2023.06.30 日本代協 通常総会開く 三冠王を達成した代協は過去最高に、小見常務理事が退任、後任に坂氏 多様化するモビリティ対応商品 損保会社はわかりやすさ工夫を(三浦課長)

日本代協は6月16日、東京都千代田区の損保会館大会議室で2023年度通常総会を開催した。22年度の事業報告や決算報告が行われ、全ての議案について全会一致で承認された。開会あいさつをした小田島綾子会長は「昨年度、組織増強を軸に三冠王を達成した代協は34と過去最高となり、アフターコロナの環境の下、情報交流を中心に会員同士の心が通う活動と活気が戻ってきた」と語り、「日本代協は先を見据えた幅広い情報や、学びの場、会員コミュニケーションの場を提供し、皆さまのチャレンジを応援する。ともに進んでまいりましょう」と呼び掛けた。

あいさつの中で22年度の活動を振り返った小田島会長は、「(コロナ禍で)見送っていた大切な周年行事は、さまざまな工夫を凝らし、60年、70年と先輩方から引き継いだ地域の信頼、実績を次世代につなげる立派な式典が各地で開催された」と説明。また、企画環境、教育、組織、CSR、広報の各委員長が主催した一斉オンラインミーティングでは、全国に委員の交流が実現し、信頼が深まったとその成果を強調した。
22年度は、新規加入代理店が362店、トータルプランナーを輩出するコンサルティングコースの受講者は1407人、代理店賠責の加入率は前年度より増えて86.1%に達した。日本代協アカデミーでは新システムへの切り替えがあったものの、教育・組織委員会の協力により浸透が進んでいるという。ぼうさい探検隊の取り組みも、47全ての代協が子どもたちのマップ応募に関わった。さらに、近年激甚化・頻発化する自然災害に備え、一般消費者向けセミナーの開催や、行政とのタイアップ企画など、地域に合ったアプローチで防災・減災の取り組みが進められている。小田島会長は「各委員会が展開する活動をよく知っていただき、代理店の価値向上策、事業、役割をより強化する方法としてご活用いただけることを願っている」とした。
また、日本代協が実施する「活力ある代理店制度等研究会」(通称「活力研」)の活動にも触れ「業界として保険会社と代理店の対話が定期的に開催されているのはおそらく活力研だけではないかと思う」とした上で、引き続き顧客本位の業務運営の視点をベースに取り組みを推進する意向を示した。
「5年、10年先どうありたいか、未来を思い描き、必要な力を付けるためにも、情報収集、学び続けること、実行力無しに目の前の扉は開かれない。次世代が活躍できる業界の魅力づくりは今からの未来志向、そして行動にある。私たちが未来に挑戦する姿を、気迫を、若い世代にも見ていただきましょう」と力強く語った。
来賓としてあいさつした金融庁監督局保険課長の三浦知宏氏は、昨今の保険業界の現状認識として、少子高齢化や自然災害の激甚化、自動車保険市場の縮小等の中長期的な環境変化が起きていると述べた上で、「このような変化を見据え、持続可能なビジネスモデルの下、顧客ニーズの変化に即した商品を提供することにより、経済的保障・補償機能を適切かつ安定的に発揮し、国民生活の安定や国民経済の健全な発展に寄与していくことが、損保会社や保険代理店に求められている社会的役割であり、そうした役割を果たすことができる保険市場を皆さまと一緒になってつくっていくのが、われわれ金融庁の役割ではないかと考えている」と語った。
同氏はさらに、火災保険については、自然災害そのものの増加、再保険市場のハード化、特定修理業者を巡るトラブルなどに加えて、過去の長期契約の影響もあり、業界全体としていかに火災保険を持続可能なものにしていくかという課題があると指摘。
自動車保険についても、7月から改正道交法が施行され新しいルールが適用となる電動キックボードに見られるような、モビリティーそのものの多様化といった環境変化を見据え、そのあるべき姿を考えていく必要があるとの見解を示し、「よりきめ細かなニーズに対応する保険商品が開発されるようになることを踏まえれば、似たような名前の商品でも補償や免責の範囲が異なったり、それに伴い、代理店の皆さまにとっては顧客への説明のあり方もよりきめ細かく変えていく場面も見られるのではないかと思う。そうした場合には、過去の不払い問題の反省を生かし、顧客や代理店の皆さまにとっての分かりやすさを維持する工夫やサポートについてしっかりと検討していただくよう、損保会社の皆さまにも促していきたい」とした。
この他、代理店ヒアリングについても触れ、今事務年度も84代理店に対してヒアリングを実施した結果、代理店統廃合の影響や、手数料ポイントに関してさまざまな意見が寄せられたことを明かし、「(手数料ポイントに関して)損保会社に対しては、一方的な対応とならないよう、引き続き丁寧な対応に努めていただくよう促していきたい」との考えを示した。
総会では、第1号議案22年度(第59期)事業報告案承認の件では、特記事項として、①コロナ禍かつ本部事務局員欠員状況における活動②防災・減災に向けた取り組みと災害に便乗した悪質な業者対策③仲間づくり推進(会員増強)④損害保険大学課程の運営⑤「日本代協アカデミー」の展開⑥代理店価値向上策の取り組み⑦代理店経営サポートデスクの運営⑧第11回コンベンションの開催―の八つを挙げた。
また、第2号議案の22年度(第59期)貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録承認の件、第3号議案の理事1人、監事1人の辞任に伴う理事1人、監事1人選任の件について承認された。本部事務局常勤常務理事の小見隆彦氏と監事の白石雅一氏(共立㈱)が退任し、後任には、理事として坂雅夫氏が、監事には小島俊宏氏(共立㈱)が選任された。