2023.07.20 富国生命 第101回定時総代会開催 「契約者の利益擁護」を徹底、個人保険分野は11年連続の増配

富国生命は7月4日、東京都千代田区の本社ビルで「第101回定時総代会」を開催した。2022年度の事業概況や業績などについて報告した他、22年度剰余金処分案承認の件や社員配当準備金分配の件、評議員・取締役・監査役選任の件など5議案の決議事項を審議し、全て承認された。米山好映社長は、23年に創業100周年を迎えるに当たり、あらためて経営理念の「契約者の利益擁護」を徹底し、経営の健全性確保による配当還元のさらなる充実を通じて、顧客の実質的な保険料負担の軽減を図る考えを示した。

22年度の事業報告では、経営理念の「契約者の利益擁護」「社会への貢献」「働く職員の自己実現」に基づき「お客さま基点」の業務運営を遂行したとして、創業100周年を迎えるに当たり新コーポレートメッセージ「人と人の間に」を策定したことや、次世代の相互扶助を表す企業コンセプト「THE MUTUAL」の実現に向け各種プロジェクトに取り組んだことを紹介した。
中期経営計画(22~24年度)については、事業変革の基盤固めと多様化する社会課題の解決に向けた取り組みの推進を通じて、持続的成長のための好循環を構築することで長期経営ビジョンである「お客様満足度ナンバーワンの生保会社となる」の達成につなげていくとし、おおむね予定通りの進捗だと報告した。
顧客本位の業務運営方針については、評価指標として契約者アンケートの他者推奨意向を準用し経営改善に生かしながら、契約者の家族が所定の範囲内で契約内容等を閲覧できる登録制度の運用や、口座振替取り扱い金融機関の拡充など顧客の要望に応じたサービスを展開し、顧客の満足と信頼の向上に取り組んでいるとした。
商品・サービス面では、一時金方式と日額方式を組み合わせたハイブリッド型の入院保障で短期・長期共に入院費用をカバーする医療保険「ワイド・プロテクト」の発売や、学資保険「みらいのつばさ」の保険料引き下げを行うとともに、対面とデジタルを併用した営業活動を通じて顧客のニーズに応えるよう努めていると説明した。
企業保険分野でも、新団体医療保険における「健康経営配当」の創設や、「あんしん健康相談ダイヤル」の設置、ホームヘルパー協定による仕事と介護・家事の両立支援など、企業の福利厚生制度に関するコンサルティングを推進し、顧客の多様なニーズに応じた商品・サービスの提案を行っているとした。
社会貢献活動については、訪問&チャリティーコンサートや、障がいのある子どもたちのアート作品展示会「すまいる・ぎゃらりー」、東日本大震災の被災地を応援する特産品販売会などさまざまな活動を行っていると報告した。
この他、実効的なコーポレートガバナンスの実現に向けた取り組みや、リスク管理委員会による適切なリスク管理、コンプライアンスプログラムに基づく実践的な教育などについて説明した。
22年度の業績に関しては、新医療保険の発売やコロナ禍での医療保障の選好により販売実績が医療保険へとシフトしたため、個人保険・個人年金保険の新契約高が前年対比13.1%減の1兆4097億円となったことや、第三分野における個人保険・個人年金保険の保有契約年換算保険料が前年対比0.9%増の1164億円となり、開示以来19年連続で増加していることなどを報告した。
配当還元については、契約者の期待を考慮して、「ワイド・プロテクト」と特約組立型総合保険「未来のとびら」の配当を加入1年後から開始することに加え、予定利率引き上げ以前に販売した学資保険の利差配当を増配する案を示し、個人保険分野では11年連続の増配になると説明した。
22年度貸借対照表・損益計算書については、総資産が金利上昇による内外公社債の時価低下などを主因に1630億円減の7兆2262億円となったことや、保険料等収入が団体年金保険の増加により395億円増の5260億円となったこと、保険金等支払金が新型コロナウイルス感染症拡大による支払増加により887億円増の5047億円となったことなどを報告した。
相互会社制度運営に関する報告の後、米山社長が同社の課題への対応について説明した。コロナの感染拡大が経営に大きな影響を与えたことから、未知の感染症への対応を長期的な課題と捉え、歴史的事象を振り返り分析することでリスク対応力を高める方針を示した。
また、死亡保障・第三分野・貯蓄性商品を総合的に提案して顧客のニーズに応える生命保険会社を目指し、地域に密着した「Face to Face」の活動を行うお客さまアドバイザーの育成に注力して営業職員体制の質的強化を図ると同時に、顧客の利便性と営業職員の生産性向上に向け、ITの活用を組み合わせた効果的な営業活動を推進していくとした。
経営の健全性の維持については、レジリエンス(回復力)を強化し、適切な保険引受と資産運用による利益の確保を通じて自己資本の充実につなげる自己資本・リスク・リターンの好循環を構築することで、確実な保険金支払いと配当還元による実質的な保険料負担の軽減を実現するとして、「保険会社としての責務と相互会社としての使命を果たすために、これからもお客さまの利益を守ることを考え、着実な成長を追求していく」と述べた。
報告終了後は、総代から寄せられたSDGsの取り組みや子育て世代・高齢者向けの商品開発などに関する事前質問に対し、米山社長や各担当役員が丁寧に回答した。