2023.04.26 5月8日から新型コロナ「5類」に移行 各社「みなし入院」取扱い終了へ
新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)について、政府が5月8日から「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下、感染症法)上の新型インフルエンザ等感染症に該当しないものとし、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどの特段の事情が生じない限り「5類感染症」に位置付ける方針を公表したことを受けて、生損保各社は4月12日から、5月8日以降、医師の指示に基づく宿泊施設・自宅等での療養について「入院」とみなして入院給付金等の支払い対象とする特別取扱、いわゆる「みなし入院」を終了すると発表を始めた。
2020年4月当時、新型コロナと診断された人について、病院への入院が必要であるにもかかわらず、病院の病床のひっ迫等の事情により入院することができない状況が発生した結果、宿泊・自宅療養が行われることになった。宿泊・自宅療養は約款上の「入院」の定義に該当しないものの、感染症法上は入院勧告・措置の対象であることなどを踏まえ、各社は顧客保護の観点から「入院」と同等に取り扱う「みなし入院」を、社会情勢を踏まえた時限的な措置として開始した。
各社では20年4月から、新型コロナと診断され宿泊施設または自宅で医師等の管理下で療養をした場合(以下、宿泊・自宅療養)は、約款上の「入院」として取り扱い、入院給付金等の支払い対象とする「みなし入院」を実施してきた。その後、軽症・無症状の人の割合が高まる状況となり、政府が22年9月26日以降、新型コロナに係る発生届出の対象を全国一律に重症化リスクの高い人に限定したことを受けて、同日以降は、①65歳以上②要入院③重症化リスクがあり新型コロナ治療薬の投与または新型コロナ罹患により酸素投与が必要④妊婦―の「重症化リスクの高い人」に対象を絞り、「みなし入院」の取り扱いを継続してきた。
本年1月27日付新型コロナウイルス対策本部決定により、オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなどの特段の事情が生じない限り、5月8日から新型コロナについて感染症法上の「新型インフルエンザ等感染症」に該当しないものとし、「5類感染症」に位置付ける方針が政府から示され、「5類感染症」への位置付け変更が実施された場合、新型コロナも季節性インフルエンザと同様に、感染症法上の入院勧告・措置等の対象ではなくなることから、各社は5月8日以降に診断された場合の「みなし入院」の取り扱い終了を決めた。
5月7日までに新型コロナと診断され「みなし入院」の対象となる人については5月8日以降も請求できる。また、新型コロナと診断され、各社約款に定める入院の定義に該当する入院をした場合には、5月8日以降も変わらず入院給付金等の支払い対象となる。
なお、厚生労働省は宿泊療養・自宅療養を証明する書類の発行について、原則として、陽性者本人等がスマートフォン・パソコン等で自身や家族の健康状態を入力できる新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システムMy HER―SYS(マイハーシス)の利用を呼び掛けており、保険会社への入院給付金の請求にはMy HER―SYSで表示される証明書を活用するよう要請してきたが、同省はMy HER―SYSの療養証明書機能について、5月7日までに保健所に発生届出が行われ入力されている場合には9月末まで同機能の利用が可能と発表している一方、10月以降の利用については未定としていることから、各社では医療機関・保健所の負担軽減の観点から、My HER―SYSの療養証明を利用した早期の請求への協力を呼び掛けている。