2023.09.21 生保協会定例会見 営業職員チャネルコンプラリスク 着眼点踏まえた取組進める、損保協会、生保文化センターと保険教育で協定締結検討

 生保協会の清水博協会長は9月15日、同協会会議室で定例会見を行った。会見では、「営業職員チャネルのコンプライアンスリスク管理体制の高度化」着眼点を踏まえた取り組みに加え、新型コロナウイルス感染症をめぐる生保業界の取り組みおよび次のパンデミックに向けた課題と対応に関する報告書の作成について、また、損保協会と生命保険文化センターとの保険教育に関する包括連携協定の締結の検討に関する報告を行った。その他にも、①子育て支援等にかかる報告書と情報提供ツールの作成②各社の地方貢献活動にかかる広報の強化③「先端デジタル技術に関する報告書の作成」④「持続可能な社会の実現に向けた地球環境等ハンドブック」の作成―の四つの取り組み状況を説明した。

 清水協会長は、「営業職員チャネルのコンプライアンスリスク管理体制のさらなる高度化にかかる着眼点」(着眼点)を踏まえた取り組みについて、9月1日に会員各社の役員クラスを委員とする「お客さま本位推進会議」を開催し、各社が公表している着眼点を踏まえた取り組みや直近の不適正事案とその再発防止策等について意見交換を行ったこと、全国消費生活相談員協会から情報提供やアドバイスを受けたことを報告した。
 次に、11月に開催するIAIS東京年次総会で実施予定の金融庁主催の生保協会と損保協会が関与するサイドイベント「金融庁ハイレベルダイアログ」について、同イベントでの生保協会からの発信内容の検討に向けて、会員各社の代表者による意見交換会を実施し、経営者の目線で幅広く議論したことに加え、対談テーマの「レジリエントな社会の形成に向けた保険の役割」に関連する会員各社の取り組み状況を共有したと報告した。 
 協会長就任時の所信に関する協会の取り組みの進ちょくについては、以下のとおり報告があった。
 新型コロナウイルス感染症をめぐる生保業界の取り組みおよび次のパンデミックに向けた課題と対応に関する報告書を作成する件では、パンデミックの経験を今後に生かすことを目的に、コロナ禍の生命保険業界の取り組みを振り返り取りまとめるとした。
 国民の金融リテラシー向上に向けて政府と金融業界が一体となった取り組みを進める件では、保険教育の分野における連携協力体制の強化を図るために、損保協会と生命保険文化センターとの「保険教育に関する包括連携協定」の締結を予定していると報告した。 
 この他、子育て支援等にかかる報告書や情報提供ツールの作成については、少子化という喫緊の課題に対し、社会全体の子育て支援の機運向上への貢献を目指し、少子化社会に対応した協会と会員各社の取り組みを取りまとめ、生保業界が果たす役割をあらためて示すことに加え、子育て支援や子どもの権利保護等に関する内容をまとめた研修教材等を作成し、業界の内外に発信していくとした。
 各社の地方貢献活動にかかる広報の強化については、協会と会員各社はこれまでも地域社会に根差した社会貢献活動に積極的に取り組んでいることから、取り組みの一元的な見える化を図るために、協会ホームページやSR報告書の一部見直しを行う考えを示した。
 「先端デジタル技術に関する報告書」の作成については、会員各社のデジタル化に向けた取り組みを一層後押しするために、先端デジタル技術に関する調査報告書を作成するとともに、有識者による勉強会を開催するとした。
 「持続可能な社会の実現に向けた地球環境等ハンドブック」の作成については、会員各社の取り組みの後押しに向けて、気候変動や生物多様性など、各テーマの最新の動向等を反映したハンドブックの作成や勉強会を実施する方針を示した。清水協会長は「各取り組みについて着実に進めていくので、継続した支援をお願いしたい」と述べた。
 質疑応答では、「『着眼点』の今後の対応や予定について聞きたい」という記者からの質問に対して、「各社の取り組み状況を整理したフォローアップアンケートを実施した上であらためてお客さま本位推進会議で意見交換を行い、さらに代表者による意見交換会についてもタイミングを見て実施したいと考えている。一連の取り組みを通じて、着眼点を踏まえた各社の営業職員体制の高度化を後押ししていきたい」と回答した。
 次に、「外貨建保険の販売における足元の苦情の発生状況について聞きたい」という質問については、「外貨建保険に関する苦情については、4年前の2019年度がピークであり、そこから適合性の確認や加入時の説明の充実、定期的なフォローアップ、外貨建保険販売資格試験制度の導入などを銀行、全銀協と相談をしながら進めてきた結果、19年比では減少している状況だ」と回答した。