2023.08.28 第一生命HD 23年度第1四半期決算、グループ修正利益825億円、進捗率31% 国内新契約保険料は46%増
第一生命ホールディングスが8月10日に発表した2023年度第1四半期決算によると、連結経常収益は前年同期比3.9%増の3兆34億円で、連結保険料等収入は同15.0%増の1兆8455億円となった。グループ基礎利益は同4.9%減の978億円。連結経常利益は同27.4%減の1154億円で、親会社株主に帰属する四半期純利益(連結純利益)は、第一フロンティア生命におけるMVA関連損益に含まれる金利変動損益で損失が発生し、同24.7%減の673億円。グループ修正利益は、国内では第一生命が利配収入の減少や金融派生商品損益の悪化を主因として前年同期比で減益、第一フロンティア生命が前期に引き続き販売好調を受けた外貨標準責任準備金等の繰入れがあったが前年同期比では改善、海外では米プロテクティブが評価性損失(金利上昇に伴うもの)の縮小、豪TALが基礎的収益力の向上等の影響でそれぞれ前年同期比で増益となり、グループ全体では同17%減の825億円となった。通期予想に対する進捗率は31%で、順調な進捗としている。
新契約年換算保険料はグループ全体で前年同期比33.5%増の1177億円、国内4社(第一生命、第一フロンティア生命、ネオファースト生命、アイペット損保)計では同46.2%増の910億円となった。第一生命が同19.7%減の110億円、第一フロンティア生命が同65.3%増の751億円、ネオファースト生命が同6.7%増の31億円、アイペット損保が16億円だった。第一フロンティア生命が前期に引き続き好調なモメンタムを維持、円建FIA商品等を中心に高い販売量で全社をけん引した他、ネオファースト生命も前年同期を上回った。一方で、第一生命生涯設計デザイナーチャネルによる第一フロンティア生命商品販売の占率が引き続き高く、第一生命自社商品については前年同期比で減少した。
海外新契約年換算保険料は、米プロテクティブが同0.1%減の163億円、豪TALが同27.0%増の30億円、パートナーズ・ライフ(ニュージーランド)が7億円、第一生命ベトナムが同11.4%減の62億円、第一生命カンボジア/第一生命ミャンマーが同113.1%増の2.3億円、海外6社計では同2.8%増の266億円だった(海外の増減率は為替変動の影響除く)。
グループ全体の保有契約年換算保険料は前年度末比3.4%増の4兆6803億円だった。国内4社計では同2.4%増の3兆1943億円。第一生命は同0.7%減の1兆9838億円で、このうち第三分野は同0.4%減の6994億円となった。第一フロンティア生命は同9.8%増の1兆592億円、ネオファースト生命は同5.7%減の1177億円だった。アイペット損保は同2.9%増の335億円。
第一生命グループのその他の指標で、連結ソルベンシー・マージン比率は705.9%と前年度末比1.8ポイント上昇した。グループEEVは前期末比で約3%増加し約7兆5800億円、資本充足率(ESR)は前年度末比で横ばいの約226%だった。
グループ各社の業績では、第一生命は経常収益が前年同期比592億円減の1兆502億円となった。このうち、保険料等収入は同211億円増の6153億円、資産運用収益は同264億円減の3734億円だった。
経常費用は同85億円増の9459億円で、このうち保険金等支払金は同247億円増の6253億円、責任準備金等繰入額は同372億円増の399億円、資産運用費用は同492億円減の1294億円、事業費は同21億円減の921億円だった。
経常利益は同678億円減の1043億円、四半期純利益は同417億円減の585億円だった。基礎利益は、前期のヘッジ外債売却に伴う利配収入の減少やヘッジコスト増加の影響で順ざやが減少したことなどにより、同26%減の611億円。修正利益は前記減益要因に加え、金融派生商品損益の悪化による影響により、同42%減の585億円となった。ソルベンシー・マージン比率は前年度末比13.7ポイント上昇して879.1%。
第一フロンティア生命は経常収益が同345億円増の1兆2115億円となった。このうち保険料等収入は同1537億円増の7537億円、資産運用収益は同178億円減の4561億円だった。
経常費用は同374億円増の1兆2391億円で、このうち保険金等支払金は同4214億円減の6751億円、責任準備金等繰入額は5296億円(前年同期実績なし)、資産運用費用は同762億円減の79億円、事業費は同42億円増の217億円となった。
経常利益は同28億円減の▲275億円、四半期純利益はMVA関連損益の悪化や円安に伴う危険準備金の繰入れ増加等の影響により、同21億円減の▲216億円。基礎利益は販売増加に伴う標準責任準備金繰入れによる保険関係損益の減少が継続した影響等により、同3億円増の▲24億円、MVA関連損益等を除いた修正利益は同51億円増の▲55億円となった。
ネオファースト生命の保険料等収入は、医療保険・がん保険の保有契約が増加したものの、経営者保険の解約等により、同21%減の226億円となった。四半期純利益は経営者保険の解約増加等に伴い保険金等支払金が増加したものの、責任準備金戻入額の増加によるその他経常収益の増加等により、同23億円増の6億円となった。
海外事業では、米プロテクティブの四半期純利益は、23年3月に破綻した銀行の債券等の減損や商業モーゲージローン貸倒引当金の積増し等があったものの、前年同期に大きな影響を及ぼした金利上昇に伴う評価損が縮小したこともあり、前年同期比12億円減の▲23億円。豪TALの四半期純利益は、基礎的収益力の増益に加え金利上昇に伴う資産・保険負債の変動が前期に引き続きポジティブに寄与し、同42億円増の163億円。第一生命ベトナムの四半期純利益は、金利低下に伴うユニバーサル保険の責任準備金積立増加等により、同11億円減の32億円。