2023.07.14 生保各社22年度(23年3月期)決算 コロナ支払増等で減益決算に、新契約保険料は19年度水準上回る
生保各社の2022年度決算がまとまった。本日4~6面に生保協会会員各社の業績詳細を掲載。個人保険・個人年金保険計の新契約年換算保険料は全体で前年比17.4%増の2兆1607億円(生保協会集計)を計上、コロナ禍以前の19年度の水準を上回るところまで回復した。しかし、保有契約の年換算保険料については、まだ19年度の実績まで回復していない。基礎利益はコロナ支払い、ヘッジコストの増加によって多くの会社で減益となった。
日本生命グループの新契約年換算保険料は日本生命は貯蓄性商品の料率改定等により減少したものの、ニッセイ・ウェルス生命と大樹生命の外貨建商品の販売増により対前年で増加した。日本生命の新契約年換算保険料は前年比14.0%減の2354億円、大樹生命は同47.3%増の355億円、ニッセイ・ウェルス生命は同38.9%増の1227億円など。グループの保険料等収入は日本生命、大樹生命およびニッセイ・ウェルス生命の一時払商品の販売増を主因に同18.3%増の6兆3735億円を計上した。グループ基礎利益はコロナ関連の支払増、ヘッジコストの増加、ニッセイ・ウェルス生命の標準責任準備金の繰入増により同43.7%減の4794億円となった。23年度の業績見通しでは、日本生命グループ計で前年度から減収・増益を見込む。基礎利益はコロナ関連の支払減による危険差益の増加を主因に増益し、グループ計で約6000億円を見込むとしており、各社別には日本生命が「増加」、大樹生命が「減少」、ニッセイ・ウェルス生命が「増加」など。
かんぽ生命の新契約年換算保険料(個人保険)は658億円で前年比42.7%増だった。基礎利益はコロナに係る保険金支払いの増加、保有契約の減少、新しいかんぽ営業体制の構築に伴う事業費等の増加により保険関係損益が減少し、加えて順ざやが減少したことにより、同2374億円減の1923億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同604億円減の976億円。23年度の連結業績予想では当期純利益720億円と予想。かんぽ生命単体の基礎利益は2000億円程度と見込む。
明治安田生命の新契約年換算保険料は、外貨建一時払保険の販売量増加を主因にコロナ禍前の19年度(1051億円)比で1.5倍以上の水準に増加し、前年比57.7%増の1631億円となった。保険料等収入は同31.1%増の3兆2036億円。基礎利益は3716億円と同14.9%の減益となった。グループ保険料は明治安田生命単体の外貨建一時払保険の販売量増加およびスタンコープ社の増収を主因にコロナ禍前の19年度を上回る水準まで増加し、前年比30.6%増の3兆6702億円と18年度以来4年ぶりに3兆円を上回る水準となった。グループ基礎利益は明治安田生命単体のコロナ関連の支払い増加、ヘッジコストの上昇、外貨建保険の標準責任準備金の積立負担の発生等により、同11.1%減益の4018億円。23年度業績については、グループ・単体ともに保険料等収入は「減収」、利益水準は「横ばい」を見込む。
住友生命グループの新契約年換算保険料は前年比28.9%増の2780億円となった。うち、住友生命は外貨建一時払商品の販売が好調となったことなどにより同8.6%増の1094億円、メディケア生命は同6.5%減の184億円で、国内事業全体で同6.1%増の1278億円。海外事業(シメトラ)は、個人年金や企業保険の販売が増加したことに加え円安が寄与し、同57.7%増の1502億円だった。グループの保険料等収入は同7.1%増の2兆5830億円で、うち住友生命は同3.4%増の2兆2164億円。住友生命の基礎利益はコロナ関連の入院給付金等の支払い増加を主因に同29.1%減の2363億円だった。23年度のグループ業績見通しで、連結保険料等収入は横ばい(0.9%減収)の2兆5600億円程度と見込む。うち住友生命が同3.4%減収の2兆1400億円程度。グループ基礎利益は、同12.0%減益の2300億円程度と見込む。うち住友生命は同19.6%減益の1900億円程度。
第一生命の新契約年換算保険料は前年比38.0%減の462億円だった。保険料等収入は同1%増の2兆2968億円。当期純利益は同341億円減の1656億円だった。修正利益は、前記の減益要因を金融派生商品損益や臨時損益の改善が補い、同17%減の1656億円。基礎利益は、コロナによる入院給付金支払い増加等により保険関係損益が大きく悪化したことや、ヘッジコスト上昇に伴う順ざや減少の影響等により、同37%減の2571億円。第一生命ホールディングスのグループ修正利益は同38%減の1844億円、親会社株主に帰属する当期純利益は同53.0%減の1923億円、グループ基礎利益は同34%減の3642億円となった。23年度の連結業績予想では、親会社株主に帰属する当期純利益は42.0%増の2730億円、グループ修正利益は2700億円程度、グループ基礎利益は18%増の約4300億円を見込む。
T&D保険グループ国内3社(太陽生命・大同生命・T&Dフィナンシャル生命)合算の新契約年換算保険料は前年比23.7%増の1508億円。うち太陽生命の新契約年換算保険料は同2.5%減の333億円、大同生命は同10.5%増の670億円、T&Dフィナンシャル生命は同86.1%増の505億円だった。3社合算の基礎利益は、コロナ関連の支払増加と為替ヘッジコストの増加等により同46.2%減の930億円となった。親会社株主に帰属する当期純利益は同1463億円減の▲1321億円、グループ修正利益は同129.9%増の902億円。23年度の通期業績予想については、親会社株主に帰属する当期純利益を870億円、グループ修正利益を1000億円と見込む。
ソニー生命の新契約年換算保険料は前年比21.9%増の1285億円だった。経常利益は、コロナ関連の給付金などが増加したものの、前年度に出再保険契約の解約で生じた危険準備金の一括積立328億円を計上した反動や、保有契約高の積み上がりによる利益の増加などにより、同77.7%増の953億円となった。保険料等収入は同7.0%増の1兆4738億円。
メットライフ生命の新契約年換算保険料は前年比37.6%増の1359億円だった。保険料等収入は同50.8%増の2兆8734億円、当期純利益は同21.9%増の1893億円となった。基礎利益は同22.7%減の1677億円。
アフラックの新契約年換算保険料は前年比4.7%増の503億円となった。保険料等収入が同2.0%減の1兆2942億円と減少した一方、資産運用収益が同48.8%増の5295億円、その他経常収益が2833億円と増加したことにより、経常収益は同25.8%増の2兆1121億円となった。基礎利益は同4.3%増の3759億円となり、当期純利益は同36.0%増の3546億円だった。
プルデンシャル・グループのプルデンシャル生命の新契約年換算保険料は前年比2.1%減の661億円で、保険料等収入は同35.0%増の1兆4330億円、基礎利益は同20.0%減の315億円、当期純利益は同55.3%減の148億円だった。また、ジブラルタ生命の新契約年換算保険料は同21.4%減の358億円で、保険料等収入は同11.0%減の8794億円、基礎利益は同33.3%増の1605億円、当期純利益は同38.8%減の594億円だった。グループ連結の保険料等収入は同41.0%増の3兆2554億円で、親会社株主に帰属する当期純利益は同32.5%減の917億円、合算の基礎利益は、同29.2%増の2212億円だった。
アクサ生命の新契約年換算保険料は前年比5.0%増の836億円だった。保険料等収入は同9.7%増の8060億円、基礎利益は同30.2%減の650億円、当期純利益は同61.7%減の406億円だった。
富国生命とフコクしんらい生命2社合算の新契約年換算保険料は、富国生命の新医療保険の発売やフコクしんらい生命の利率更改型一時払終身保険の販売増加を主因に前年比28.6%増の295億円となった。2社合算の保険料等収入は、同20.3%増の7606億円。2社合算の基礎利益は、コロナに係る給付金等の大幅な支払増加による保険関係損益の減少を主因に同34.8%減の488億円。うち富国生命は同38.1%減の472億円、フコクしんらい生命は15億円だった。
朝日生命の新契約年換算保険料は前年比12.7%減の202億円だった。基礎利益はコロナによるみなし入院給付金の増加およびヘッジコストの増加を主因として同315億円減の133億円となった。連結の当期純剰余は同81億円減の115億円。グループ基礎利益は63億円で、前年度から356億円減少した。