2023.05.12 東京海上日動、国際航業 超高解像度航空写真で風災リスク診断、要修繕箇所特定し事故発生・被害低減

東京海上日動と国際航業㈱(土方聡代表取締役社長)は4月から、航空写真を活用した「企業向け風災リスク診断ソリューション」の提供を開始した。東京海上日動の保有する過去の風災事故に関するデータと、国際航業が所有する地上解像度5センチメートルの超高解像度航空写真等を組み合わせ、台風や突風等の風災リスクを診断するサービスを企業向けに提供する。風災リスク診断を通じて風災事故につながりやすい老朽箇所などを特定し、企業の風災リスクの削減に貢献していく。

近年、自然災害の激甚化や建物等の老朽化により、台風や突風等によって屋根の破損・飛散につながる風災事故のリスクが高まりつつある。こうした風災事故は高額な事故につながる可能性があるほか、建物内の設備や商品・製品等にも被害が及ぶ可能性があることから、屋根の老朽化などのリスクを事前に把握し予防保全を行うことが求められている。
これまで東京海上日動は、過去の事故や災害に関するデータを活用した防災・減災につながるサービスの開発を進めてきた。国際航業は、航空写真測量をはじめとしたさまざまなセンシング技術を活用してデータを取得し、浸水エリアや地滑りの判読・解析、津波や土砂移動のシミュレーションなどを行い、企業や地方公共団体の気候変動・災害対策を支援するソリューションを提供している。こうした中、両社は、東京海上日動の過去の風災に関する事故データと、国際航業のデータ取得・判読・解析技術を活用し、顧客への新たな付加価値として、新たな企業向けソリューションの提供を決めたとしている。
「企業向け風災リスク診断ソリューション」では、企業の物件情報を基に、国際航業が持つ地上解像度5センチメートルの超高解像度航空写真や東京海上日動が持つ過去の事故データを基にしたリスク診断技術などを活用し、要修繕箇所を特定する。顧客の目が行き届きにくい屋根のリスク診断を行い要修繕箇所を特定することで、企業は修繕対応等の検討・実施が可能となり、災害時の事故発生確率を下げ、被害の低減につなげることができる。
両社では実際に風災事故に遭った企業に対して同ソリューションを提供することで、被害の拡大や再発防止に貢献していくとしている。
このソリューションは、東京海上ホールディングスが商標登録を行っているデータ・テクノロジーを活用し新たな価値を提供するデータドリブン商品(本紙21年12月22日付参照)に関連した施策で、両社は今後、実運用を行う中で、AI技術の活用や航空写真の整備エリアの拡張、衛星データや他のセンシング技術の活用などの可能性の検討を進め、顧客のリスク軽減、さらにはデジタル技術を活用したリスク評価の高度化につなげていくとしている。