2023.06.13 日本少額短期保険協会 23年度通常総会開催、3ビジョン実現へ諸施策加速 23年度事業計画など全5議案を可決
日本少額短期保険協会は6月7日、東京都中央区の鉄鋼会館で2023年度通常総会を開催した。23年度事業計画など全5議案が審議・可決された。同協会の渡邊圭介会長(㈱FIS会長)は、2年目に当たる「第2次中期3か年計画」で定めた三つのビジョンの実現に向けた諸施策を加速させていく考えを示した。また、先ごろ同協会が公表した元職員による不祥事件について報告し、謝罪した。当日は正会員約40人のほか、賛助会員や報道関係者など多数が参加した。
総会の開会に当たってあいさつした渡邊会長はまず、不祥事について説明した。同協会事務局をすでに退職した元職員が在籍時に横領を行っていた疑惑が4月に発覚し、事務局内で調査した結果、長期間にわたって反復的な資金費消を行い、被害総額が約3279万円に上ることが判明。横領の事実を認めた元職員に被害元本および犯行から現在に至る法定利息の即時払いを求め、5月10日に総額約3765万円を回収したと報告した。
今後については、他の伏在事故の有無や、同協会のガバナンス態勢の問題等根本原因の究明を行った上で元職員への対応と管理者責任について検討するとし、客観性を担保するために弁護士・公認会計士から成る「第三者委員会」を立ち上げたことを明かにした。他の理事と共に謝罪した渡邊会長は、今回の件では重要な進展があり次第報告すると述べ、理事会の対応方針への理解を求めた。
次に、第2次中期計画の2年目である本年度の協会活動の方針について述べ、三つのビジョン(①「ガバナンス・コンプライアンスを一層強化し、真にお客さまの信頼を得たリスクの担い手として評価される業界になる。」②「ユニークで独創的な商品を提供し続けることでお客さまに認知され役に立つ存在になる。」③「少額短期保険業界のあるべき姿に係る提言内容を実現し、お客さまの利便性向上と業界の成長軌道を確保するとともに、会員各社が業務革新を進め円滑に業務を遂行できる環境を整備する。」)の実現に向けた諸施策を加速させると説明。協会活動を活発化させる上で、過去の総会で決議した事項を速やかに実現することが重要だとし、「役員選任ルールの適用」と「協会会費体系見直し検討」に取り組む考えを示した。
最後に、「お客さまから信頼され、真に社会から必要とされる業界になっていくためには、これらの諸策を今すぐ実行することが不可欠だと確信している。これからも協会活動に対し、皆さまの一層のご支援とご協力をお願いしたい」と述べた。
続いて、新規加入した少額短期保険事業者10社(Emyⅰi少額短期保険、きずな少額短期保険、アフラックペット少額短期保険、タカサキサービス、ブレイブ少額短期保険、Tokio Marine X少額短期保険、レジデントインシュアランス少額短期保険、愛グループ少額短期保険、ビクトリア少額短期保険、あさひ少額短期保険)が紹介され、各代表者があいさつした(あさひ少額短期保険の代表者は欠席)。
総会は正会員120社中、会場出席41社、議決権行使52社、委任状24社の合計117社で成立。
議長が選出された後、①2022年度事業報告承認②2022年度決算報告および監査報告承認③2023年度事業計画承認④2023年度予算承認⑤定款変更承認―の全5議案が審議され、賛成多数により全議案可決された。
2023年度事業計画承認では、三つのビジョンにおける取り組みとして、ガバナンス・コンプライアンスの一層の強化では、ガバナンス強化やコンプライアンス徹底に向けた取り組みの推進、顧客本位の業務運営の取り組みの促進、苦情対応といった点について、ユニークで独創的な商品の提供では、商品審査の迅速化、積極的な広報戦略、社会貢献活動などについて、また、会員各社の業務革新や円滑な業務遂行のための環境整備については、少額短期保険業界のあるべき姿と法規制の見直し取り組み、会員会社における円滑な業務運営の取り組み支援などを進めていくことが発表された。