2023.06.09 日本生命、3メガ損保ほか 効果的・効率的情報開示でESG投資促進、サステナブルファイナンスプラットフォームを共同検討 運用機関が重視するESG情報を確認できる場に

MS&ADインシュアランスグループホールディングス(あいおいニッセイ同和損保、三井住友海上)、損保ジャパン、東京海上日動、日本生命、日立製作所、みずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行は5月25日、サステナブルファイナンスの発展に向けた事業構想の共同検討に関する覚書を締結したと発表した。運用機関と上場企業の間のESG情報開示に関する相互理解を深めるサービスの提供により、効果的・効率的な情報開示と運用機関の投資判断を促進。これにより、高まるESG投資やESGマーケットを後押しし、健全な市場の発展に貢献していく。今年夏をめどにESG投資を促進するデジタルプラットフォームのベータ版サービスの提供に向け共同で一般社団法人を設立する予定で、設立法人でプラットフォームの有用性を検証し、正式なサービス化に向けた共同検討を推進していく。

近年、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)への関心の高まりを背景にESG投資は急拡大しており、2020年における世界のESG投資額は約35.3兆ドル(約3900兆円、世界持続可能投資連合〈GSIA〉調べ)に上っている。国内外の企業におけるESGに関する取り組みが活発となる一方、投資の判断において重要となるESGに関する非財務情報の開示に関して、グローバルでの開示ルールや評価手法に関する公的基準は、いまだ共通的には整備されていないのが実情となっている。上場企業はさまざまな開示方法や項目に対応するため膨大な工数を要しているほか、運用機関は上場企業によって開示データが異なるため、情報収集や企業間での比較評価が困難となっている。
こうした課題を踏まえ、覚書締結各社は、運用機関とその投資先である上場企業をシームレスにつなぎ、ESGに関する相互理解・情報開示などを促進するデジタルプラットフォーム「サステナブルファイナンスプラットフォーム(仮称)」を構築し有用性の検証を開始する。今後、幅広く利用企業を募り、今年秋にはプラットフォームのベータ版サービスを提供し、ユーザビリティの検証や各種機能の強化を図るなど、将来の正式なサービス立ち上げに向けた検討を共同で推進していく予定だという。これらESGデータの円滑な流通を支援するインフラの整備により、国内外の機関投資家や発行体などさまざまなステークホルダーの効果的・効率的なコミュニケーションを促進し、ESG投資やESGマーケットをさらに拡大することで、持続可能な社会の発展に貢献していく。
ベータ版サービスでは、複数の運用機関と上場企業をつないで「サステナブルファイナンスプラットフォーム(仮称)」を利用し、サービスの本格提供に向けた有用性の検証を行う。上場企業が各運用機関で重視するESG情報の開示項目やその背景などを直接かつ統合的に確認できるサービスを提供する予定。これにより、上場企業は運用機関が重視する項目をあらかじめ把握できるため、ESG情報開示に向けた企業内での方針決定を効果的・効率的に進めることが可能になる。また、運用機関に対しては、中長期的な投資リターンの拡大に向け、上場企業との対話といったスチュワードシップ活動をさらに促進するサービスも提供していく。すでに複数の運用機関とベータ版サービスの利用や実証への参加を調整しており、実証は今秋からの開始を予定し、今後さらに運用機関と上場企業の募集を進めていくという。
参加各社では今後も、持続可能な社会の実現に向けて、運用機関と上場企業におけるESG情報開示に関する課題の解決を契機に、融資や損害保険などサステナブルファイナンスに関連するさまざまなステークホルダーをつなぎ、エンゲージメントの向上に寄与するソリューションの提供に継続的に取り組んでいくとしている。