2023.08.25 かんぽ生命 23年度第1四半期決算 純利益は80%増の210億円、新契約年換算保険料は38%増

かんぽ生命が8月10日発表した2023年度第1四半期決算によると、保険金支払が減少した一方、保有契約の減少および順ざやの減少により基礎利益は減少。キャピタル損益の改善により、経常利益は前年同期比310億円増加し441億円となった。連結の経常利益は同297億円増の432億円で、通期業績予想の1400億円に対する進捗率は30.9%。キャピタル損益および順ざやに含まれる為替に係るヘッジコストについては価格変動準備金により中立化され、連結四半期純利益は同80.9%増の210億円となり、通期業績予想の720億円に対する進捗率は29.2%だった。

連結業績ではその他、経常収益は前年同期比151億円減の1兆5937億円で、通期業績予想の5兆8900億円に対する進捗率は27.1%。このうち、保険料等収入は同285億円減の5484億円、資産運用収益は同670億円増の3229億円、責任準備金戻入額は同713億円減の6881億円だった。経常費用は同449億円減の1兆5505億円で、このうち保険金等支払金が同877億円減の1兆3342億円、資産運用費用が同454億円増の881億円、事業費等が同26億円減の1280億円だった。
かんぽ生命単体ベースでは、新型コロナウイルス感染症に係る保険金支払が減少した一方、保有契約の減少により保険関係損益はおおむね横ばいとなったが、順ざやが減少したことにより、基礎利益は前年同期比45億円減の576億円となった。内訳は、保険関係損益が同13億円増の371億円、順ざやが同59億円減の205億円で、このうち為替に係るヘッジコストは同175億円減の▲188億円だった。
危険準備金の超過繰入の増加に伴い臨時損益が減少したものの、キャピタル損益の改善により、経常利益は前記のとおり前年同期を上回る441億円となった。キャピタル損益相当額および順ざやに含まれる為替に係るヘッジコストに対しては、従来通り価格変動準備金を繰り入れる、または取り崩す会計処理を実施。四半期純利益は前年同期を106億円上回る219億円となった。
個人保険の新契約年換算保険料は同38.9%増の230億円、第三分野の新契約年換算保険料は同100.5%増の25億円と回復基調が続くものの、保有契約年換算保険料は、2兆3040億円で前期末比2.1%減(連結では3兆1482億円、同2.2%減)、第三分野が3182億円で同2.2%減(連結では5852億円、同1.3%減)となった。
個人保険の新契約件数は前年同期比80.5%増の12万件だった。保有契約件数は、新旧区分合算で前期末比1.8%減の2061万件だった。商品別に見ると、養老保険は654万件(占率31.7%、前期末実績677万件)、終身保険は1100万件(占率53.4%、前期末実績1109万件)、学資保険は292万件(占率14.2%、前期末実績297万件)、その他は14万件(占率0.7%、前期末実績13万件)となっている。
今期の支払保険金のうち新型コロナウイルス感染症に係る支払い状況では、死亡保険金が2943件・89億円(22年度通期が1万5257件・458億円)、入院保険金が5万4058件・24億円(同149万3752件・610億円)と減少している。
第1四半期の委託手数料は前年同期比37億円減の311億円。このうち、新契約手数料は同29億円減の68億円、維持・集金手数料は同8億円減の243億円だった。拠出金は同15億円増の141億円だった。
外国債券等の収益追求資産の投資残高は、前期末比3882億円増の10兆2186億円で、総資産に占める割合は16.3%(前期末15.7%)に拡大した。平均予定利率は、前年同期から0.02ポイント下がり1.66%、利子利回りは同0.05ポイント下がり1.82%だった。有価証券の含み益は4兆4793億円で前期末比から6533億円増加した。
連結の総資産は前期末比436億円減の62兆6437億円で、純資産は同4261億円増の2兆8014億円となった。
連結ソルベンシー・マージン比率は、1047.1%で、前期末比38.0ポイント上昇した。
エンべディット・バリュー(EV)は、国内株価上昇による保有国内株式の含み益の増加等により、前期末比5.4%増の3兆6523億円だった。