2023.08.30 東京海上日動 中小企業向け労災総合「超Tプロテクション」、医療補償を新たに追加 勤務先通さず保険金請求可能に

東京海上日動は8月21日、10月から中小企業向け保険「超Tプロテクション(業務災害総合保険)」に疾病による入院時の費用を補償する特約(以下、医療の補償)を追加するとともに、従業員の疾病等に関するプライバシーを保護する観点から、保険金請求時に勤務先を介さずに保険会社へ直接連絡できるウェブ事故受付システムの提供を開始すると発表した。中小企業の福利厚生の充実を通じて、従業員の治療と仕事の両立を支援する。

(独)労働政策研究・研修機構の「病気の治療と仕事の両立に関する実態調査」によると、「がんや心疾患等に罹患(りかん)した従業員の退職割合が1割以下」の企業は約8割を占めており、病気の診断が確定した後も働きながら(あるいは一時的に休職しながら)治療を両立させていくケースも珍しくなくなった。一方で、特に中小企業では福利厚生に関する体制構築が難しく、福利厚生の手当てを受けるために病気に関するセンシティブな情報も含めて勤務先に申し出なければならないケースがあり、こうした実情が、従業員にとって仕事と治療を両立する足かせとなっているという。
東京海上日動が10月から提供を開始する「超Tプロテクション」の「医療の補償」は、従来のケガの補償に加え、病気の治療にかかる費用の補償を可能とするもので、従業員が疾病で入院した場合の入院費用、治療費用、先進医療および患者申出療養にかかる費用等を補償する。補償タイプは従業員が負担した費用を支払う実額補償型(疾病入院医療費用補償特約条項)と、入院日数に応じて定額で保険金を支払う定額補償型(疾病入院保険金定額補償特約条項)の2タイプがある。
本保険では補償を受ける従業員の告知や名簿の提出を省略できるため、企業側も従業員も加入にかかる負担が抑えられる。一方、企業が契約するため、保険請求に際しては企業を介して保険会社に連絡したり、保険会社が従業員から直接連絡を受けた場合も契約の特定に時間を要したりする等の課題があったが、新たに保険金請求時に従業員から直接かつスムーズに保険会社に連絡できるウェブ事故受付システムを開発し、従業員のプライバシーに配慮した保険金支払いプロセスを実現した。これにより、特にセンシティブな情報が含まれやすい診断確定の資料や治療方針、治療費用明細等について、従業員と保険会社担当者の間で直接やり取りできるようになり、企業として従業員のプライバシーを守りつつ治療に専念してもらえるとともに、従業員のセンシティブ情報の漏えいリスクの低減も期待できるようになった。
同社では「既にウェブシステムで請求を受け付ける仕組みを有する保険会社は多いが、今回のような中小企業向け業務災害保険の医療補償で利用できる仕組みはいまだなく、中小企業の福利厚生の拡充に貢献するもの」としている。
「医療の補償」の保険料は、売上高5億円企業の場合、補償内容や業種によるが月額数万円程度から。
東京海上日動は、2021年から開始している中期経営計画で、国内の新種保険で1000億円増収を掲げており、中小企業マーケット開拓は重要な柱の一つとしている。多様化する顧客ニーズに応えるために、人とデジタルをベストミックスし、顧客に最適な選択を提供し、デジタルにより効率化を実現したうえで、人が担うべき業務により注力することを目指すとしている。
また、本保険・サービスの提供を通じて、同社に蓄積される疾病や治療等の統計データを活用し、よりリスク実態を踏まえた保険料率の算出や、顧客ニーズに即した新たな補償の提供を目指すとしている。