2023.05.09 東京海上日動 損害サービスの知見生かしワンストップで提供、自治体向けにDX支援サービス

東京海上日動は4月12日、保険金支払い(損害サービス)で培った知見を生かし、自治体の業務効率化や行政サービス利用者の利便性向上に資する「自治体向けDX支援サービス」を開発したと発表した。同社と「自治体DXの実現に向けた官民共創の連携協定」を締結する滋賀県蒲生郡日野町の他、㈱スカラ、アビームコンサルティング㈱、TOPPANエッジ㈱が、㈱ソーシャル・エックスの運営する「官民共創プラットフォーム」にそれぞれの知見を持ち寄り共創しながら開発したもので、最初に日野町で4月からサービスの提供を開始し、その後、全国自治体への展開を見据えて取り組んでいくとしている。

近年、政府により「自治体DX推進計画」が策定され、2023年度には「自治体窓口DXSaaS」の提供開始が予定されるなど、自治体では業務効率化と住民体験の向上のために行政手続きのデジタル化やそれを通じた行政サービスのより一層の向上が求められているが、自治体を取り巻く環境としては、人口減少や少子高齢化、自然災害の激甚化、感染症の拡大など諸課題への対応を求められており、限られたリソースの中でDXに取り組む必要がある。
こうした中、同社は、自治体業務と同社の損害サービスはともに社会を支える基盤としての役割を有し、住民・顧客対応の最前線を担いながら法令・契約に基づく適切なサービスや事務手続きが求められる点などに高い親和性があるとの考えの下、損害サービスで培ったオペレーション構築力や“損害サービスのDX”の知見を自治体のBPR(Business Process Re-engineering:業務や組織の根本的な見直しを行う取り組み)支援に生かすことで、単なるデジタル化にとどまらない自治体業務のさらなる高度化に貢献できると考え、新たなサービスを開発したとしている。
同サービスでは、自治体DXを浸透させる「伴走型BPR支援サービス」と、BPRを通じて設計した最適な業務プロセスを実現する「SaaS型ITソリューション」の提供を通じて、行政サービスの向上や住民体験・職員体験の向上をワンストップで支援。
「伴走型BPR支援サービス」では、業務改善コンサルティングを実施し、単なる業務の棚卸しやデジタル化の提案にとどまらず、自治体目線で業務改革の在り方を考え、住民体験・職員体験の向上の実現まで伴走支援する。
「SaaS型ITソリューション」では、BPRを通じて設計した最適な業務プロセスを実現するために必要なシステムをハンズオンで提供。具体的には、住民が利用する行政手続きのオンライン判定・申請システムと自治体職員が利用する業務システムをSaaS型で提供する。
同社では同支援サービスの実施イメージとして、①定形・非定型業務をベストミックスさせた業務のリ・デザイン②住民属性に合わせたパーソナライズドサービスの提供―の二つの事例を提示。①では、住民のライフイベント(出生、引っ越し、死亡など)に伴い住民が行う手続きと、自治体職員の業務を細分化した上で、住民からの各種申請の受付対応やデータ入力といった「定形業務」はデジタル技術も取り入れてセルフ化・効率化を図り、住民からの相談対応や子育て・福祉サービスの提供といった「非定型業務」は暗黙知の形式知化を行うことで住民の利便性向上や職員の業務効率化の実現を支援。②では、業務効率化で創出された時間や自治体が従来保有する住民情報を生かして住民との接点強化や住民のニーズ把握を行い、住民属性に合わせて利用できる制度・サービスなどの情報をプッシュ型で案内することなどにより住民体験の向上を支援するとした。
今後は、自治体職員や住民の意見を取り込み、支援サービスのモデルを確立させながら、デジタル庁が推進する「自治体窓口DXSaaS」の動きも踏まえて全国の自治体への展開に取り組んでいくとしている。