2023.10.27 MS&ADHD等金融アライアンス4社 企業のネイチャーポジティブ転換を支援、TNFD対応支援サービス提供へ 簡易診断ツールやセミナー提供
MS&ADインシュアランスグループホールディングス、三井住友フィナンシャルグループ、日本政策投資銀行、農林中央金庫の金融機関4社は9月28日、金融アライアンス「FANPS:Finance Alliance for Nature Positive Solutions」として、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の開示提言第1版を踏まえ、企業のネイチャーポジティブへの転換を支援するサービスを10月中旬から提供すると発表した。
TNFD(Taskforce on Nature related Financial Disclosures)開示提言で求められている、企業における事業活動が自然へ与える影響は、定量的に計測できる温室効果ガス排出量等と異なり、開示が難しいと捉えられがちだ。しかし、自然資本や生物多様性のき損が気候変動に次ぐ世界的な課題と既に整理されているように、自然関連の情報開示への要請は今後ますます高まり、ごく一部の業種や先進的な企業だけが取り組むものにはとどまらないと想定される。FANPSでは簡易診断ツールやセミナーを通じ、TNFDが推奨する開示の基礎について、企業の実践的な学びを支援する。自然関連のリスク・機会に対応した取組推進と開示強化により、日本企業の国際的な競争力向上に貢献していく。
「FANPS簡易診断ツール」では、TNFD開示提言で推奨されている項目「ガバナンス、戦略、リスクとインパクト管理、指標と目標」に基づき、企業に求められる対応事項を整理し、その対応度合いをウェブ上のアンケート回答を通じて簡単に診断することができる。診断の結果として、自社の対応度合いを可視化した一覧表と今後進めるべき対応をまとめたレポートも無償で提供する。また、寄せられた回答データを匿名化して集約し、企業のネイチャーポジティブや自然に関する情報開示に向けた取組状況について、分析レポートを発行する。
また、同ツールを利用した企業を対象に、TNFD対応支援として、①オンラインセミナー(11月予定・無償)②TNFD入門ワークショップ(年内実施予定・有償)―を(一社)企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)と協働で提供する。
オンラインセミナーでは、TNFD開示提言に基づいた、企業における自然関連の取り組みの進め方に関する解説等を行う。TNFD入門ワークショップは、TNFD開示提言をさらに理解するためのもので、TNFD開示提言の解説に加え、LEAPアプローチに関するインプットや演習を行い、同アプローチに基づく自然関連リスク・機会の分析方法を理解することを目指す。
また、4社ではFANPSのホームページを開設し、「FANPS簡易診断ツール」リリースの案内、セミナーやTNFD入門ワークショップ等の詳細を発信していく。
今後FANPSでは、自然関連リスクの分析方法・ツールやリスクの緩和に寄与するソリューションを調査の上、官民の研究者との連携により、ネイチャーポジティブに有効なソリューションをカタログ化して公表することも予定しているという。こうした取り組みを通じ、企業の取り組みを支援する具体的なソリューションやファイナンスを提供する仕組みづくりを、国立研究開発法人国立環境研究所や生態学分野等の研究者と連携して進めていく。