4日から災害対応バックアップセンター(東京都渋谷区)で集約対応を開始している。三井住友海上も4日までに駿河台本社に損害サポート対策本部を設置、金沢と新潟に立会拠点を設け対応にあたり、同社オフィシャルサイトで事故受付の窓口の案内を開始している。
損保ジャパンでは危機対策本部を1日の地震発生後速やかに設置し被害状況等の情報収集を開始、4日に新潟、富山、石川、福井の4県で災害対策本部を立ち上げた。同時にホームページで「能登半島地震 地震保険の請求方法とお役立ち情報」のページを立ち上げている。
東京海上日動は1日夜に本店に災害対策本部を設置、社長を本部長とする対策本部としており、 情報収集および各種体制整備を進めている。2日にはホールディングスにも災害対策本部を設置。グループベースで情報収集・連携した対応を進めている。
5日の段階ですでに本店から災害対策専門チームを被災地最寄りの拠点に派遣し、現地に地区対策本部を設置するべく対応を開始しており、被害の集中している金沢・富山・新潟・長岡に損害対応・立会等を行うサテライトオフィス設置を予定。4日からは全店からの応援派遣をスタートしている。
また、都内には顧客からの事故に関する照会等を受けるバックオフィスも設置予定で、被災地での業務に加え、被災現地でなくとも業務を行うことができるマルチロケーション対応等によって、迅速な保険金支払いに取り組んでいるという。被災エリアの契約者には、LINEを使い保険金請求の案内を一斉に通知している。