2023.10.04 日本生命 「貯蓄から投資へ」シフトを後押し、iDeCo運営管理手数料無料に

日本生命は10月1日から、個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)の運営管理手数料を無条件で無料とする「運営管理手数料無料コース」の販売を開始した。既加入者(一部プランを除く)の運営管理手数料(月額319円)も同日から無料に変更した。iDeCoの運営管理手数料を資産額や拠出金額に関係なく、また期間を設けずに無料とするのは、生命保険業界初(9月現在、同社調べ)となる。

日本生命では2002年4月からiDeCoの取り扱いを開始している。現在、「ニッセイのiDeCo」は、▽無料で利用可能な加入者向けアプリ「NISSAY DC Station」や資産運用シミュレーションが可能なサービス「N―アシスト」で、加入者の資産運用を手厚くサポート▽外部評価機関から高評価を得ているコールセンター・加入者向けウェブサイトによる安心と充実のサポート▽確定拠出年金の領域では業界初となる専用の福利厚生サービス「ニッセイDCクラブオフ」を提供―といった特徴を有している。
同社では無料化をきっかけに、現在9.8万人(マーケットシェア2.6%)の加入者数のさらなる拡大を狙うとしており、「2040年にマーケットシェア5%超」を目標としている。
そのため、企業型DCを中途脱退した人への案内や地銀や代理店との新規提携、またメルマガや公式LINE、公式ホームページなどデジタルによる制度案内を実施していく方針だ。
また、運管手数料無料化に伴い、運用商品ラインアップを刷新し、業界最安水準のパッシブ運用商品をラインアップするほか、今後、全米株式・全世界株式等の幅広い運用商品も追加する予定。
加えて、4月から機能拡充しているスマホアプリについても、情報提供コンテンツの拡充を進めていく(現在、ダウンロードした人のうち、アクティブユーザーは36.4%となっているとのこと)。
なお、他の企業年金制度や他の運営管理機関へ移換を行う場合、他社では手数料4400円が発生するが、日本生命ではこれを無料とし、政府が掲げている労働移動の円滑化にも対応するとしている。
営業職員チャネルではこの10月から、営業職員全層の活動においてNISA・iDeCoの紹介を開始することにしており、NISAについてはSBI証券のNISAを紹介し、iDeCoについては自社商品の「ニッセイのiDeCo」を紹介する。具体的には、①顧客へ紹介ビラを配布②紹介ビラに記載の内容をもとに、NISA・iDeCoの一般的な制度について説明③顧客の要望に応じてSBI証券のNISAや「ニッセイのiDeCo」を紹介―といった活動を実施する。なお、NISAについては、24年4月からはニッセイアセットマネジメントの紹介を開始することも予定している。
22年度のDC法改正によりiDeCoの加入対象が拡大した(企業型DC加入者等が追加)。また、政府は改訂版「骨太の方針」における資産所得倍増プランにおいて、老後の資産形成に向けたiDeCo制度改革を打ち出した。直近では第一生命、りそな銀行、三井住友信託銀行が運管手数料無料プランを開始している。22年度のiDeCo新規加入者等数は過去最高の72.4万人(総加入者等数は373.2万人)となったが、加入可能対象者は約7000万人で、加入者等数は全体の5%のみで、日本生命では普及余地は大きいとみている。同社では、昨今の資産形成ニーズの急速な高まりを受け、顧客により気軽に将来へ備えてもらえるよう、今回の取り扱いを決定したとしており、顧客それぞれのライフプランに合わせた資産形成をサポートし、「貯蓄から投資へ」のシフトを後押しできるよう、日本生命グループとしてサービス向上に努めていくとしている。