2023.08.10 JA共済連 22年度決算・記者説明会開催、基礎利益1422億円減の3724億円に

JA共済連は7月27日、同日開催された通常総代会で2022年度決算が承認されたことを受け、東京都千代田区のホテルニューオータニで決算の記者説明会を開催した。長期共済の新契約高は、生命総合共済の減少を主因に13兆2371億円となり、保有契約高は224兆3243億円となった。基礎利益は、新型コロナウイルス感染症や自然災害に関する支払共済金および為替ヘッジコストの増加などにより前年度から1422億円減少して3724億円となった。決算概要の他、22年度の重点取り組み事項などについて説明した。

冒頭、柳井二三夫代表理事理事長があいさつし、総合的な監督指針の改正や規制改革実施計画の閣議決定などでJA共済事業が大きな転換期を迎えている今こそ、あらためて事業の原点に立ち返り、組合員・利用者本位の事業運営に向けた取り組みおよびコンプライアンス・ガバナンス体制の強化、共済事業体制の総点検の実施など組合員・利用者の生命と財産を守る活動を推進していくと述べた。
次に、歸山好尚代表理事専務が22年度の事業内容や決算の概要について説明した。重要取り組み事項として①新たな生活様式への対応の加速②共済事業の長期安定的な展開③長期にわたり契約者が安心できる土台・スキームづくり―の三つを挙げ、①については、新たなニーズを捉えた保障・サービスの一体的な展開や、デジタル活用による手続きの整備と利便性の高い顧客接点の構築、農業保障の強化および農業・地域への貢献活動に取り組んだことを報告した。
②については、契約者・組合員との結び付きを強化する「3Q活動」や、デジタル活用による業務効率化および抜本的な事務の簡素化などに取り組み、また、③については、JAの指導・サポート機能の強化に向けた連合会組織の整備や、新たな健全性規制を見据えた総合リスク管理体制の高度化、コンプライアンス態勢の強化などを行ったと述べた。
続いて、新契約高について、生命総合共済(生命・医療系・介護・生活障害・特定重度疾病・年金共済合計)で135万6629件(対前年度比84.7%)、保障共済金額2兆3594億円(同75.0%)、建物更生共済で72万5582件(同84.0%)、保障共済金額10兆8776億円(同83.1%)、自動車共済で812万6430件(同99.9%)となり、共済掛金は2646億円(同99.3%)になったと報告した。
生命総合共済・建物更生共済合計の保有契約高(保障共済金額)は224兆3243億円(対前年度比96.9%)、解約・失効率は生命共済で2.57%(前年度2.51%)、建物更生共済で2.31%(同2.14%)となった。
共済金支払実績は、事故共済金が1兆2887億円(対前年度比122.0%)、満期共済金が1兆8199億円(同66.0%)で、総額3兆1086億円(同81.5%)を支払い、組合員・利用者の生活保障の一助になったと述べた。
財産および損益等の概要については、総資産が57兆6870億円(対前年度比99.1%)、運用資産が55兆3776億円(同98.8%)、責任準備金が50兆3929億円(同100.2%)となった。損益の状況は、直接事業収益が3兆8485億円(同82.7%)、財産運用収益が1兆1282億円(同104.5%)、直接事業費用が4兆3175億円(同81.2%)で、経常利益は1222億円(同71.8%)、当期剰余金は715億円(同69.5%)となった。
主な経営指標については、ソルベンシーマージン比率が、南海トラフ地震など巨大災害の被害想定額が上方に見直された影響から、前年度末比261.9ポイント減少の1095.4%となった。基礎利益は、新型コロナウイルス感染症や自然災害に関する支払共済金および為替ヘッジコストの増加などにより、前年度から1422億円減少の3724億円となった。また、実質純資産総額は前年度から2兆3115億円減少の14兆4072億円となった。
この他、健全性の確保に向けて責任準備金の特別積み立てや、異常危険準備金・価格変動準備金の積み立てを実施したことを報告した。